腕の筋肉の機能とアプローチ
このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「腕の筋肉の機能とアプローチ」です。
●上腕部の筋肉と機能
5月も後半に入りましたが夏日と呼ばれる高い気温の日も出ています。。
半袖でも寒さを感じにくくなり、梅雨に入るまでの貴重な気候です。
半袖になる、夏日があるということは薄着になり腕のラインがわかりやすくなる時期です。
今から夏に向けてというには遅いとあきらめずにアプローチしてみましょう。
そして見た目だけでなく、腕の筋肉は肩の動きなどにも関わる部分です。
筋肉、関節の機能やトレーニング、ストレッチなどを含めてみていきます。
・上腕三頭筋
腕の裏側の「二の腕」と呼ばれる部分が上腕三頭筋です。
3つの筋繊維の束で構成され、部分により長頭、内側頭、外側頭とあらわされます。
主な機能は肘関節の伸展という肘を伸ばすこと、そして肩から腕を後ろに振る肩関節の伸展です。
日常では前方向に腕を伸ばして扉を押し開けたり、手をついて身体を支えたりするときに筋力を発揮しています。
・上腕二頭筋
腕の表側の力こぶに当たる筋肉です。
「二頭筋」というのは筋繊維のまとまりの束が2つありそれらで構成されているものを指します。
上腕二頭筋の1つは長さがある長頭、もう一方は短頭と呼ばれます。
両方とも肩甲骨からついていて腕の表側を通り、肘を越えて前腕部分についています。
主な機能は肘を曲げる動きの屈曲、肩から腕を前にあげる肩関節の屈曲です。
・上腕筋
上腕骨と前腕の尺骨をつないでいる筋肉で、肘を曲げることに働きます。
上腕二頭筋は肘と肩の動きに機能しますが上腕筋は肘を曲げる専用の筋肉です。
物を持ち上げたりするとき、また急激に肘が伸びないように制御する働きをします。
特に腕をスッキリ見せたいと考えていれば上腕三頭筋、上腕二頭筋、上腕筋という上腕部というところに対してアプローチすることが多いと思います。
●上腕部のトレーニングとストレッチ
▼たるむイメージがある「二の腕」。
上腕三頭筋は表側の上腕二頭筋とくらべると日常で使われにくいといいます。
何かものを持ったり抱えたりするのは自然と肘が曲がるので上腕二頭筋が優位になります。
スマートフォンを持って目の前に固定するのも上腕二頭筋です。
意識的に肘を伸ばすことがほとんどなく、重力によって肘が下に伸びていくのであれば大きな筋力を発揮しているとはいえません。
筋肉が働く機会が少なければやはり筋肉は落ちて、脂肪が目立つようになります。
そして肩と腕の境目がなくなったようになり丸みのある腕になってしまうということがあるのではと思います。
皮下脂肪が固まってしまえばセルライトという脂肪の塊があらわれます。
また、腕のむくみが出ていることもあります。
デスクワークなどで動きが少なくなり肩周り、肩甲骨周りを動かすことが少なければ血液循環も悪くなり水分が滞りやすくもなります。
肩は凝ってカタくなっているのにすぐ隣の二の腕は緩いといった対照的なことが起こりますが、上腕三頭筋も肩甲骨につくため動かさない、動かしにくくなることに関連があります。
・トライセプスキックバック
四つん這いになり片手にウエイトを持つ。
肩甲骨を後ろに引いて安定させ、肘を背中のやや上に持ち上げる。
肘の高さを固定したまま後ろに向かって伸ばす。
肘の高さを固定したまま曲げてもとに戻す。
・リバースプッシュアップ
床に座り、身体の後側に手を着く
脇を締めたまま肘を曲げて身体の重さをかける。
肘を伸ばしもとに押し上げる。
・上腕三頭筋のストレッチ
頭の上で片側の肘を曲げ、反対の手で支える。
▼日常は表側の筋肉を使いやすい
腕の表側の上腕二頭筋は力こぶといわれる部分にあたりますが、肘を曲げるために働くので上腕三頭筋と対になる機能を持ちます。
このような対象の働きをする筋肉同士を拮抗筋と呼びます。
比較的、持久力のある筋肉なのでそれほど筋肉痛が起こる部分ではないと思います。
身体の前側で作業をすることが多い日常では肘から先を細かく使って動かしているため、筋肉痛を生じていなくても負担はかかり疲労もたまりやすいところだといえます。
正面から見えやすく、力が入る感覚がわかりやすいためトレーニングの対象になりやすい傾向があり、ダンベルやバーベルを持って行うアームカールというエクササイズは定番にもなっているのではないでしょうか。
筋肉をつけて腕を太くするといったことでは上腕二頭筋よりも上腕三頭筋を鍛えていくほうがよいといったことがあります。
それは「二頭筋」と「三頭筋」では「三頭筋」のほうが筋の束が多いからです。
比較的、日常で使う上腕二頭筋、あまり使わない上腕三頭筋といったことでもそれぞれのバランスを考えて両側ともトレーニングするのがと思います。
・アームカール
身体の前側で逆手でウエイトを持つ。
肘を曲げてウエイトを胸、肩に向かって引き上げる。
肘が伸びきる手前までゆっくり戻す。
手首が内向きに曲がらないようにしましょう。
・上腕二頭筋のストレッチ
腕を後ろに向けて台の上におく。
肘から先、親指側を内側に向かって捻る。
肩と肘を遠ざけるようにして伸ばす。
●腕と肩、肩甲骨のつながり
▼腕の筋肉は肩の動きにも重要
上腕二頭筋、上腕三頭筋とも肩甲骨から上腕骨につながり肩関節を動かす筋肉としての働きがあります。
腕のシェイプアップも目指したいですが肩関節の機能としてもコンディションがよいことが大切です。
肩関節の痛みを起こすものに上腕二頭筋長頭炎という症状があります。
二頭筋の1つにあたる長頭の部分は上腕骨の上側にある、大結節、小結節というところの間を通っています。
肘を曲げたり肩を動かしたりすることでこの間の部分で摩擦が生じ、炎症を起こしてしまう症状です。
主な原因は使い過ぎ、筋力トレーニングでの負荷のかかり過ぎやフォームの誤り、不良姿勢、加齢による筋肉の柔軟性の低下などです。
使い過ぎではスポーツの投球動作や家事などにより腕、肩に負担がかかることが含まれます。
炎症なので安静、鎮痛剤、そして柔軟性と関節の動きを整えるようにしていくことが必要です。
▼腕の筋肉と姿勢の見え方
上腕二頭筋長頭炎に限らず、肩の動きが悪くなるようなものは姿勢の影響があります。
猫背になったまま腕を上にあげようとしてもしっかりあがりません。
そのように姿勢を正しく保つことに対して腕の機能を考えます。
上腕二頭筋の短頭という部分は肩甲骨の烏口突起というところから上腕骨、橈骨に向かって付着しています。
肘を曲げれば前腕が肩に向かって近づきます。
一方、筋肉のカタさがあれば肩が前腕に向かって近づくことができます。
これは肩甲骨を前側に倒すことになります。
そうすると肩甲骨が首の上に乗りあげてくるようになるので猫背のようになります。
姿勢が悪ければ肩の動きも悪くなり、腕の筋肉にも余計に負担がかかります。
それをさせないために使えるようにしておきたいのが上腕二頭筋の拮抗筋である上腕三頭筋、特に長頭です。
3つある筋の束のうち長頭のみが肩甲骨と付着しています。
上腕三頭筋は肩の伸展という、腕を後ろに引く、振るような動きに働きます。
これは上腕骨が後に動き肩甲骨に近づくことですが、反対に肩甲骨が上腕骨側に近づけば肩甲骨は後ろ側に戻ることになります。
上腕二頭筋と肩甲骨の関係の反対の動きです。
肩甲骨が前側に乗り上げるようになり猫背になるのを予防するには上腕三頭筋の長頭へのトレーニングが対策の1つです。
・トライセプスエクステンション
仰向けになりウエイトを持ち、天井に腕を伸ばす。
肘の位置を固定したまま曲げる。
もとの位置まで伸ばして戻す。
上腕二頭筋と上腕三頭筋の長さ、筋肉のカタさの違いが分かりやすいのが姿勢を横向きから見たときです。
力みがなければ腕は重力に対して真下に向かって落ちているのですが、腕の筋肉の状態によって重力に逆らうように位置していることがあります。
姿勢①は肘が曲がっている状態なので上腕二頭筋や上腕筋といった肘を曲げる筋肉が短くなっていることが考えられます。
姿勢②は腕が後ろ方向に角度がついているので上腕三頭筋が短くなっている可能性があります。
肘が曲がっているので表側もカタくなっている場合があるか、重力に対して下に折れ曲がっているだけかといったことがあります。
猫背や腰が反っているといった自覚しやすいところはわかりやすいですが、自然に立っていると気が付かないことが多いかもしれません。
改めてみると腕周りの筋肉がカタくなっていて姿勢にあらわれていることがあります。
●まとめ
腕はすらっとしていたり、太く力強く見えたり見た目の印象につながる部分です。
しかし、筋肉がカタいことや筋力不足により肩の動きや姿勢にも影響します。
見た目も機能もコンディションがよい状態をつくりましょう。
・上腕二頭筋と上腕三頭筋は対になる働きをする拮抗筋。
・上腕二頭筋の方が日常で使いやすく上腕三頭筋は使う機会が少ない。
・腕の筋肉も姿勢に影響する。
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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/
本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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