テス勉しながら平日の清里高原に出かける暇人
大学生になるとつくづく実感しますが、大学生ってよっぽどのことがない限り“暇”なんですよね。特に平日に授業を全く入れない「全休」を設けると、もう暇人まっしぐらです。
そしてこの日も大学の期末試験期間中であるのにも関わらず「暇だなぁ」とノコノコどこかへ出かける始末。良い子のみんなは真似をしないようにしましょう。
ちょうど1年前にやった房総大回り同様、授業資料を持参してテス勉旅をスタート。中央本線を西へ進み、小淵沢駅を目指します。
これはRさんとの共通認識なのですが、「大学受験勉強は机がないとできないが、大学の期末試験の勉強は別段机がなくともできる」と感じています。受験勉強は暗記の他に過去問などの問題演習がありますし、それで机が必要だと思うのでしょう。そう考えると、大学生はホントにお気楽な連中です。
大月駅でボックス席を確保。211系にはボックス席のある編成と全てが横長のロングシートの編成の2つがあります。ボックス席が来た時は大いに喜び、ロングシートが来た時は盛大にガッカリします。“211系ガチャ”、往路は成功です。
甲府に入ると上空には雨雲が。ちょうどこの時間は雨の予報でしたが、甲府駅出発後の大雨襲来にはびっくり。最近こういう雨が多くて困ります。
小淵沢駅に到着、ここから小海線に乗り換え清里まで向かいます。ホームは雨で濡れています。
発車10分前から乗車が可能なのは好材料でした。なぜならボックス席で持参したお弁当を食べる場所が必要だったからです。これでゆっくり気兼ねなく食べられます。
ところがやっぱり夏ですね、清里高原への観光客がたくさん乗ってきました。僕の座るボックスにも老夫婦が1組いらして、立ち客も出てきました。2両のキハ110系では到底賄いきれません。
たくさんの観光客と1人の暇人を乗せて、列車は小淵沢駅を発車。八ヶ岳周辺の急勾配を避けるべく、大きくカーブを描きながら登っていくのが特徴です。
沿線のペンションやらログハウスを見て羨ましがりながら揺られること約30分、列車は清里駅に到着しました。僕を含め大勢の乗客が降りていき、車内は嘘みたいにガランとなりました。
ここ清里は、バブル期の「メルヘンブーム」で一躍名観光地になった地です。「高原=メルヘン」という謎の解釈で多くの企業が参入、退職後にペンションを経営する人も出てくるなど大盛況でした。一方で、“バカ者のまち”と揶揄し、清里本来の魅力と乖離したリゾート開発の現状を嘆いた記事も発行されていました。
ところがバブル崩壊後、ブームは一気に過ぎ去ります。企業は軒並み撤退、チヤホヤしていた若い人々もパッと姿を消しました。現在、駅周辺には当時のメルヘンチックなお店の“残骸”が残されています。一時のブームや流行に乗せた観光開発は長続きしないことを教えてくれます。
現在はメルヘンブームの反省をもとに清里本来の魅力である「美しい高原」が見直され、それを用いた観光誘致を行っています。特に有名なのが、「清泉寮ソフトクリーム」です。高原で育った牛さんのミルクでつくったソフトクリームは絶品です。
駅から歩いて20分弱のところに売店がありましたので、一人あるいてやってきました(ゆるい坂がきつかった)。お庭からは雄大な八ヶ岳高原の景色が広がっていましたが、天気が微妙だったのが惜しいところ。
ところでこのソフトクリーム、美味しいのは確かなのですが、溶けるスピードが尋常じゃありません。さっさと食べないと次から次へ液体と化し、コーンからあふれ出てしまいます。メチャクチャ硬いことで知られる「シンカンセンスゴイカタイアイス」に融解度を分けてあげなさいな。
清里での観光はこれで終了、折り返しお家に帰ります。帰る前に地元の方にかつての「メルヘンブーム」の印象について伺いたかったのですが、聞けるような人も状況もありませんでしたので、断念しました。
小淵沢駅に到着、始発の高尾行きに乗り込みます。始発列車とは運がいいぞ!と思っていたのですが………
はい、終了。高尾までこのロングシートに付き合わされる羽目になりました。別に211系のロングシートが嫌なわけではありません。ロングシートが硬くて尻の骨の髄がやられるのが嫌なのです…。
高尾駅に着いた時には、既に尻は満身創痍(大げさ)。「やっと降りられる、助かった~!」と喜んだのも束の間、乗り換えた快速電車もロングシートであることを思い出し、再び絶望するのでありました。チャンチャン。
《おしまい》