前鋸筋のストレッチとトレーニングで肩甲骨の機能向上!
このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「前鋸筋のストレッチとトレーニングで肩甲骨の機能向上!」です。
●前鋸筋は肩甲骨の動きにとても大切
前鋸筋(ぜんきょきん)を取り上げていきます。
どちらかというとあまり知られていない筋肉だと思います。
大まかな特徴は胸の側方部にあり、胸郭と肩甲骨の間に存在する比較的大きい筋肉です。
肩甲骨を動かすための筋肉で身体にある以上やはり大切な部分です。
鋸(のこぎり)という文字が使われていますが、その歯のようにギザギザとしたかたちをしている特徴があります。
・前鋸筋
起始:第1~第9肋骨の外側
停止:肩甲骨の内側縁
主な役割:肩甲骨の外転、上方回旋、下方回旋
肩甲骨を固定したときは肋骨の挙上
肩甲骨に対して外転という機能を持つのはこの前鋸筋のみ、非常に重要な役割をしています。
今回はこの外転の機能をポイントにしていきます。
外転というのは肩甲骨が背骨側から離れるように、身体の前方向に動くことです。
腕を前に伸ばそうとして手先だけも前に動かしても距離は腕の長さのみです。
それに加えて背骨を肩甲骨から遠ざけるように動かすことができるとその動いた距離の分が長くなります。
これは腕を長く使えるといったことで日常はもちろん、スポーツでも有効な動作です。
スポーツでは特にボクシングで使われる動きで発達しやすいことから「ボクサー筋」といった呼ばれ方もしています。
ボクシングは相手にパンチを当てる競技ですが、腕を遠くに伸ばしてリーチを出すことは肩甲骨の外転が非常によく使われます。
ボクサーは背中が広く筋肉が発達しているように見えますが、前鋸筋が使われることで肩甲骨の外転が強くなり、それに伴って背中が広くなっているともいわれます。
また、前鋸筋は脇腹の筋肉と連結があるため身体の回旋でパンチを打つことでより使われやすいところになります。
その他水を掻くための腕のリーチを伴う水泳、ダンスなどの腕の動きを広くダイナミックに見せるような競技では肩甲骨の外転運動はよく使われているものだと思います。
●猫背と前鋸筋
「肩甲骨が外側に広がって背中が丸い」というのは猫背の姿勢に使われるようなフレーズです。
これは肩甲骨と背骨の動きが連動して動くようになっているからです。
背骨の肩甲骨のあいだにある部分を胸椎といいますが、これが後ろへの丸みが強くなると猫背といわれます。
肩甲骨は胸郭の上にのっています。
背骨とつながる肋骨は背骨の動きよっても動かされますので、丸くなった背骨に合わせて肋骨も前側に丸まるようになりそれに合わせるように肩甲骨が前側に乗るようになります。
前鋸筋が自ら活動して肩甲骨を前に出していることよりも肩甲骨が外転してしまった影響で短縮し固まりやすい状況になってしまったことが要因としてあげられます。
筋肉の働きも丸く狭くなっている胸やお腹の筋肉よりも丸まらないように支えている背中側の筋肉のほうが活動量が多くなっています。
そしてそのような姿勢になり、前鋸筋が固まり動きにくくなるのは日常での動きが少ないことも考えられます。
肩甲骨の外転は腕を前方に動かすための動作ですが、日常の生活動作が身体の前側で行うことがほとんどです。
猫背になりやすいデスクワークやキッチンに立ってのお料理など腕を大きく使うことが少ないもので、意識して大きく動かさないと1日の中で腕を高く上げたということがない日もあるかもしれません。
●前鋸筋のストレッチで腕の動をスムーズに
前鋸筋の柔らかさが生かされるのが腕の振りです。
人は歩くとき、さらに走る時にも自然と腕を振ります。
意識して大きく振っていなくても肩甲骨が動くことで上半身の回転が生まれ、骨盤の回転とともに手足を動かして進んでいます。
この腕の振りは肩甲骨を後ろに引くという動作が伴い、この動きは外転の対になる内転というものです。
前鋸筋がカタくなってしまうと肩甲骨が肋骨に張り付いたような状態になり、筋肉が短縮して伸びにくければ内転への可動域が低下します。
しかし腕を振るという動作はある程度行われるため、身体は肩甲骨を動かさずに実行しようとします。
そこで過剰に動くところが肩甲骨の先にある肩関節です。
肩関節は肩甲骨と腕の上腕骨で構成される「肩甲上腕関節」といわれる部分です。
肩甲骨がしっかりと動けば背骨方向に引くように回旋し、肩関節も後ろ方向についてきます。
肩甲骨が動きにくく背骨方向に動かなければ肩関節のみで腕を振ります。
そうすると肩甲骨と肩関節で動きで行っていた腕の振りを肩関節のみで行うことになり、それが肩へのストレスになります。
前鋸筋の柔軟性を保つことで歩くといった日常動作で起こる肩関節の負担を抑えることができるといえます。
また肩甲骨の内転動作が不具合なく行えれば胸郭の回転がスムーズに行え下半身の回転にもつながります。
ランニングなどで速さを求めている、スムーズに身体を運びたいといったことにも有効だと思います。
▼前鋸筋のストレッチとほぐし方
●猫背だけでない前鋸筋の姿勢への影響
前鋸筋の外転作用は猫背という前方方向への影響だけではないことがあります。
人は身体を左右均等に使っているかといえばなかなかそうはいきません。
前鋸筋が片側のみがカタさや緊張が出ることで起こる不良姿勢があります。
シンプルなものでは右側の前鋸筋が外転方向に短縮すると右の肩甲骨が前側に出て肩や腕も前側にくる傾向があります。
この場合、姿勢を背中から見ると右側の肩甲骨が左側と比べて背骨から離れているように見えます。
これは胸郭がまっすぐな状態に対し肩甲骨が動いていることで起こります。
この右の前鋸筋がカタくなっているパターンで身体の動き方が反対になっている場合もあります。
胸郭という肋骨や胸椎も関節がたくさんあるので身体を捻る運動が可能です。
肩甲骨が前にでると肋骨の前側に近づき距離が短くなることですが、肋骨が肩甲骨に向かって近づくという状況もあるはずです。
肩甲骨はまっすぐ正面を向いているものに対して前鋸筋が短縮すれば身体が右方向に捻るように動きます。
このようになると背骨や肋骨が右向きに捻られた状態になります。
さらに背骨には特徴があり、胸椎の部分は右に捻ると同時に右に側屈するという動きをします。
前鋸筋が全ての原因ということはありませんが、片側の短縮や過緊張により胸郭の回旋と傾きが生じることがあります。
肩の上げにくさや、動かしたときの上半身の動きに大きな差があれば前鋸筋の働きをよくしていくようにしてみましょう。
●ただ柔らかいだけでもダメ!前鋸筋の働きの悪さに注意
肩甲骨は腕の土台になっていて、前述のように胸郭に乗っています。
肩甲骨が滑らかに動くことで肩や腕も滑らかに動くことができますが、反対に土台としての安定感が不足していることがあります。
スポーツの特性で肩甲骨が背中で鳥の翼のように浮き出ていることがあります。
特に水泳選手は肩回りの柔らかさと強さでストロークをすることで立体的に肩甲骨を動かせることが多いと思います。
トレーニング方法もあると思いますが、これは自分の意志で背中から浮きだすように使ったり引き付けたりができるので筋肉や関節の機能が優れているのだと考えられます。
一方、前鋸筋による肩甲骨の安定性が不足していると浮き出てしまうことが優位になり、しっかりと胸郭の上で止めることができません。
前鋸筋は腕立て伏せのように手をついて身体を支えたときに肩甲骨と肋骨を引き付けて安定させます。
この引き付ける力が不足すると背中から浮き出てしまうようになり、自身で安定させるようにコントロールできないものを翼状肩甲(よくじょうけんこう)といいます。
翼のように使えるといったイメージの呼び方ですが、腕を使うための土台としての機能が足りていません。
この場合、腕で身体を支える際、肋骨が肩甲骨からぶら下がるようになり、肩周りが安定されていない使い方になります。
肩甲骨がガチガチに固まっていれば運動時のパフォーマンス肩こりなどの影響が考えられますが、ぐらつくように柔らかいというもの問題です。
前鋸筋の働きにより動かせるときは動かす、止める必要な場面は止めて安定させるといった両方のコントロールができることがよいのです。
▼前鋸筋のトレーニング
肩甲骨の動きを意識して行いましょう。
●まとめ
前鋸筋の役目である肩甲骨を安定さえるためにとても重要な筋肉です。
特に肩甲骨の外転という動作に機能するのは前鋸筋のみです。
肩が前に出ているから肩甲骨を寄せるといったことで無理に外転の反対動作をすることにならず、肩甲骨が乗っている胸郭の動きもよくできるようにしていきましょう。
・前鋸筋は肩甲骨から腕を長く使うときに働く
・柔らかいことで腕がスムーズに動かせる
・胸郭の上にある肩甲骨を安定させ腕の力を助ける
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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/
本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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