書評-マツコ・デラックス「世迷いごと」
最近、マツコ・デラックスはTVに出過ぎ。
魅力が何だか分からない。
単に暴言を吐いてるだけでは。
そう思う人こそ「世迷いごと」を読んで欲しい。
何故、マツコ・デラックスは市民権を得るまでになったか。それが理解出来る。
「恵比寿で合コンしている女はいつまで経っても幸せになれないわ!」
「目黒川なんてあんなドブ川で桜なんか見て何が楽しいのかしら!」
TVではマツコが有名人・市井の人お構いなしに噛みつき、喝破する威勢の良さが売りだ。
だが、本書ではマツコが場末の飲み屋で、孤独を纏った空気で「女たち」を語る。
マツコは鋭利なキャッチフレーズで女たちを斬り捨てる
福原愛 -小学生で成人していた早熟な女 -
谷亮子-全てを手に入れる女 -
高岡早紀-騎乗位の似合う女 -
思わず膝を打つとはこのことだ。
本書で取り上げられる女たちは週刊誌もワイドショーも騒がせた女たちだ。
あのナンシー関も谷亮子を「この人選挙出そう」とコラムにしていた。
語り尽くされていると思ってもマツコ・デラックスに掛かればここまで腹落ちする表現で斬られる。
福原愛はマツコ・デラックス自身もTVで「あの古舘伊知郎を手玉に取った女よ!」とまくし立てていた。
「愛ちゃんは大人っぽいよね」と誰もが言うが「小学生で成人していた」である。
福原愛の持つ独特なアダルトな空気を見事に切り取っている。
最初の命題。
何故、マツコ・デラックスは市民権を得るまでになったか。
かつて深夜番組でマツコ・デラックスが、中島みゆき「タクシードライバー」を語っていた。
かつてマツコ自身が交際相手にふられた時に聞いた歌だという。
「この人も苦労しているんだな」と番組を見入ってしまった。
マツコ・デラックス自身、地を這うような地下社会から這い上がり、時代の寵児となった。
孤独を抱え斜めに暗闇から世間を見てきたからマツコ・デラックスに生み出せる言葉があるのだ。