股関節の回旋運動と左右の動き
このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「股関節の回旋運動と左右の動き」です。
●股関節には人それぞれ違いがある
▼関節のはまり方と可動域
前回のブログで紹介した関節の軟骨が減少する変形性股関節症、大腿骨と寛骨臼のはまり方が浅い寛骨臼形成不全。
これらは関節のかたちによって動かしにくさがあらわれるものでした。
さらに追加してしまいますが、可動域に関連する骨格の特徴があります。
それが大腿骨の捻転角というものです。
これは大腿骨のかたちの個人差です。
股関節を上から見たときの図です。
上の図が正常といわれる股関節のかたちです。
大腿骨のはまっている部分が骨幹に対して約10~15度が適正といわれています。
2つめの図はその部分の角度が大きく、前方に向かっています。
これは前に捻じれている角度が大きい状態で、過前捻という呼び方をします。
この場合、寛骨臼が大腿骨頭を覆っている割合が少ないため、股関節が不安定といえます。
そのため股関節を内側に捻るようにすることで覆われる面積を補います。
体の姿勢としては、内股のようになります。
3つめはその反対、角度が小さい状態です。
このような状態を後捻という呼び方をします。
この場合は股関節を外側に向けて回旋させている方が安定します。
▼関節の状態によって得意不得意がある
はまっている角度は前捻が強い方が股関節を外に広げようとするとそれは体の形状に合わないことをしている場合があります。
開脚にチャレンジしていてなかなか広がらない、ストレッチを頑張ったあとに違和感があるなどは筋肉よりも関節やそれを守る靭帯への負担がかかりすぎているのかもしれません。
また、片脚は正常の角度、片脚は後ろ側に動きやすい後捻をしているという場合もあります。
正常と比べるとよくないというわけではなく、その方の骨格の個人差なので、それに合わせた動きが必要です。
開脚でいえば前捻の骨格は股関節が外に広がりにくいかもしれませんが、反対に後捻の方は足が内側に閉じにくい、回りにくく苦労している、後ろに回旋しやすいものの筋肉のカタさで伸びにくいというパターンもあります。
●股関節の回旋の動き
▼股関節の内旋について
股関節は太ももの骨である大腿骨と骨盤の寛骨というところの寛骨臼でつくられています。
寛骨臼にはまっている大腿骨の一端はボールのように丸いかたちをしています。
球状関節という分類をされており、立体的に動かすことができるかたちになっています。
そのため、回旋という捻る動作が可能な関節です。
その回旋の一つが内旋です。
大腿骨のかたち、捻る角度ででてきた、内側に捻る動作が内旋です。
イメージでいうと内股になった状態で膝の向きも内側に向きやすくなります。
長座で足を前に伸ばして、足全体でつま先を内側に向けるようにすると股関節は内側に転がります。
このような動作は骨盤に対して股関節を内旋させています。
この内旋という動作がよく働いていることがわかるのが、スポーツの動きです。
サッカーのキックの蹴り出す側の足や、格闘技のキックの際はその蹴り足は内旋動作が入っていることがあると思います。
(選手の特徴や蹴り方の使い分けがあれば全く違うこともあると思いますが…)
股関節に対して骨盤を捻っていくことも回旋の動作です。
体を捻ることで力をためて、対象物や次の運動につなげるというときに回旋運動が入っています。
回旋系のスポーツで取り上げられやすいゴルフ。
そのスイングは捻る動作があってクラブが上下に振られます。
最初のアドレスではそれぞれに足と腰は真っすぐボールの方に向いているとします。
(その方の股関節のかたちや筋肉によって真っすぐでないときもあると思います。)
右打ちであれば体を右に向かって捻っていくと、足先は真っすぐでも腰の向きは右に向かって回旋していきます。
この時に、右足の股関節は内旋しています。
★ゴルフのバックスイング 右足は内旋、左足は外旋
野球の右ピッチャーであれば左足を持ち上げて軸足の右足に乗った時に右の股関節は内旋、踏み込んだ左足に向かって上半身が向かっていくように投げるときに左足の股関節は内旋していきます。
▼股関節の外旋
内旋と対になる関節動作として、外旋があります。
内旋が股関節を内側に向かって捻る動きだとすると、外側に向かって捻る動きです。
内股なるのと反対に外股、ガニ股になりやすい動きです。
ガニ股は嫌だと思うかもしれませんが、体を動かすには大切な動きです。
先ほどと同じくゴルフを例にとると、右に向かってバックスイングをすると、右の股関節が内旋、左の股関節は外旋の動きをしています。
左の足が地面に固定されて、それに対して骨盤が右に向かっています。
バレエの美しい立ち姿も股関節の外旋があり表現がされています。
力士の力強い四股も外旋があることで安定します。
あぐらで座る際にはこの外旋が必要です。
また横座りをするときには片側が外旋、反対足が内旋のかたちになります。
いつも決まった方向に向けることがあれがそれぞれの股関節で得意な方向があるのかもしれません。
▼股関節の内転
股関節の内転という動きは大腿骨が体の内側寄りに動く動作です。
足を内側にする動作は普段使っているのか?
というと、無意識でも座った時に足を深く組むと両足が重なるので内転の動きです。
電車で足を開いて立っていたら隣の人とぶつかりそう、そこで足の幅を狭くしたときは内転です。
今は日常のことではないかもしれませんが体育の授業であったかもしれない平均台、体育座りで膝を閉じているとき、このようなことでも股関節が内転方向に動いていることになります。
これらは膝同士が合わさったり重なったりしているのでわかりやすいことかもしれません。
私たちが真っすぐに力のロスをせずに歩くには股関節の内転ができていることです。
極端に足が外に向いて歩いている場合、力の方向は外側に向かうことになります。
足の幅だけで見ても体の中心に向かった方が外側に向かうよりも距離が出ます。
綱渡りやモデルさんのウォーキングのように一本の線の上を歩くまではいきませんが、わずかに股関節が内転をすることで歩くための重心移動をしているのです。
▼股関節の外転
股関節の外転は内転と反対方向、開脚をするように外側に向かう動きです。
外股、ガニ股で想像がつくかもしれませんが、股関節が外側に向いて開いていれば外旋とともに外転の動きも強くなっている傾向があります。
見た目でよくないということになってきますが内転の動きと共同して働くことが大切です。
人は歩く時には足一本で支えるタイミングがあります。
このときに内転が強すぎる、外転が機能しないといったようなことがあると立位の際に骨盤の位置が大きくずれて歩くようなことになります。
股関節を横方向に動かす動作ですが真っすぐに体を前に進めるということにも関連する動きです。
★片足で立った際に軸足と反対側に傾く
股関節の外転の筋力が働きにくいかもしれない
●内旋と外旋、内転と外旋に関連する筋肉
▼一つでいろいろな役割を持つ股関節の筋肉
他の筋肉でも多くあることですが、一つの筋肉で前後、左右、回旋といろいろな方向に働く筋肉が集まっています。
中殿筋:お尻の筋肉に分類されます。
筋肉全体としては外転に働きます。
ややこしいかもしれませんが、筋肉の部分よって内旋と外旋の両方の機能をもつ優秀な筋肉です。
体を横から見たときに、大腿骨の大転子という部分より前側は内旋に、後ろ側は外旋に働きます。
内転筋:太ももの内側にある筋肉です。
いくつかある筋をひとまとめにして内転筋と表現されることがあります。
役割は太もも内側に閉じる内転と外に回旋する外旋です。
その他、足を後ろから前に向かう屈曲、前から後ろの動かす伸展の動きにも働きます。
開脚で足を開くことで着目されがちな筋肉ですが、日常では足を体の中心側においてバランスをとり支えるという役割をしています。
★内転筋のストレッチ
片足を外側に伸ばし、反対足は膝立ち、正座のようにします。
腕で体を支え、背筋は真っすぐにします。
自然な呼吸で20秒程度、反対側も同様に。
大殿筋:お尻のかたちをつくる厚みのある筋肉です。
股関節の外旋に機能します。
足を後ろ方向に動かす伸展、骨盤を後ろに傾ける働きもあります。
座り仕事が長い方はこの筋肉が圧迫されることが多い、大殿筋が動くことが少ない傾向があります。
深層外旋六筋:この筋肉は大殿筋の下の層にある6つの筋肉の総称です。
梨状筋、大腿方形筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、上双子筋、下双子筋という6つで、すべて股関節の外旋の働く機能を持ちます。
バレエのプリエのように体の中心で外旋するような動きはこれらが働き、股関節を安定させることがよいと考えられます。
一方、カタくなることで梨状筋のそばにある坐骨神経を圧迫してしまいその痛みの原因になることがいわれています。
★右側の梨状筋のストレッチです。
片膝を曲げてその上に反対側の足をかけます。
かけた足側に両足を倒していきます。
股関節から内側に回旋させるようして行いましょう。
自然な呼吸で20秒程度、反対側も同様に。
大腿筋膜張筋:骨盤の前側の骨に薄く小さくつく筋肉です。
股関節の外転と内旋、太ももを前に持ち上げる屈曲に働きます。
筋肉自体は小さいですが、太ももの外側の筋膜について膝関節の動きも関連する部分です。
●股関節の動きと姿勢
▼股関節の動きで変わる全体のシルエット
これまでの内旋、外旋、内転と外転も姿勢に関連してきます。
はじめの方で書いたように、大腿骨が骨盤にしっかり安定させるために内旋をしている、後ろへの捻りが優位なので足が外側に向いている方が立ちやすいといったことがあります。
その方の骨格によるものや、筋力、筋肉のカタさや緩み方によっても変化します。
まっすぐに立っていたとしても、片側の骨盤が前に出ていたりすれば左右の内旋、外旋の力に差があることがあります。
内転と外転では、片側の腰が横にスライドしているようなときには左右の内転筋や中殿筋の筋力に差がでていることが関連していることがあります。
猫背や反り腰といったことは気が付きやすいかもしれませんが、左右の差はあまり気が付きにくいことが多いように思います。
★ちょっとした立ち姿でも股関節の左右の動きの違いがでます。
これが部分的な疲労や動きにくさになっていることも・・・。
姿勢の変化は股関節の動き、その筋力差だけでなく、背中や腹筋、足首の動きなども関連して起こることです。
股関節は立体的に使うことができる、歩く、捻る、座るといった体を移動させるためにはなくてはならないものです。
昔からカタいからと、何もせずにいる、とにかくきつめに伸ばすといった好みもあると思いますが、様々な方向で動くように大切に扱っていきましょう。
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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/
本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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