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最近の記事

2028年街から書店が消える日

本屋という存在は、いつの日かこの世から消えてしまうだろう 自分自身を振り返ってみても、最近では本屋で本を購入することがほとんどなくなっている 世界最大の古本屋街神保町に足を運ぶ頻度も、以前と比べて減ってしまった 代わりに、Amazonで本を買うことが多くなってきた 新宿や池袋のような主要なターミナルに行かないと、大型の書店は見当たらず、近所には書店がまったく存在していない 正確に言うと、無いというよりも、かつてあった書店が消えてしまったのだ しかし、一体どうしてなのだろう な

    • 追悼 松岡正剛

      松岡正剛は150年、いや、もしかすると200年も生きる人物なのではないかと、私は思い描いていた 訃報を目にした時、信じることが出来なかった 「そんな馬鹿な。人間の寿命には限界があるのだから、せいぜい100年が上限だろう」と誰かに指摘されれば、確かにその通りだと認めざるを得ない しかし、松岡正剛には常人を超越した、不思議な魔力のようなものを感じさせる存在感があった それは単なる印象ではなく、言動や著作を通じて、強く思わせるものだった 思わせる、というよりも、むしろ確信させてくれ

      • あっという間に人は死ぬから

        佐藤舞の「あっという間に人は死ぬから」 タイトルがまず凄い まるで警鐘を鳴らすような強烈なメッセージ性を持っている あっという間にこの人生が終わってしまうなんて分かっている 時間は誰にも平等に与えられているが、どれほど貴重かを実感することは難しい しかし、現実は違う 時間は常に流れ続け、私たちはその流れに対抗することができない なのに無駄にしている 自分に言い訳してYouTubeをダラダラ見る 面白い動画が次々とサジェストされ、気が付けば数時間が過ぎている 週末

        • 福田和也「保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである」

          "保守"とは、横丁の蕎麦屋を守ることであるという考え方が存在する その考え方をもっともよく知る人物が福田和也であり、彼の人生と言葉からは、その意味が明らかになる トンカツ放談 福田和也と言えば、「トンカツ放談」である その対談は2008年前後に行われ、現在は休刊した「CIRCUS」誌におけるアウトロー作家、石丸元章との対談「揚げたてご免!!」をまとめた一冊である 「靖国神社は守らないけど、キッチン南海は守る。あの店は日本国の財産ですよ。ああいう店が街を支えている」という言

          2016年の週刊文春

          2016年1月、ベッキーの不倫事件が週刊文春によって報じられた 相手は紅白出場歌手で、この事件は「ゲス不倫」として一躍話題になった 事件後、週刊文春は一連のスクープを連発し、「文春砲」という名の下に世間を揺るがせた 「文春砲」は、芸能人から政治家まで、あらゆる分野の人々が恐れる存在となった その結果、人々の関心が週刊文春に集中するようになり、週刊文春は社会的な影響力を持つメディアとなる しかし、週刊文春とは本当はどのような組織なのか? また、スクープを連発する新谷学編集長は一

          2016年の週刊文春

          KREVA Class 「新しいラップの教室」

          KREVA Class KREVAと小林賢太郎のコラボレーション、期待しないわけにはいかない その組み合わせだけで興奮が止まらない なぜなら、KREVAはKICK THE CAN CREWとしてもソロアーティストとして一貫して日本語ラップに専念してきた才能あふれるアーティストである 一方の小林賢太郎は片桐仁とのコントユニット「ラーメンズ」のコントの中で日本語の可能性を巧みに追求してきたクリエイター(芸人という括りもできるが、もはやクリエイターと呼ばれるべきだ)だからだ この

          KREVA Class 「新しいラップの教室」

          小林賢太郎 POTSUNEN

          POTSUNEN ポツネンという言葉には不思議な響きがある そこに寂しく佇むという雰囲気がたった4文字で表されている ポツネンと同じような言葉にぽつりという言葉がある ぽつりと雨が落ちる ぽつぽつと雨が降っている ぽつりという単語ひとつで雨が降っている様子に風景が描写される ぽつぽつという単語が雨を修飾することでそれほど激しくない雨であることが想像できる 英語で表すなら”Rain”で終わってしまうところをぽつぽつ、ぽつりで目に浮かぶ ぽつねん、ぽつり、ぽつぽつには独特の寂

          小林賢太郎 POTSUNEN

          小林賢太郎演劇作品「うるう」

          YouTubeで期間限定公開だった小林賢太郎演劇作品「うるう」を見た 小林賢太郎が主催する「スタジオコンテナ」のXで告知がされていたことをきっかけに期間限定公開であることを知った 今年2024年は「うるう」の初演から4度目のうるう年だそうだ 私は先日、2006年と2007年に公演された「TAKE OFF〜ライト三兄弟〜」を見たことで他の作品も見たくなった 期間限定公開終了のギリギリのタイミングとなり駆け込みだった 上演された当時、私は見ていなかった ソフト化もされているが

          小林賢太郎演劇作品「うるう」

          小林賢太郎演劇作品『TAKE OFF』〜ライト三兄弟〜

          『小林賢太郎って危ない人なんでしょ?』 小林賢太郎について世間の人に聴いてみるとそんな声が聞こえて来るだろう 東京2020夏季オリンピックの演出を巡るディレクター降板騒動でダークなイメージを持った人も多いはずだ そもそも小林賢太郎って誰? 小林賢太郎って何をしてた人?という人にこそ小林賢太郎の作品に触れてもらいたい その最初の一歩に最適なのが「TAKEOFF 〜ライト三兄弟〜」だ 舞台に全力で挑むスペシャリストとしての小林賢太郎を見られるからだ 初心者にとっては入門編、あの

          小林賢太郎演劇作品『TAKE OFF』〜ライト三兄弟〜

          読書案内-上野千鶴子「情報生産者になる」

          毎日生活していると溢れ出る情報の洪水に巻き込まれることになる TV、YouTube、Instagram、X、ラジオ、ポッドキャスト、新聞...とにかく情報は自分たちを追いかけてくる 1つの情報を追っているとその数十倍の情報が追いかけてくる 情報の洪水を皆、どう生きているのだろうか 情報を整理する術を身に付ける書籍は沢山ある 中には「情報の捨て方」という書籍まである RSSリーダーでネット記事を収集しようとかインフルエンサーのpostを追うとかテクノロジーに頼った方法もある

          読書案内-上野千鶴子「情報生産者になる」

          在宅ワーカー必見!今年買ってよかったもの!

          今年買ったものでコスパ抜群のものを選びました 特に在宅ワーカーに勧めたい物に絞り紹介します! 是非とも参考にしてください! 電動昇降デスク電動昇降デスク、マジ最強 在宅ワーカーにとっての必須アイテムのデスクですが電動昇降デスクに切り替えたらもう元には戻れません 価格も24,999円と非常にお値打ち FEZIBOの電動昇降デスクは木目調で主張し過ぎず部屋に馴染むデザイン 高さ調節ボタンで70cmから117cmまで1cm単位で調節可能 丁度いい高さをセーブできるので

          在宅ワーカー必見!今年買ってよかったもの!

          「エモい」を「エモい」で終わらせないために

          伊藤万理華の展覧会「MARIKA ITO LIKE A EHIBITION LIKEA」に行った 渋谷パルコで開催された伊藤万理華の2022年の現在点を現した展示会である 乃木坂46時代からクリエイティビティの高さから評判だった伊藤万理華 展覧会の世界観を一冊に詰め込んだのが「LIKEA」だ 私が展示会を見て思ったのは「エモい」という感情を「エモい」で終わらせたくない、ということだった 「LIKEA」の表紙には伊藤万理華の言葉がある 思えば2022年は公私共に刺激的な

          「エモい」を「エモい」で終わらせないために

          佐藤優「日本共産党の100年」

          代表作となる一冊 2022年7月朝日新聞出版より刊行 日本共産党は「普通の政党ではない」というコピーが目を引く 日本共産党の光と影の部分-どちらかと言えば影の部分を書き出している 著者佐藤優の今後の代表作となることは間違いない 「日本共産党の100年」はデビュー作にして最高傑作「外務省に告ぐ」と驚異的記憶力で512日間の拘置所体験を記録した「獄中記」に並ぶ傑作である 鈴木宗男事件に連座し「外務省のラスプーチン」と呼ばれマスコミを騒がせた人物として、元外務省主任分析官の見地から

          佐藤優「日本共産党の100年」

          松岡正剛「サブカルズ」

          松岡正剛がサブカルを斬る 文化論・歴史論で名高い松岡正剛が遂にサブカルチャーを語る サブカルチャーといってもアニメ、マンガといった局所的なサブカル論ではない 音楽、都市といった「そんなものまでテーマにする?」といった驚きの視点もサブカルとして捉え包括的にこの世の全てを語る内容となっている 東京の都市においては秋葉原から竹下通りまで、ポップカルチャーはポケモンを、日本語ロックでは忌野清志郎からエレカシまで、サブカルをテーマに縦横無尽に語り尽くす松岡正剛ワールドの片鱗を掴める

          松岡正剛「サブカルズ」

          「この世にたやすい仕事はない」中学生こそ読んでほしいお仕事小説

          「この世にたやすい仕事はない」 このタイトルからどんな印象を受けるだろうか? たやすい仕事? 簡単な仕事? アルバイトみたいに責任らなくていい仕事? 仕事と聞くと大人がするものと身構えてしまうけど、仕事をしたことがない中学生こそ読んでほしい小説 それが津村記久子「この世にたやすい仕事はない」だ 一日コラーゲンの抽出を見守る仕事はありますかね?大人になると一度は思うこと 仕事しんどい もっと楽な仕事したい 裏表紙のあらすじにある 「一日コラーゲンの抽出を見守る仕事は

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          今聴くべきPodcast-奇奇怪怪明解辞典の神回

          今聴くべき Podcast それは奇奇怪怪明解辞典です Spotifyで配信中のトーク番組奇奇怪怪明解辞典の神回について解説します 偶然の出会い Spotifyで偶然サジェストされてきたことが聞くきっかけでした 赤いジャケットに謎の動物。もしや都市伝説の番組かと想像しながら聞いたところ低テンションなトーク番組が始まりました 「なんなんだよお前」「なんだようるせーよ」と基本ダベリ中心だけど少し品の良さも感じる どこが地元のお兄さん感も感じる オルタナティブロックバンドMO

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