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【有料級】結果を出すトレーニングの科学:トレーニング変数の完全攻略ガイド

トレーニングプログラムの成功は、単にエクササイズを積み重ねることだけでは達成できません。効果的なトレーニングには、適切な負荷、レップ数、セット数、休息間隔、そして頻度を慎重に設計し、アスリートの目的やフェーズに合わせて変数を操作することが必要です。本記事では、これらのトレーニング変数をどのように調整し、最適なパフォーマンスを引き出すかについて詳しく解説します。それぞれの変数が持つ役割や、トレーニング効果に与える影響を理解し、より洗練されたトレーニングプログラムを構築するための基本的なガイドラインを提供します。


量と強度の細分化された要素としては、次のようなものが挙げられます。

・負荷/強度(通常は1RMのパーセンテージで表される)
・エクササイズ数
・エクササイズ順序

・反復回数(レップ数)
・セット数
・テンポや実行速度
・セット間の休息時間
・トレーニング頻度

これらの要素を適切に操作することで、トレーニングの総量や強度、努力の程度、密度が変化し、それがトレーニング効果に大きな影響を与えます。
また、プログラムには、一般的なエクササイズとスポーツに特化したエクササイズのバランスが求められます。

年間トレーニングプログラムでは、初期段階で2~3ヶ月の準備期を設け、トレーニング量を多めにし、スポーツに特化したエクササイズの割合を低くすることが推奨されます。
しかし、競技シーズンが近づくにつれて、トレーニングの強度を高め、量を減らし、スポーツ特有のエクササイズがプログラムの主軸となっていきます。

トレーニング量の重要性と調整方法

トレーニング量は、トレーニングセッションごとやミクロサイクル、マクロサイクル、または挙上重量(トン数)で測定されます。

記録と計画

コーチやアスリートは、トレーニングセッションや各段階でのトレーニング量を正確に記録し、今後のプログラムに活かします。
例えば、筋持久力を高めるためには、レップ数が多くなるため、トレーニング量も多くなる傾向があります。
一方、最大筋力を目指すトレーニングでは、セット数やレップ数が少なく、負荷が高いものの、トレーニング量は比較的少なくなります。

量とパフォーマンスの関係

トレーニング量は、アスリートのパフォーマンス向上に直接的に関連します。最初の段階では、トレーニング頻度を高めることが重要ですが、同時に量を適切に管理しなければ、疲労や怪我のリスクが高まります。そのため、アスリートが適応しやすいように、量の調整は段階的に行うべきです。

適応と増加

トレーニング量が増加することで、アスリートはより良い回復を経験し、神経系や筋力に対する適応も進みます。量の調整は慎重に行い、急激に増加させることは避けましょう。たとえば、トレーニングの頻度を増やしたい場合は、セッションごとの量を減らしながら、全体のバランスを保つことが重要です。

例として3回のセッションでマイクロサイクルあたり24トンのトレーニング量を行っていた場合、新たにセッションを追加して4回にする際は、セッションごとの量を8トンから6トンに減らすことで、総量を維持しながら、回復力を高めることができます。

例えば、週に3回のウエイトトレーニングを行っている場合を考えます。このアスリートは各セッションでスクワット、デッドリフト、ベンチプレスの3種目を行い、それぞれの種目で重さやセット数・レップ数の合計で8トン(合計8,000 kg)の挙上量を達成しているとしましょう。

具体的な内訳は以下のようになります:

スクワット: 4セット × 5回 × 100kg = 2,000kg
デッドリフト: 4セット × 5回 × 120kg = 2,400kg
ベンチプレス: 4セット × 5回 × 90kg = 1,800kg
他の補助エクササイズ(例:ラットプルダウン、オーバーヘッドプレスなど): 合計1,800kg

これらの合計で1回のセッションで8,000kg(8トン)です。これを週に3回行うので、マイクロサイクル(1週間)あたりのトレーニング量は合計24トンになります。

ここで、アスリートが週4回にトレーニング頻度を増やしたいとします。このとき、単純に1セッションのトレーニング量を8トンのまま4回行うと、1週間で32トンのトレーニング量となり、急激な増加が体に負担をかけ、疲労や怪我のリスクが高まります。

正しい調整方法

具体的には、以下のように各種目のセット数やレップ数を調整します:

スクワット: 3セット × 5回 × 100kg = 1,500kg
デッドリフト: 3セット × 5回 × 120kg = 1,800kg
ベンチプレス: 3セット × 5回 × 90kg = 1,350kg
補助エクササイズ: 合計1,350kg

1セッションで合計6,000kg(6トン)となり、これを4回行うことで週の総量は24トンに変わりません。これにより、全体のトレーニング量を維持しつつ、回復時間を確保しながら頻度を増やすことが可能です。

このように、頻度を増やす際は、トレーニング量を調整して過剰な負荷を避けつつ、適切な回復を促すことが重要です。

注意

この例は、トレーニングの量を調整する際の考え方を分かりやすく説明するために、1週間に同じトレーニング内容を繰り返す場合を想定しています。しかし、実際のトレーニングプログラムでは、セッションごとに異なる種目やエクササイズが組み込まれ、強度やトレーニングの目的に応じてバリエーションが加わることが一般的です。例えば、1日のトレーニングで下半身の筋力を強化し、別の日に上半身の筋力やパワーを鍛えることもあります。また、トレーニングの強度や負荷、量は、アスリートのコンディションや競技スケジュールに応じて細かく調整されることが重要です。

そのため、この例を参考にしつつも、実際のプログラムでは個々のアスリートや競技種目に応じた柔軟なプランニングが必要です

トレーニング強度

筋力トレーニングにおける「強度」は、使用される負荷、もしくは1RM(1回の最大挙上重量)のパーセンテージで表されます。強度は、筋肉に与える神経刺激の強さを示す指標であり、中枢神経系(CNS)のどの程度が動員されるかにも関連します。

刺激と変数の関係

刺激の強さは、負荷、動作のスピード、セット間の休息時間の変化によって決まります。負荷は1RMの割合で表され、筋力トレーニングにおいて、以下ような強度ゾーンが用いられます。

超最大負荷(>105% 1RM):これは、自分の最大筋力(1RM)を超える負荷で、特定のエキセントリック(伸張性)やアイソメトリック(静的)トレーニングで使用されます。
最大負荷(90-100% 1RM):主に最大筋力向上を目的とし、特に神経筋適応が求められるトレーニングに使用されます。
重負荷(80-90% 1RM):筋力とパワーの開発を兼ねたトレーニングに適しています。
中負荷(50-80% 1RM):主に筋パワー(低負荷)や筋持久力向上に用いられます。

超最大負荷の活用と注意点

超最大負荷(1RMを超える負荷)は、しっかりとした筋力トレーニングの基礎を持ったアスリートに限られた使用が推奨されます。特定の筋群に対して、スプリント中のハムストリングスや着地時の大腿四頭筋など、スポーツ特有の動きで偏心負荷がかかる場合に有効です。

その他のアスリートは、通常1RM以下の負荷でトレーニングを行います。トレーニングフェーズごとに強度と負荷を調整することが必要であり、各トレーニングの目的に応じた強度を戦略的に設定することが重要です。

90%以上の強度とその頻度

強度が90%以上になると、テストステロン低下や疲労が蓄積されやすくなるため、特に神経筋適応の進行において頻繁に使用するべきではありません。90%から100%の強度は、筋力テストや特定のマクロサイクル終了時に3~4週間に1度行うことが効果的です。

強度とボリュームの関係

ボリューム(トレーニング量)と強度は密接に関連しています。多くのセット数をこなす場合はレップ数を減らすのが一般的です。たとえば、最大筋力期には1RMの70%~80%で3レップ×6セットを行う一方、筋肥大期では1RMの65%で10レップ×3セット行う場合があります。

コーチやトレーナーは、アスリートが適切な強度でトレーニングを行いながら、質を損なわないように監視し、必要に応じてプログラムを調整することが重要です。

エクササイズ数の重要性と選択

トレーニングプログラムにおける効果を最大化するためには、適切なエクササイズの選択が非常に重要です。しかし、エクササイズの数をどれくらいに設定すべきかは一概には決められません。
多くの筋群を発達させたいという目的から、あまりにも多くのエクササイズを選んでしまうと、過負荷による疲労の蓄積が発生することがあります。

年齢とパフォーマンスレベルに応じたエクササイズ選択

エクササイズ数の設定は、アスリートの年齢やパフォーマンスレベル、スポーツの特性によって異なります。

青年期のアスリートや初心者:筋力トレーニングの初期段階では、解剖学的および生理学的な基礎を確立するため、主要な筋群(プライムムーバー)を鍛えるための9~12種目のエクササイズを選びます。この段階では、広範なエクササイズが必要であり、プログラムは1年から3年続くことが一般的です。

エリートアスリート:高いパフォーマンスを目指すアスリートにとっては、特定のエクササイズに集中することが重要です。特に競技シーズン中は、2~4種目の特異的なエクササイズに絞り込むことで、最大限の効果を狙います。

スポーツのニーズに応じたエクササイズ選択

スポーツの特性に応じたエクササイズを選択することも重要です。エリートアスリートでは、競技に求められるプライムムーバーに対応するエクササイズを行います。

例1:走り高跳びの選手の場合、3~4つのエクササイズで主要な筋群を十分に強化することが可能です。
例2:レスリング選手やラグビー選手は、多くの筋群を同時に使うため、4~6つのエクササイズを行う必要があります。

また、スプリント種目においては、膝が伸びた状態や曲がった状態で股関節の伸展を行う筋肉(ハムストリングス、大臀筋)、膝伸展筋(大腿四頭筋)、足底屈筋(ふくらはぎ)など、必要なプライムムーバーに焦点を当てたエクササイズが求められます。

トレーニング段階に応じたエクササイズ数の調整

年間トレーニングプログラムでは、準備期の早い段階で解剖学的適応を目指すため、エクササイズ数は多め(9~12種目)に設定します。プログラムが進行するにつれて、エクササイズの数は減少し、競技段階では2~5種目に絞り込まれます。

多くのチームスポーツでは、準備段階で8~9種目のエクササイズを行いますが、リーグ戦シーズン中には3~4種目に減らします。エクササイズ数を減らすことで、アスリートの疲労を軽減しつつ、競技に必要な筋力とパワーを集中して向上させることができます。

エクササイズ数とセット数の関係

エクササイズ数が減少すると、1エクササイズあたりのセット数は増加します。これにより、競技に不可欠な筋群により多くの負荷がかかり、トレーニング効果を最大化します。

コーチは、短いセッションで多くのアクセサリーエクササイズを含めるか、長いセッションでアクセサリーを減らし、主要なエクササイズに集中するかを選択する必要があります。選手のニーズに応じて、このバランスを調整することが大切です。

このようにエクササイズ数を適切に設定することで、トレーニング効果を最大限に引き出し、疲労を管理しつつ、パフォーマンス向上に繋げることが可能です。

エクササイズの順序とその重要性

エクササイズの順序を決める際、最も重要な要素は運動の複雑さです。複雑な多関節エクササイズは、神経系がフレッシュな状態で、ワークアウトの最初に行うべきです。これらのエクササイズは、特定のスポーツ動作に似た運動シーケンスで行われ、プライムムーバー(主要な筋群)を効果的にターゲットにします。

エクササイズの順序の基本原則

ストレングス&コンディショニングのコーチは、エクササイズの順序を決定する際、以下のような要素を考慮する必要があります:

運動の複雑さ:より複雑で多関節な動作を優先する。
プライムムーバーの疲労回避:大筋群はスポーツにおいて重要な役割を果たすため、疲労していない状態でトレーニングすることが必要です。
ボディビル的アプローチとの違い:筋力トレーニングの一部で取り入れられている小筋群を先に鍛える方法や、予備(事前)疲労法は、スポーツ特異的なトレーニングには適さないため、避けるべきです。

水平シーケンス vs. 垂直シーケンス

エクササイズの順序は、水平方向と垂直方向の2つの方法で設定できます。

1. 水平シーケンス(horizontal sequence):1つのエクササイズをすべてのセット行ってから、次のエクササイズに移る方法です。このアプローチは、特定のエクササイズに対して局所的な疲労が蓄積しやすく、筋肥大には効果的ですが、休息間隔が不十分な場合、筋力やパワーの向上には適さないことがあります。
2. 垂直シーケンス(vertical sequence):この方法は、サーキットトレーニング形式のように、各エクササイズを順番に1セットずつ行い、1周したら再び最初のエクササイズに戻る方法です。上半身と下半身、拮抗筋群を交互に動かします。この方法は、筋群の回復を助け、より効率的なトレーニングが可能です。例えば、下半身プッシュ、上半身プッシュ、下半身プル、上半身プルの順で行うと、全身をバランスよく鍛えながら、各筋群の回復を確保できます。

スポーツ特化の考慮

エクササイズの選択や順序は、特定のスポーツ動作に似た運動パターンを優先することが重要です。例えば、バレーボール選手がハーフスクワットとトゥレイズを組み合わせて行うことで、ジャンプ時に必要な筋肉の連鎖を活性化できます。このように、スポーツ特有の動きを模倣したエクササイズが、より効果的なパフォーマンス向上につながります。

レップ数と実行速度の重要性

レップ数(反復回数)と実行速度は、筋力トレーニングの効果に大きく影響する重要な要素です。特に、実行速度は負荷に関連しており、どのように運動単位を活性化し、発火させるかに関わります。

負荷と実行速度の関係

多くのボディビルプログラムでは、1RM(1回の最大挙上重量)の85%以上の負荷はゆっくりと挙上することが推奨されていますが、パワーアスリートにおいては必ずしもそうではありません。彼らは1RMの95%に達する重量でも、神経系を訓練することによって、爆発的に挙上できるようになります。これは、最短時間で全ての運動単位を動員する能力に依存しています。

筋内協調性と筋間協調性のトレーニング

筋力トレーニングプログラムは、周期化によって進行します。初期には、筋間協調性(中~重負荷を爆発的に挙上)をトレーニングし、その後に筋内協調性(最大負荷を可能な限り素早く挙上)へと移行します。このプロセスにより、神経系が高負荷に対応できるようになります。

レップ数の設定

レップ数はトレーニングの目的に応じて大きく異なります。

最大筋力の開発(1RMの70%~100%):少ないレップ数(1~5回)
パワー開発(1RMの50%~80%):中程度のレップ数(1~10回)でダイナミックに行う
短時間の筋持久力:10~30レップ
中程度の筋持久力:30~60レップ
長時間の筋持久力:200レップ以上が必要になることもあります

Bompaによると、特に中~長時間の筋持久力が必要なスポーツ(例えば、ボート漕ぎやクロスカントリースキー)では、従来の20レップでは不十分で、より多くのレップ数が求められることがあります。このように、トレーニングの目的に応じて最適なレップ数を設定し、持久力や筋力の向上を最大限に引き出すことが重要と考えています。

しかし、この高レップの考え方には疑問を持つべきかもしれません

1. 中等度のレップ数の有効性

持久力系アスリートに対する筋力トレーニングでは、12~20レップの中等度のレップ数が効果的であるという見解が多く見受けられます。これにより、筋持久力と筋力の両方をバランスよく向上させることができ、スポーツパフォーマンスに寄与します。また、筋力を高めるためには、低レップで高強度のトレーニングも併せて行うことが重要です。

2. 筋力の重要性

持久力系アスリートでも、筋力の基礎が重要です。筋力が強いほど、効率よく運動でき、持久系スポーツでも有利になります。低レップで高強度のトレーニング(3~6レップ)は、筋力と筋肉の効率的な使い方を向上させる効果があり、これにより持久力の競技でもパフォーマンスが向上することが示されています。これにより、持久力とスプリントパフォーマンスの両方が改善される可能性があります 。

3. 高レップトレーニングの限界

高レップトレーニング(30レップ以上)は、持久力の向上には有効ですが、主に軽い負荷で行われるため、筋肥大や筋力向上に対する効果は限定的です。特に、軽い負荷を使って限界まで追い込むトレーニングでは、疲労が蓄積するとフォームが崩れやすく、怪我のリスクが高まります。

4. 研究のバランス

研究の多くは、持久力系アスリートにとっても、中等度のレップ数(12~20レップ)でのトレーニングが最も効率的であることを示唆しています。また、低レップで高強度の筋力トレーニングを組み合わせることで、筋持久力と筋力の両方を強化できることが報告されています。持久力アスリートにとっても、筋力と持久力をバランスよく向上させるためのピリオダイゼーションが重要です。

このように、高レップトレーニングには一定の効果があるものの、全体的なパフォーマンスを考慮すると、適切なレップ数と負荷の組み合わせが持久力系アスリートにとってより効果的である可能性が高いです。

実行速度とその重要性

筋力トレーニングでは、特にコンセントリック(筋収縮)期における実行速度が重要です。高負荷であっても、できるだけ速く挙上することで、速筋繊維を効果的にリクルートできます。たとえば、スプリントの選手は、90%以上の負荷であっても、全ての運動単位を素早く動員することを目指しています。

研究によれば、コンセントリック動作を意図した最大速度で行うと、筋力の向上がスローリフティングの2倍になることが示されています(Gonzalez-Badilloら 2014)。したがって、爆発的な動作がパワー向上において重要であり、重い負荷でもできるだけ速い動作を心がけるべきです。

セット数についてのまとめ

1. エクササイズの数とストレングスの組み合わせ

セット数はエクササイズの数に逆比例します。多くのエクササイズを行う場合、各エクササイズに割り当てるセット数は少なくなります。これは、全体のトレーニング量を管理し、疲労を避けるためです。一方で、エクササイズの数を減らすと、各エクササイズにより多くのセットを割り当て、総仕事量を増やすことが可能です。

2. アスリートの能力やトレーニング段階

初心者やジュニアアスリートは、セット数が少なく、多くのエクササイズに取り組む傾向があります。特に解剖学的適応期(準備期)には、広範囲の筋群をカバーするために、多くのエクササイズと少ないセット数(通常1~3セット)が使われます。しかし、競技期が近づくと、セット数を増やしエクササイズ数を減らすことで、特定の筋群や動作に集中します。

3. 競技特性とエクササイズの目的

スポーツの性質によって、セット数の決定にも違いが出ます。たとえば、持久力系スポーツでは、1セットあたりのレップ数が多くなるため、セット数が制限されます(通常3セット程度)。一方、パワー系スポーツでは、各エクササイズに4~6セットを使用し、プライムムーバーの総仕事量を増やします。

4. セット数の重要性

多くのセットを行うことで、プライムムーバーに対する仕事量を増やすことができ、最終的には筋力とパフォーマンスの向上につながります。しかし、セット数が多すぎると疲労が蓄積し、リカバリーが十分にできなくなるリスクもあります。特に競技シーズンが長いチームスポーツでは、疲労を最小限に抑えるために、1エクササイズにつき2~4セットに制限することが一般的です。

結論として、セット数の設定は、アスリートの競技、トレーニングの目的、およびそのトレーニングフェーズに応じて柔軟に調整されるべきです。セット数を増やすことで総仕事量を増やすことが可能ですが、エクササイズの数や目的に応じた適切なバランスを取ることが重要です。

休息間隔の主な要素:

セット間の休息間隔は、筋力トレーニングにおいてエネルギー回復のために非常に重要です。各セットの間に休息を取ることで、ATP(アデノシン三リン酸)とクレアチンリン酸(CP)などのエネルギー物質が回復され、次のセットに備えることができます。適切な休息を取らなければ、エネルギー不足や乳酸の蓄積が生じ、パフォーマンスが低下する可能性があります。

1. 負荷と開発される筋力の種類

負荷の大きさやトレーニングの目的によって、必要な休息時間は変わります。最大筋力を求める場合は、長めの休息(3~5分)が必要ですが、筋持久力の向上が目的の場合は、短い休息(0.5~2分)が推奨されます。

2. エネルギーシステムの回復

休息中、ATPとCPは回復しますが、回復には時間がかかります。30秒の休息ではATP-CPの50%しか回復せず、完全な回復には3~5分が必要です。短すぎる休息は、次のセットで乳酸の蓄積を増加させ、パワー出力を低下させます。

3. トレーニングの目標に応じた休息

筋肥大や筋力向上を目指す場合は、より長い休息が効果的です。特に最大筋力を開発する際には、3分以上の休息がATP-CPの完全な回復を促し、次のセットで高いパフォーマンスを維持できます。

4. 疲労管理

休息が不十分だと、局所的な筋疲労や中枢神経系の疲労が溜まり、パフォーマンスが低下します。神経インパルスの伝達速度が低下することで、筋収縮力が落ち、セット間に十分な休息を取らなければ筋力やパワーの発揮が難しくなります。

休息時間の目安:

最大筋力: 3~5分
筋肥大とパワー: 2~3分
筋持久力: 30秒~2分

適切な休息を取ることで、エネルギー回復が促進され、次のセットでも高いパフォーマンスを維持できることが確認されています。また、負荷が大きい場合は、さらに長い休息が必要になる場合もあります。

筋力トレーニングの頻度

1. 回復とグリコーゲンの補充

筋力トレーニングセッションの間隔は、主にグリコーゲンの補充と筋肉の回復に依存します。グリコーゲンの回復には通常48時間が必要ですが、特に高強度のストレングストレーニングやエネルギー消費が大きいセッションの後は、完全な回復にはそれ以上の時間がかかることもあります。しかし、筋力トレーニングのみを行った場合、回復は比較的早く、5時間で約55%、24時間でほぼ100%回復するとされています。したがって、適切な頻度でトレーニングを行えば、筋力トレーニングの頻度を週に3〜4回にすることが可能です。

2. 神経系の疲労

最大筋力トレーニングやプライオメトリックトレーニングなど、高強度のセッションは神経系に大きな負担をかけます。このため、神経系が回復する時間が必要であり、連続して高強度のトレーニングを行うことは推奨されません。例えば、月曜日に最大筋力トレーニングを行い、火曜日にプライオメトリックトレーニングを行うと、神経系に十分な回復時間が与えられず、怪我やオーバートレーニングのリスクが高まります。このため、同じ神経経路を使用するセッションの間には十分な回復時間を設ける必要があります。

3. エネルギー供給と回復の重要性

トレーニングによる刺激と同様に、回復も非常に重要です。持続的な筋力、パワー、持久力の向上を目指す場合、適切なエネルギー供給と神経系の回復が不可欠です。エネルギー燃料(グリコーゲンやATP-CP)が回復し、神経系が適応し、筋タンパク質の合成が進むことで、トレーニングの効果を最大限に引き出すことができます。

推奨されるトレーニング頻度:

初心者: 筋グループごとに週2~3回
中級者・上級者: 筋グループごとに週3~4回
競技期のアスリート: 神経系の回復時間を考慮しながら、週に3回程度の高強度トレーニング

頻度は、アスリートのレベル、トレーニング段階、目的によって異なりますが、回復を重視したプログラムを組むことが重要です。

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