「読みたい話が、書いてあった」
本はあまり買って読まないのだけれど
田中泰延さんの「読みたいことを、書けばいい」を、息子の診察待ち時間に読んだ。
田中さんとは実際にお会いしたことはない。
ただ、ほぼ毎日ツイッターで絡んでいる。
わたしのツイッターは長い間アカウントだけ取って、あまり積極的ではなかった。
だけど、自分のサイト(わたしはマミーズアワーズショップという、病気や障害のある子ども向けのお見舞い品を扱うECサイトを運営している)のアナリティクスを見てみると、ほとんど動いていないツイッターからユニークユーザーが流れてきていることを発見した。
あぁ・・・見ている人もいるんだなと思い、140文字という短い文章をつぶやいてみることにした。
つぶやきだした頃は、フォロワーもいないし、逆に知り合い以外フォローしようと思う人もいまいちよくわからないし。
やっぱりつまらなかった。
やめようかなと思った時、
140文字のつぶやきってコピーと一緒だよな。わたしの世代でコピーライターと言ったら「糸井重里さん」だな
と思って、糸井さんのアカウントを探した。
物凄いフォロワー数だった。だけどフォローしている人数はごくわずかだ。
どういう人をフォローしているんだろう?
そう思って見た中に、田中さんが入っていた。
聞いたことがない名前だし、大阪出身でコピーライター。しかもわたしの出身地である天六(天神橋筋六丁目)にあるBARで、これまたわたしの好きな映画のことをあれやこれやいう会なんかをたまにしている風味だ。
この人面白い!
直感的にそう思った。
そして田中さんのツイッターを見たら、毎日もの凄いつぶやいていた。いや・・・もう文字で喋っていた。
面白い人もおるもんやなぁと、コメント入れてみようと他の方のコメントを見たら、「僕のツイートにコメント入れるときはリプライにコメントしてください」と書いてあった。
え!!!そんなルールあるの??
な・・・なんだそのマイルール・・・ますます面白いと思った。
そんなこんなで、ほぼ毎日、田中さんのツイートを見るというルーティンにハマり、田中さんの書いたWEB上の文章をたくさん読むようになった。
そして、わたしにとってツイッターがライフワークのようになって行った。
そんな中で自分の思いを文章に書くようにもなった。ハフポストと自分の持つWEBサイト(みんなのチャーミングケアラボラトリー)で、病気や障害のある子どもの外見ケアやメンタルケア、それを支える家族のメンタルケアを総称した独自の考え方「チャーミングケア」を、家族看護でまるっとまかなうのではなくて社会で考えて欲しいという思いを発信するようになったのだ。
しかしながら、初めのうちは良かったのだけれどたちまち躓いた。
わたしの書きたい文章は、子ども目線で発信されるべきで、わたしは子どもじゃないではないか。
そうなってくると、わたしが書くのはいわば代弁で、なんだか信憑性がないような気がしてどう書いて良いかわからなくなったのだ。
そこでわたしは禁じ手を使った。
文章のプロである田中さんにダイレクトメッセージを送ったのだ。
田中さんはライタースクールの講師もされている方で、いわゆる「物凄いプロ」だ。
その人にタダでヒントをもらおうという・・・今考えると強烈にズルこっすい考え方だったのだけれども、藁をも掴む思いとはまさにこのことかもしれない、どうにも相談できる人が他に思い当たらなかったのだ。
だけど驚くべきは、田中さんはそのダイレクトメッセージに返信をくれたのだ。
基本、あなたが書くの記事は「随筆」という形になります。事実だけを伝えるなら報道。想像だけで書くなら創作、そのどちらでもありません。
「随筆」の定義は、「事象と心象が交わるところに生じる文章」です事象をまず読み手に伝える。そのうえで心象をすこしだけ書くのです。
9割9分8厘まで事象です。 さいごに思いを書けばいい 啓蒙は説得ではありません。読んだ人間が行動するかどうかなのです。
神か???神なのか???と思った。
この言葉に後押しされて、わたしはこの文章をハフポストに投稿した。
大人が思っている以上に、子どもは「人」なんだ
そしてわたしは、近々このチャーミングケアを啓蒙する一般社団法人を立ち上げる。
田中さんの著書「読みたいことを、書けばいい」には上記にいただいたアドバイスよりも、もっとたくさんの「読みたい話」が書いてある。
わたしが特に面白いなぁと感じたのは、編集者今野良介さんの異常な熱量のメールのくだりだ。
面白い人には、面白い人が集まるんだなと思った。
田中さん、ご出版おめでとうございます。
そして、その節は本当にありがとうございました。