このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」
執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「皮膚の役割と柔軟性」です。
●身体を守る皮膚の役割
皮膚は当たり前のように身体に備わっていますが様々な役割がります。
転んで擦り傷ができた、虫に刺されて掻き過ぎて引っ掻き傷ができたというように怪我の対象になったり、肌をきれいに保つといった美容の対象になったりすることが日常で多いものです。
皮膚はケガや病気だけでなく、運動、柔軟性にも関わるものです。
その性質や役割を見ていきたいと思います。
皮膚は人体で最大の器官(臓器)です。
全身を覆っている皮膚の総面積は約1.6㎡、約たたみ一畳分といわれます。
身体の部位によって違いはありますが、厚みは約2mm、体重50kg方で約8kgの重さがあるそうです。
身体の部分で比べると頭の重さは体重の10%程度、臓器で比べると肝臓で約1000g、心臓で約250gなので、皮膚が最大といえるのではないでしょうか。
▼皮膚に守られている身体
皮膚はどんなことをしてくれている器官なのかをみてきましょう。
・保護の作用
外からの刺激(紫外線・微生物など)に対して体を守ります。
・分泌作用
皮脂や汗を分泌します。
皮脂腺から分泌される皮脂は皮膚の乾燥を防いだり、細菌の繁殖を防いだりする役割があります。
・体温調節作用
暑いときは発汗により体温の上昇を防ぎます。
寒い時には立毛筋を収縮させて体温が奪われないようにします。
・貯蓄作用
皮脂に脂肪を蓄える作用をもちます。
・排泄作用
体内の老廃物を汗腺から汗として体外に排泄します。
・知覚作用
触覚や痛覚、熱さ、冷たさ、かゆみなどの感覚をとらえる役割があります。
脂肪は身体のエネルギー源の一つ、それを蓄える役割をしていたり、スキンシップでは知覚作用が働いたりすることがわかります。
▼皮膚の構造
皮膚は生きるために必要な栄養素や化学物質を維持しています。
そして細菌などの外敵が体内に侵入するのを防いでいます。
皮膚は大きく分けて表皮・真皮・皮下組織の三層からできています。
表皮
皮膚の一番外側にあり、手にひら、足の裏以外は0.2mm以下の厚さです、
角質層・透明層・有棘層・顆粒層・基底層という順で重なっています。
基底層は皮膚の表面に向かって押し出され、最終的には「あか」「ふけ」として剥がれ落ちます。
このため表皮が一定の厚さを保つことができます。
正常な皮膚では基底層が顆粒層になるまで2週間、角層ができてそれが剥がれ落ちるまで2週間の期間があり、表皮細胞は1か月たつと新しく入れ替わります。
角化の速度は部位や年齢、また病気によって短く、または長くなったりします。
真皮
真皮は、タンパク質の一種であるコラーゲンがその大部分を占めています。
そして、その間をヒアルロン酸などのゼリー状の基質が水分を抱えながら満たしています。
これにエラスチンという線維状のタンパク質も加わって、肌に弾力を与えています。
これらの線維や基質を生成する細胞を、線維芽細胞といいます。
さらに、真皮には、血管やリンパ管、汗腺などがあります。
ターンオーバーのおかげで表皮は生まれ変わっていますが、その奥にある真皮線維芽細胞は残念ながら細胞分裂に乏しいのです。
加齢によりコラーゲンは減り、肌のハリは失われていきます。
紫外線を浴び続けると、肌の弾力が低下しますので、UVケアは大切です。
真皮まで深い傷が出来てしまうと、元通りの修復は難しく、傷あとが残りやすいといわれるので傷を作ってしまったら早めの手当てをすることが重要です。
また真皮には神経が通っており、熱い、冷たい、かゆいなどの刺激に対するセンサーの役割があります。
皮下組織
この組織は太い血管も通っていますが、主に脂肪細胞でできていて、外からの刺激に対するクッションのような役割をしており皮下脂肪組織とも呼ばれます。
貯蓄作用を持ち栄養をたくわえておく働きもあります。
皮下組織は皮膚を構成する三層のうち、一番内側にあり、皮膚と筋肉・骨をつなぎ合わせている部分です。
厚みが部位ごとに異なり、平均的な厚みは約2mm、特に厚い部分では10mm以上になるところもあるそうです。
▼皮膚が体温を調整するしくみ
2023年の夏は特に暑く、猛暑日が多い期間でした。
暑さとこれからやってくる寒さに対応するために皮膚には体温を調節する能力があります。
暑い時には汗腺でつくられた汗は皮膚の表面に出ます。
汗が蒸発するときに熱が奪われていくため、体温が下がります。
また、皮膚の血管を広げ温度が上がった血液をたくさん流すことによって熱を逃がすようにしています。
暑いと皮膚が赤くなるのはたくさん血液が流れている血管が透けて見えているためです。
寒い時は立毛筋の働きにより、毛穴や汗腺がふさがって熱が逃げることを防ぎます。
寒いと鳥肌が立つのはこのためです。
皮膚の血管が縮んで血液の流れる量を減らすため、血管が透けて見えることがなくなり肌が青白く見えます。
●柔軟性アップにも皮膚は大切
▼皮膚と身体の動きへの関わり
表皮、真皮、皮下組織で構成されている皮膚。
その動きが身体の動きに関連します。
柔軟性や関節可動域への影響は筋肉だけではありません。
例えば火傷をしてしまい、皮膚が突っ張ったような状態になったことはないでしょうか。
また、けがをして皮膚の縫合をしたというこがあればそこは固定していることになるので動きの範囲が小さくなります。
けがでなくとも、洗顔後に肌が突っ張ると柔らかさがなくなったようになりますし、乾燥してパリパリした感じの肌と、うるおいのあるプルプルの肌であれば滑らかさに差があると思います。
皮膚の状態により弾力や伸びて動く幅に影響があり、関節の可動域にも変化が生じるのです
▼関節が動く時の皮膚の動き
肘の曲げ伸ばしを例にして、関節の動きと皮膚の動きをみていきましょう。
肘を曲げると肘の間ににしわが寄ると思います。
これは皮膚が段差になって集まっているので肘関節の方向にまとまっているように思うかもしれません。
しかしこのとき皮膚の動きはその反対、関節が近づく方向と逆方向に向かって動いているのです。
関節周りの皮膚がその関節から離れていくことによって骨どうしが近づくためのスペースができて、曲げるという可動域ができるようになっています。
もし皮膚が関節から離れていく動きが少なければ、そこには皮膚が余って骨が動く場所を制限していることになります。
次に肘を伸ばす動きです。
肘が伸びれば皮膚のたるみがなくなっている状態にみえるので、関節から離れるように思うかもしれませんが、その反対方向の関節に向かって動いているようになっています。
これは関節が伸びる、骨同士が離れていくためには動くための面積が必要ということです。
もしも皮膚の量が足りなかったとしたら、それ以上面積を広げるための余白が足りないので動けなくなってしまうということです。
そして回旋の動きに対してです。
これはシンプルに、回る方向と同じ方向に皮膚が動きます。
例えば肩関節の外旋という、外側に向かって回す動作、内旋という内側に向かって回す動作があります。
上腕骨が外側に向かうのに合わせてそこの皮膚も外に向かって移動します。
反対に内側に向かうのであれば皮膚も内に向かって移動します。
このような皮膚の動きを利用すると関節の動きが改善されることがあります。
皮膚の面積が足りないからといって移植をしたり、余っているところをはぎ取るわけではありません。
その関節周りの皮膚を移動させる手伝いをすればよいのです。
肘を曲げる際に皮膚が関節の周りから離れてくれないことで骨が移動するスペースがなくなるので、肘の関節から外側に向かうように誘導します。
肘から上は肩の方に向かって離れるように、肘から下は手首の方に向かって離れようにして、皮膚が移動する方向への動きをよくします。
反対に肘が伸びる動きが行いにくければその分の皮膚が足りないということで、その周りから補うようにします。
肘から上は肘に向かって集まるように、肘から下は肘に向かって集まるように誘導します。
そのようにすることで、肘が伸びることに必要な皮膚の面積を増やすことができます。
▼ストレッチと組み合させて伸びやすく
筋膜という言葉を見たり聞いたりしたことがあるかたも多いと思います。
その筋膜も層になっており、体の表面に近い、浅いところにあるもの、筋肉の筋繊維を包んでいる深いところにあるものと数種類にわかれています。
その中で一番浅いところにある筋膜を浅筋膜といいます。
この浅筋膜は皮膚の三層目にある皮下組織に含まれています。
浅筋膜はその下にある筋膜(深筋膜)との摩擦を抑えて滑りをよくする役割があります。
また、様々は方向に動くことができる組織なので動きが固まらないようにしておきたいものです。
身体を伸ばし、柔軟性を上げるためにストレッチは大切な運動要素で取り組んでいる方も多いと思います。
皮膚と筋膜を含めたアプローチを合わせることによってさらにストレッチの効果が上がることも期待できます。
浅筋膜は痛さがでるようにグリグリと圧をかけなくても、手でさすったり、手を乗せる程度の圧だったり、皮膚をつまむようにしてあげることで緩むともいわれます。
関節の動きにくさ、可動域の狭さがある部分は筋肉がカタい、弱いといった考えを持つこともあると思います。
そのため強く揉んだり、押したりしがちですが、表層の部分が硬くなっているだけ場合もあります。
もちろん身体の深いところに硬さがあればそこに対処することもあり、グリグリと圧がかかることがイタ気持ちよく好みであればよいことです。
それが苦手な方は、皮膚の滑らかさを戻すことでよくなることもあるので、身体の仕組みとして使える改善方法だと思います。
▼皮膚の動きを使った関節可動域改善の例
肘が伸びにくい時は、肘の上下の皮膚を肘の中央に集めるようにします。
肘が伸びるために必要な皮膚の動きをつくります。
太ももを持ち上げると太ももの付け根に詰まるような感じがあったりする場合は、股関節、太ももの付け根から皮膚を遠ざけるように動かします。
皮膚は関節の動きに関連するものですが、もちろん筋肉のカタさ、関節組織の不具合によって可動域が狭くなっていることもあります
常に痛みがある、動かすと痛みが強くなる場合などは整形外科など専門機関を受診するようにしましょう。
●まとめ
・皮膚は三層構造で身体を守る作用があります。
・皮下組織には浅筋膜が備わっています。
・皮膚の動きの良さが柔軟性に影響します。
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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/
本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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