股関節の前後の動きと姿勢について
このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「股関節の前後の動きと姿勢」です。
●股関節の全体像
▼骨盤と大腿骨の関節
股関節は下肢と骨盤をつなぐ体を動かすために非常に重要な関節です。
カタいことを気にされている方も多い部分ですがその機能や役割をみていきたいと思います。
股関節は骨盤と太ももの骨である大腿骨で構成されています。
骨盤としてひとまとめになっていますが股関節を形成する部分の骨には寛骨という名前がついています。
その寛骨には臼のようなくぼみがありそれを寛骨臼といいます。
そのくぼみに大腿骨の一端がはまっていて、関節をつくっています。
人間の骨格をみたり考えたりしたことがない方は想像がつきにくいかもしれませんが、股関節は垂直にまっすぐつくられているわけではなく、斜め方向から大腿骨が連結しています。
また、骨盤から足が生えているというような捉え方をしてしまうこともあるかもしれません。
これは股関節の上に骨盤が乗っています。
関節として連結しているので骨盤の動きによって股関節が、股関節の動きよって骨盤の動きが伴い活動をしています。
●可動域に関係、股関節の傷害
股関節の動きには筋肉の動きが必要です。
足を高く持ち上げたり、開脚をしたりするためにはその方向に動かすための筋力と柔軟性がなければいけません。
しかし、関節がカタい、伸ばすと痛いといったことは筋肉の問題ではなく関節そのものの構造にある場合があります。
▼変形性股関節症
大腿骨と寛骨の間には軟骨があります。
その軟骨部分が減少してしまい、骨同士が適合しなっていく症状を変形性股関節症と呼びます。
軟骨が薄くなった分、骨同士の間が狭くなっていき、形が変形することで大腿骨の骨頭に骨盤をしっかりと被せるようにしようとします。
それにより体が前に倒れ込むようになり、立ち姿勢も特徴的に見えることが多いです。
股関節の可動制限が生じて、日常では立ち上がるときに痛みが出たり、深く曲げにくくなったりすることが目立ちます。
運動療法での改善、専門医の判断により人工股関節の置換術になることもあります。
▼寛骨臼の形成不全
これは大腿骨が収まるための寛骨臼の深さが浅いという骨格です。
先天的にそのような骨格であることや、成長過程で発育不良という場合があるものです。
変形性股関節症と同じように、大腿骨頭にしっかり寛骨臼を覆わせるために骨盤を骨頭側に傾けている姿勢をとる傾向があります。
大腿骨頭の一部に負担がかかりやすく、軟骨が減少し変形性股関節症も生じやすいともいわれています。
形成不全は遺伝的な要素も大きく、男女比では女性の方が症状を生じやすいといわれています。
▼関節の状態によって得意不得意がある
股関節が変形しているようなことはレントゲンでかたちを調べないとわからないことです。
動きが悪く痛みが出るのは体がカタいせいだと考えて強く伸ばしたりするとさらに負担がかかってしまうことになります。
歩く際の痛みや動かない方向が出てきたら診断を仰ぐことも必要です。
筋力トレーニングやスポーツでも同様で、お手本になるフォームや動きがあったとしても自分の骨格に適さない場合があり、本来のパフォーマンスを発揮できないことになります。
反対に、その骨格があるからこそ優位になることもあると思います。
骨格はその人の個性だと思います。
自分の持つ骨格の中で十分な可動域や筋力が備わっているようにしていきましょう。
●股関節の前後の動き屈曲と伸展
▼股関節の屈曲
股関節の屈曲というのは太ももが体の前側に動くことです。
日常では歩く、走る、階段を上る、段差をまたぐ、しゃがむなどの動作です。
運動動作の感覚がないかもしれませんが、体を丸めて寝る、椅子に座っているといった動きも股関節を屈曲させていると思います。
この股関節の屈曲動作ができないと我々は前に向かって歩く一歩が踏み出せません。
屈曲に働くのは主に、腸腰筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋、縫工筋、内転筋群などで股関節の前側についている筋肉があげられます。
これらの筋肉の長さが短くなっていくと大腿骨が前方に移動していくことになります。
また、股関節のみではなく膝関節の動きにも働く筋肉が多くなっています。
▼股関節の伸展
股関節の伸展は屈曲の対になる動きで太ももが体の後ろ側に動きます。
足の動きのみでみると、足を後ろ方向に蹴り出すようなかたちになります。
バレエやフィギアスケートの選手が後に大きく足を振り上げる動きは股関節の伸展の可動域が必要です。
一般的にはなかなかない動きなので、日常でどのように伸展が使われているかというと、歩くために踏み出した足は2歩目が出る際には体の後ろ側に向かいます。
これは股関節の伸展です。
階段に踏み込んだ足で体を前に進めるときはその足が伸展します。
椅子から立ち上がるときも屈曲から伸展になっています。
体を支えるために足の筋力が必要と考えると表側で見える太ももに目が行きますが、体をしっかり起こすためには伸展の筋力が必要です。
たとえば、ジャングルに住むゴリラは見るからに筋肉がある動物です。
しかし、体は前かがみです。
それは股関節の伸展がされていないためです。
人でも同様で股関節の上に骨盤を正しく乗せることができるのは伸展の筋力があるからです。
股関節の伸展に働く筋肉は、大殿筋、ハムストリング、内転筋群が主に使われます。
ゴリラは体に対してお尻の大殿筋があまり発達していません。
そのため股関節は屈曲した状態で体を垂直に起こした二足歩行ができるとは言い難いのです。
この股関節の伸展の動きが不足すると、体を起こす、前進させるといったことに対して他の関節部分が補うようになります。
階段で体の押し上げる際には膝関節、体を起こす際には腰部の腰椎というように負荷がかかることになります。
●股関節の動きと姿勢とストレッチ
▼股関節の屈曲と姿勢
股関節は大腿骨と寛骨で構成される関節でした。
よって、股関節の動きにより骨盤の動きにも作用します。
股関節の屈曲は大腿骨が上に引き上がり胴体に近づく動きでした。
反対に、骨盤が大腿骨側に向かっていくことも同じく股関節の屈曲といえます。
屈曲に働く腸腰筋や大腿直筋は太ももの筋肉といえますが、骨盤を動かす筋肉にもなっていきます。
骨盤が大腿骨の前側に傾いていく動きを前傾といいます。
前傾によって骨盤の上部にある腰椎が前方に引っ張られます。
これにより過剰な前弯、反り腰の姿勢をとることになります。
骨盤が前傾⇔股関節の屈曲の筋肉が短縮⇔反り腰
また、骨盤の前傾のみが目立つ姿勢と、それに加えて猫背が伴うパターンがでてきます。
背中の上部が丸まるのでより腰部との前後差がでてきて腰痛などの不具合を感じやすいこともあるかもしれません。
▼股関節の屈曲の筋肉を伸ばすおすすめのストレッチ
骨盤の前側にある腸腰筋のストレッチです。
片足を前に踏み出します。
上半身を少し起こして足を縦長に広げます。
腹筋に力をいれて背中が反るのを防ぎましょう。
自然な呼吸で20秒程度、反対側も同様に。
太ももの前側の大腿直筋のストレッチです
横向きに寝て下の足を曲げておきます。
上側の足先を持ってお尻に違づけます。
足を体の後ろ側に少しずつ引いていきます。
腹筋に力を入れて背中が反るのを防ぎましょう。
自然な呼吸で20秒程度、反対側も同様に。
▼股関節の伸展と姿勢
屈曲と対になる動きで、これは太ももがお尻側に向かう動きでした。
屈曲よりも可動範囲は小さい動作です。
骨盤側の動きから見ると、骨盤が太ももの後ろ側に向かって引きつけられる動きをします。
これを骨盤の後傾といいます。
骨盤の上部にある腰椎も下に向かって引っ張られることになります。
これは本来、前側に向かって弯曲のある腰椎のカーブが減少することになります。
前弯が強くなる反り腰も腰への負担があると考えられますが、背骨のカーブの減少は重力に対する力が低下するということになります。
背骨は前後に適切な弯曲があることでクッションの役割のようになり力を受け止めます。
このような姿勢は背中全体が平坦になって一見、姿勢が真っすぐでよく思うかもしれません。
しかし、首や背中にかかる負担が多い傾向があります。
そして太ももの裏側はカタくなっているのに対して股関節の前側にある屈曲するための筋肉がしっかりと機能していないことも見受けられます。
骨盤の後傾⇔股関節の伸展の筋肉が短縮⇔平背
骨盤の位置があまり変わらずに後傾していれば背骨の弯曲が少ない平背姿勢といわれますが、後傾に加えて前方向にスライドしていくタイプがあります。
平背姿勢のように背骨の弯曲が少ないわけではありませんが、よい姿勢とはいいにくいものです。
▼股関節の伸展の筋肉をのばす、おすすめのストレッチ
お尻の筋肉である、大殿筋のストレッチです。
椅子に座り片足を反対の太ももに乗せて4の字をつくります。
背筋を伸ばしたまま体を前に傾けます。
自然な呼吸で20秒程度、反対側も同様に。
太ももの裏側のハムストリングのストレッチです。
仰向けに寝て片足にタオルをかけます。
ゆっくりと足を上に引き上げます。
背中や肩は床につけておきましょう。
膝は曲がっていてもよいです。
自然な呼吸で20秒程度、反対側も同様に。
今回は股関節の前後の動きである、屈曲と伸展についてみていきました。
人が立位で歩くためにメインになる動きです。
日ごろ座っている時間が長い方はこの動きをあまり使わない傾向があります。
適度に立って歩く、ストレッチをするようにして可動域を落とさないようにしましょう。
また、考え方で気を付けたいことは、股関節の屈曲の筋肉が強いほうがよい、伸展の筋肉が柔らかくて骨盤の後傾がないほうがよいといったように、限定的にならないことです。
動きとしてはどの動きもできることがよいのです。
その中で、この動作が苦手、どの筋肉がカタいといったことをそれぞれに合わせて改善していきましょう。
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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/
本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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