【イベントレポ】続・今、サクセス界隈でWSがアツい(気がする)
だいぶ遅くなっちゃいましたが、、
第二回 カスタマーサクセス天下一武闘会 - CS HACK #23 いってきたレポ
・・・やはり時間が経つほど人の記憶は確かさを失うことを痛感し反省。
(もし誤認識等あればぜひご指摘いただきたい><)
ダイジェストではなく、できるだけ具体的な内容まで記したレポなので結構長めです。
ポイントだけかいつまみたい場合は太字と囲み部分だけ流してくださいー
■日時:2018/10/24(水) 19:00~21:30
■テーマ:直近1年間での月次収益(MRR) or ACV (一顧客あたりの年間平均単価) 向上施策
■対戦形式:トーナメントLTバトル (予選7分/決勝10分)
■出場選手(敬称略/順不同):
①サクセス界のルーキー!食道楽の帝王!!
株式会社トレタ カスタマーサクセス マネージャー 鈴木 高太郎
②Account Manager も兼務してる CSM !!!
App Annie Japan 株式会社 Customer Success Manager 大滝 徹也
③CS界の二刀流!絶賛メンバー募集中!!
株式会社ABEJA カスタマーサクセス&カスタマーサポート マネージャー 丸田 絃心
④市川半端ないって。アイツ半端ないって。後ろ向きのクライアントめっちゃサクセスするもん……
株式会社ヤプリ カスタマーサクセス部 部長 市川昌志
■解説:Repro株式会社、株式会社SmartHR、Freee株式会社
<予選A組>トレタ VS ヤプリ →決勝進出:トレタ
■株式会社トレタ:アップセルターゲットを見つけるまでの歩み
・サービス特性
└飲食店向け予約管理・顧客管理クラウドサービス
→顧客台帳・予約台帳・Web予約などバラバラだった情報を一元管理
└1万2千店舗導入実績(業界シェアNo.1)
・アップセルオプション例
└POS連動(MRR4000くらい)
└電話連動(MRR10000くらい)
└グルメ媒体連動(MRR10000くらい)
・トレタのサクセス=繁盛=利益
★ココ大事
・活用度×コンディションによる顧客のセグメンテーション
・セグメント毎の提案からの売れる顧客の明確化
・PDCAの100件ルール
■課題と背景
・担当社数が多く、コミュニケーションの時間が限られる
└CS1人の担当は1000店舗越え
└飲食店に対する営業タイムは14時~17時のアイドルタイム3時間のみ
→すべての顧客に同じ対応は不可能で顧客を絞ることが必要
・MRRが高くないため、顧客にすぐフィットする提案が必要
→効率的な手段が必要
■施策と効果
1.顧客の可視化→活用度マトリクス作成
2.活用度と状態(Bad/Normal/Good)別に顧客をセグメント
→セグメントに合わせたアップセル提案→ターゲット顧客の発見!
・推進のポイント
捉えた構造から仮説ができたらまずはやること。
とりあえず1ヶ月100社実施→手応えあればGo→1ヶ月100社→手応えあればGo
のPDCAを繰り返す
■解説
・サクセスを明確に定義したのはすごいこと
・データ分析ではなくまずは100件やってみるチャレンジ精神もすごい!
■株式会社ヤプリ:顧客のサクセスに直結したアップセルの仕組み
・アパレル中心のサービスを展開
・カスタマーサクセスを中心においた事業づくり
└会社のバリューにカスタマーサクセスを入れている
└デザインチームも巻き込みOneTeamで契約後の顧客を支援
※カスタマーサクセス本部のチーム体制
└オンボーディング└デザイン└カスタマーサクセス
※提案~運用までの流れ(以下画像)
★ココ大事
・顧客のサクセス=アップセル
(ダウンセルがなく、アップセルには納得感ある)
・アップセルのアプローチ経路が豊富
(重量課金だけ、オプションだけ、じゃない)
・会社全体でのCS文化推進(実は一番大事かもしれない)
■課題と背景(よりもアップセルの仕組みが主だったので省略)
■施策と効果
・アップセルの仕組み①:エクスパンション(横展開)
└既存契約企業でサクセスすると自社別アプリに導入し横展開してくれる
→最大1社で24アプリ導入実績
・アップセルの仕組み②:重量課金
└プッシュ通知配信を許可した「プッシュ許可端末数」の累計が基準
└ダウンロードしただけではカウントされないのがポイント
→アップセルに納得感がある(しかもダウンセルがない)
・アップセルの仕組み③:オプション追加
└よりサクセスするためのオプションを多数用意
→サクセスするほどオプションが必要になる
・アップセルの仕組み④:サポートオプション
└フォロー体制の有償オプション化
→より早く/効率的にサクセスに近づける
・効果:アップセルの売上比率が着実に上がっている!
└現状:新規70%/アップセル30%
■解説
・ダウンセルがないこと、納得感のあるアップセルはすごくいい
顧客のやりたいことの先にアップセルがある
・アップセルには商材が必要。オプションメニューが豊富なのは強い
サクセスすれば売れるという流れは嬉しい
・営業段階からCSをやっている感じがありすごい。CS文化が会社に根付いているのが伺える
オプションメニューも豊富なので顧客の立ち上がりの前からアップセルの道筋ができている
導入段階からアップセルの道筋を考えられるのは意図的か?
→ヤプリ:顧客のニーズが積みあがったら自然とこうなった。アパレルの成功パターンが固まってきたのは大きいと思う
CS文化の話はそうだと思う。例えば最近はCSから開発に声を上げる場として「ヤップデートDay」をやったりしている
※予選A組:感想
トレタさんは内容もさることながらプレゼンが伝わりやすかったなと。
(実際、まとめてて一番まとめやすかった)構成だけじゃなくて「この施策はウチでも明日からがんばれるかも」くらいの粒度にしていただけてたので共感しやすかったのも大事だなーと素直に思っちゃいました。
あと解説陣のコメントも現場感があってすごい共感。結構、「そもそもサクセスって何?」で彷徨うCSは多いので定義したことのすごさや、とにかく100件やってみるって言うのは簡単ですが、顧客すべてとリアルに接することができない分つい分析に頼ろうとしてしまうのもあるあるだなーと。
ヤプリさんは戦略のスマートさが印象に残るプレゼンでしたが、その戦略を実現するにはきっともっと何かがあるはず・・・!(というか、日々泥臭くCSやってる身としてはそう思いたいだけかも?w)その辺をもっとリアルに知りたかったなー。でも、会社としてCSを大事にしているっていうのは心から共感でした。よく言われますがCSはCSだけじゃ成り立たなくて、CSを理解してくれる文化があるかどうかは非常に重要。文化と戦略があれば自然とサクセスする仕組みができるのも夢じゃない!?
<予選B組>App Annie Japan VS ABEJA
→決勝進出:ABEJA
■App Annie Japan 株式会社:ハイブリットCSのチャレンジ
・アプリ市場データと分析サービスの提供
└売り上げはデータのデリバリー量に左右される
・アップセル
└対象国の追加、アプリのカテゴリー追加、パッケージアップグレード 等
・顧客セグメント:Premiere/Enterprise/Mid Market
★ココ大事
・アップセルのためには顧客のゴールと現状、GAPを正しく把握する
・その上で、コミットできるゴール設定とGAPを埋める提案をすること
・提案の内容だけでなく、顧客の社内ポリティカルマップを押さえるべし
■課題と背景
・Mid Marketの増加
└AM/CSMの効率性向上が必須
→今年からAMとCSMのハイブリッド(Mid Market CSM)を発足
※1人で30~40社を担当
・これまでなかった役割の中、初訪問で「解約」と言われることも。。
└お互いの「こんなはずでは。。」を失くしたい
■施策と効果
・方針は「Surpriseを減らそう」
└顧客のゴールと現状のGap/障壁/ハードルを正しく把握し埋めに行く
・最重要は定期的なコミュニケーションとニーズ把握
・データ活用による顧客のBusiness Valueの訴求
・自身の目と耳で直接確認!
└担当全顧客へQ毎に必ず1度は直接訪問する
└ヒアリング内容、アプローチ(スプレッドシートで管理)は以下↓
・まだ途中経過ではあるものの、成果が出始めている!
└Upsellフォーカスアカウントを12アカウントに選定
(確定6アカウント/交渉中4アカウント)
└結果的にChurnも減少し、Q2~Q4達成(約120%)
■解説(と推進のポイント)
・MRRが高めのはずだが、CSMがsales24人中4人と少ない中でここまでフォローできるのはすごい。スキルと仕組み化の為せるワザか。自社も今年、データのチラ見せ作戦にやられてアップセルした(笑
・少ない人数だがフレームワークがしっかりしている。例えば、トレタは行動で推進するタイプで、ヤプリは戦略の決めで勝負するタイプだったが、また違った強さがある
・(仕組み化には)グローバルスタンダードもあると思うが、日本ならではのポイントはある?
→App Annie Japan:日本はハイタッチを好む傾向が強い
価格交渉は直接対面など。1社のために出張になると移動コストを考えると対面のリクエストをうけるのは難しい時もある
・更新に関して、複数年契約を引き出すコツはあるか?
→App Annie Japan:値下げはAMのさじ加減の部分もあるが、コミットできるゴール設定と、ゴールまでのGAPを埋める提案ができるかどうかがカギ
実は日本が一番成功しているケース。●●の手法(うまく聞き取れなかった。。)で顧客にアプローチしており、スプレッドシートの項目はAMもCSMも押さえている
ポリティカルマップを押さえるのは重要。組織図だけでなく、組織間の関係性まで把握できるかどうかはエンタープライズセールスの基本
■株式会社ABEJA:第4のタッチとプレ・オンボーディング
・アップセル=店舗×データの種類数
・アップセルに必要なステップ
└①顧客の課題を作りだす→②サービスのよさを伝えてもらう
★ココ大事
・第4のタッチ。その名もコミュニティ・タッチ
・そもそも理想を知らなければサクセス(そこにつながるアップセル)したい欲は出てこない(ので理想を提示するの大事)
・理想をわかっている顧客は開始前に半分オンボーディングしているも同然
■課題と背景
・アップセルとは、現状を理想にするための課金
→ラーメンのトッピングみたいなもの
・そもそもの理想を「知り」、手に入れたいと「欲して」もらうことが必要
→ラーメン屋の店主に「このトッピングしたラーメンすごいおいしいよ」と言われるだけじゃ「欲しい」までにはならない
隣のお客さんが全部のせしてるのを「見る」から、おいしい!といってるのを「聞く」から「欲しい!」になる
■施策と効果
・ABEJAではこれまでの3つのタッチの他に第4のタッチを命名
→コミュニティタッチ
・ハイタッチはCSが接した顧客までが影響範囲だが、コミュニティタッチはサクセスした顧客がコミュニティを介して別の顧客にも影響を広げていく
→CSが直接タッチしなくてもサクセスする仕組みができる!
・コミュニティタッチの活用①:課題を作り出す
└課題=理想と現状のギャップ
└サクセスした顧客の成功事例を記事化・配信しコミュニティで共有
→「理想」のイメージを持ってもらい「ああなりたい!」と思ってもらう
・コミュニティタッチの活用②:サービスのよさを顧客から伝えてもらう
└既にサービスのよさを知っている顧客は通常と比べてオンボーディングの時間が50%減↓
└オンボーディングの更に前、プレ・オンボーディングができている
・コミュニティタッチの活用効果:MRRが1.5倍増加!!
→顧客が勝手にサクセスしていく仕組みの構築
■解説
・ハイタッチのノウハウをテックタッチに活かすのは勝ちパターンだが難しい。それがうまく仕組み化されている好事例
・コミュニティの使い方がチャーン防止や満足度UPではなく、アップセルに紐づけ実現させている点がすごい
→ABEJA:成功事例は顧客毎に違うが、チャーン理由はある程度型が決まっている(ので対処しやすい?ってい意味であってるかな??)
※予選B組:感想
くじ引きとはいえ、おそらくMRR高めの2社が同じ組になったのは観戦側としては勉強になったなと。AppAnnieさんはそもそも発足したばかりのチームでハイタッチとロータッチの狭間を行き来しながら奮闘してきた経緯が伝わる内容でした(自分もそういう経緯の中でCSに携わってきたから近しいものを感じるのかも。)テーマはアップセルだったものの、チャーンが120%達成ってすごくないですか??そこもっと詳しく知りたかったー!
ABEJAさんは違うイベントでもコミュニティに関するプレゼン聞いたことありましたが、更に磨きがかかってる感じでした。MRR1.5倍て。しかもCS1人でやってるというからもうさすがとしか言えません。あと、プレゼンでは課題を作り出すっていう言い方をされてますが、つまり、理想の目線合わせをするってことなのかなと。導入前の目線合わせが超大事っていうのは自身も日々痛感するところなのですごい納得感。それにしてもラーメンの喩えは(会場全体でも)ツボでした。
<決勝戦>トレタ VS ABEJA →優勝:ABEJA
■株式会社トレタ:顧客セグメントによるアップセルの具体的ノウハウ
★ココ大事
・顧客のコンディションに合わせた提案が成功とアップセルにつながる
■施策と効果
・導入準備~移行期間:オンボーディング完了直後はアップセルタイミング
└まさに「鉄は熱いうちに打て」のセグメント
・使い方説明会後、運用開始後2週間以内に紙の台帳を捨ててもらう
(電話連絡で確認もするので平均は10.3日)
└台帳を捨てたのを確認した瞬間、アップセルを案内
「すごいですね!これ使うともっとすごくなりますよ」
「スタッフの教育が課題でしたね。これ使うと教育が楽になりますよ」
→オンボーディング時の提案はこれだけ。でも15%売れた!
・1つハードルを超えると顧客の熱量が上がる
→オンボーディング後のアップセルは顧客に喜んでもらうためのもの
・移行完了~活用×コンディションGood:顧客体験を重視
└このセグメントにはもっと喜んでもらうことが重要
・サクセスマップの活用
→解決したい課題をヒアリングした店舗カルテ(以下画像1枚目)をもとに、課題毎にどのチームがなにをするか決定(以下画像2枚目)、解決してあげると喜んでくれて、買ってくれる、の流れ
・ジョハリの窓の「秘密の窓」を意識
└まだ課題に気づいていない顧客にもプロアクティブに対応し、先回りで伝えてもっと喜んでもらう
※↓画像が荒いですが、課題に合わせて対応フローが大枠決まってますの図
・活用×コンディションBad:アップセル提案はしない
└活用が進んでいてもコンディションが悪ければアップセル提案はしない
└試しに課題に対し全てアップセル案内したら一瞬で信頼がなくなったw
→コンディションが悪い時はCSも一緒に課題に向き合うサクセスコース
・活用×コンディションNormal:アドバイスコース
└成功している顧客とのマッチングを通してサクセスを目指す
→社内ではマッチングサクセスと呼んでいる
・セールスとCSの違いは顧客との距離感
└セールスよりもCSの方が距離感が近い。顧客のパーソナルスペースに入り込むイメージ
→顧客のコンディションを知ることがとても大事
→ヘルススコアが大事!
■最後に
・トレタではCSは価値合意まで、セールスは獲得までと定義している
└CSは価値合意数、セールスは獲得MRRが指標
・アップセルはめっちゃ難しい。だからこそ、みんなで売れるCSを作ろう!
■株式会社ABEJA:ワークショップの効果的な活用法
★ココ大事
・何がしたいのか顧客に考えてもらうことが成功とアップセルにつながる
■施策と効果
・そもそもアップセルが起こるために必要なこと
└ポジティブ→アップセル
└感動(プロダクト)
└共感(ベストプラクティス)
└期待(サクセス)
└ネガティブ→チャーン
・顧客をサクセスに導く「GMT」
└Goal:達成したい目標イメージ(完成図)
└Map:目標達成の方法(レシピ)
└Tools:フレームワーク、データ、事例など(材料、器具)
・レシピ=サクセスマップ
└共通のサクセスマップを作るだけではサクセスしない
└ベースからいかにカスタマイズできるかが大事
└だがゼロから作るのは大変、共通化も難しい。。
→経営~現場まで全員参加のワークショップを実施
・導入後の顧客あるある:助言を嫌う/行動しない/社内で合意が取れない
→何を「してください」ではなく何を「したいですか?」を問うのが重要
→結果的に顧客の希望を聞くことで満足度も上がる
・ワークショップで顧客自身が考え、納得して取り組めるようになる
└CSが伝えるのはヒントであって答えではない
└最初の一歩目、優先順位付けを一緒に考える
→ワークショップで出たやりたいことをまとめればサクセスマップの完成
→事例は横展開できるのでマップもブラッシュアップされていく
■最後に
・カスタマーサクセス=ライザップ
└現状と理想の間にあるのが課題×解決策
└成功(理想への課題解決)に寄与する形で何かを進めるのがCS
→ABEJAのプロダクト×サクセスがどう解決につながるのか?を導く
→自然にアップセルする仕組みはつくれる。アップセルは難しくない!
■解説
・トレタとABEJAのMRRが違うことは考慮すべき。ABEJAの方が高単価
・「価値合意数」は良いワーディング!
→トレタ:社内用語の1つ。契約までに19段階くらいの合意があり、段階毎に商談合意や価値合意と呼んでいる
価値合意はアップセル商材を使った方がいいよね、という状態。価値合意の上は決済社合意、その上に契約がある
役割として、CSはお金の話はせずセールスが引き継ぐ
CSが契約までやるとセールスとの境目がなくなり距離感のバランスが取りづらい。CSの範囲は価値提供までにあえて留めている
※決勝戦の感想
最終戦ともなるとヤジの飛ばし合い?もあり盛り上がりました。
解説でもあった通り、両サービスのMRRが違うだろうことは考慮すべき大きなポイントだと思います。MRRが違う=1社あたりに可能なタッチの手法/量が違う=CSのやり方が変わるってことなので、どちらが勝っていて、どちらが劣っているっていう簡単な話でもないのは事実です(元も子もない。。)でも、どちらの内容も「あるある~」と必ず共感する部分があって、まるパクリは無理そうだけど、エッセンスは十分活かせそう!と思えるすばらしい内容でした!
そして個人的に、これまでのカスタマージャーニーやヘルススコアやマップなんかを駆使して合わせた提案をするっていう「CSが顧客を把握し、顧客の考えていることを察して動く」だけでなく、「顧客が自身を把握し、考えていることをCSが引き出して動いていく」っていうやり方も盛り上がってきてるのかなと強く感じた機会になりました。
自分もCSの片隅で、インプットをちょっとでもアウトできるように、やったるぞい。
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