インファイトリー・レポート アーカイブレポート Note07:F-15
今回は戦闘機のアイコンでもあるF-15、愛称イーグルについて紹介します。
F-15はアメリカ空軍が開発した制空戦闘機であり、純粋に対空戦、対戦闘機戦を追求した機体です。
開発された経緯にはベトナム戦争の経験があります。端的に言えば米軍の戦闘機はミサイル万能論によって近接戦能力を捨てた結果、近接戦が強いソ連の戦闘機に惨敗しました。このことから戦闘機パイロットの1人が米軍にも近接戦に強い戦闘機が必要だと進言したことによってF-15の開発が始まりました。F-15に求められたのは圧倒的な近接戦能力。ミサイルに頼らずライフルとブレードだけで敵戦闘機を駆逐できる最強のドッグファイターとなるを求められました。結果、F-15は画期的な機構を採用しませんでした。その一方で既存の技術だけを使用した本機の信頼性は高く、戦場での稼働率も高水準にありました。また、既存の技術をブラッシュアップした結果、高性能な機体となることが出来ました。
F-15にはいくつかの伝説が存在します。1つ目は実戦での被撃墜数が未だに0機であるということ。採用から50年近く経っているF-15はいくつかの大規模な戦争や紛争に参加しています。それにも関わらず現在までの損失数が0であることはとても驚くべきことです。なお模擬戦において実弾でF-15を撃墜した事故が存在し、撃墜したのもされたのも日本の航空自衛隊が装備しているF-15Jであるという記録が残っています。もう1つは機体の半身が損壊した状態で基地まで帰還したことです。1983年に行われた演習中にF-15が他の歩兵戦闘機と接触。右腕と右脚が損失しました。F-15に接触した戦闘機は炎上し、パイロットはベイルアウト(緊急脱出)した一方で、F-15はアフターバーナーを使用して姿勢を戻し、16km離れた基地の滑走路まで帰還。無事着陸し、パイロットも生還しました。
高度な近接戦能力と上記2つの逸話によりF-15は「最強の戦闘機」と呼ばれています。
武装は米空軍標準のアサルトライフル、ブレード、バルカン砲、ミサイルが装備できます。また、アタッチメントを介することで爆弾を搭載することも出来ます。
F-15は様々なバリエーション機が存在しており、複座機のD型、自衛隊仕様のJ型、複座機をベースにマルチロール化の改修がされたE型があります。
F-15は基礎設計の古さが目立ってきており、F-22やF-35といった現行世代機の登場によって、旧世代機となりましたが、近代化改修や新形式機の製造によって、今なお第一線を張っています。