インド映画「RRR」は何がどうスゴイのか
はじめに
どうも、ご無沙汰しております、氷室柾貴です。
お前仮にも漫画家なんだから、映画の感想は漫画で描けよ、とか突っ込まれそうですが、漫画で描ける分量と熱量じゃねえよ! というわけで文章でゴリゴリ書いて行きたいと思います。
そもそも
僕、そもそも見に行くつもりなかったんですよ、というか映画の存在すら知らなかったんですよ。そしたらある日、僕の大学時代の同期で今はプロの漫画原作者をしてる友人から、「お話を考える人なら絶対に「RRR」を見たほ方がいいよ! 話の作り方に対するマインドが根本からひっくり返されるから!」みたいなことを熱弁され、あの彼がそこまで手放しで絶賛するってことはよほどすごい作品なのか、ということで上映館を調べるものの、なぜか長崎県だけ上映からハブられていたものだから、佐賀まで見に行くことになりました。(その後、来年佐世保での上映が決定したので、おかわりしに行くつもり)
「RRR」のあらすじ
炎と水が出会った、以上!
なんていうと怒られるので、真面目に書くと、イギリス統治時代のインドで、総督にさらわれた妹を助けるために部族の使命を果たそうとする男・ビームと、大義を胸に秘めて警察官となったラーマの友情と使命と戦いの物語。
本当はもっと細かく書きたいところだけど、これは映画を実際に見てどういうふうに描かれているのかを実際に確かめてほしい、としか言いようがない。
ちなみに、ラーマが炎で、ビームが水です。
「RRR」というタイトルに込められた意味
「RRR」、今どきの長いタイトルのアニメとかタイトルが内容を説明してるラノベとかに慣れた人には、逆に短すぎて「何じゃこりゃ?」となるようなタイトルだけど、逆にその短さが潔いと感じられました。ちなみに、公式には「Rise(蜂起) Roar(咆哮) Revolt(反乱)」の頭文字だと言われてますが、もともとは監督と主演2人の頭文字を取っただけの仮タイトルが正式タイトルに昇格したので、逆に意味をこじつけただけ、とも言われています。
・・・まあ、細かいことはいいんだよ、細かいことは!
「RRR」の見どころ
ぶっちゃけ全編が見どころ! 今のシーンすごかったな! と思ったら、次にはさらにそれを越えたシーンがやってきます! 一言で言えばクライマックスのてんこ盛り! とにかく見てる側の予想を上回るシーンが次々と押し寄せてくる、まさにクライマックスの洪水! 誰かが「RRR」を評して「おかわりし放題のインド料理店」と発言していましたが、本当にその通りだと思いました。
ちなみに、映画館で見た印象としては、「インド映画を見る」というよりも、「インド映画のエネルギーを全身に浴びる」という感じでした。最後のスタッフロールまでがエネルギッシュ!
ここからが本題。
とまあ、あんまり映画のネタバレをしたくない、というか、「RRR」に関しては実際に映画館に足を運んで鑑賞してもらわないと、面白さを十二分に堪能できない部分が多々ありますので、上映館が近くにある人にはぜひとも映画館に足を運んでみてほしい、と思います。
で、冒頭の話に戻るわけですが、漫画原作者をやっている友人が熱く「物語を作る人はRRRを見るべき」と語っていた理由などについて語っていきたいと思います。
友人はプロの漫画原作者をやっていて、常にいろいろと面白い作品を作るための模索をあれこれとしている(僕もいろいろと教えてもらっている)わけですが、基本的に皮肉屋で僕以上に理詰めなタイプの彼が、ある日興奮した感じで「RRR見た?」って聞いてくるわけですよ。(僕と友人は基本的にチャットでやり取りをしています)
で、僕が「それ何?」って聞き返しますと、「インド映画なんだけど、とにかくもうすごいんだよ、僕が今までやってきたことって何だったんだ、ってくらいに衝撃を受けた!」と言うわけです。彼がそこまで言うなんていったいどんな映画なんだと思っていたら、彼の話が止まらないわけです。
「ゼロ→1にするのは難しいんだけど、1から9までは人によってはいろんなルートがあっても案外簡単にたどり着いちゃうのよ。ただ、9→10に行くのがものすごく難しくて、僕と相棒(作画担当の先生)とでいろいろと試行錯誤してたのよ。」
「それがさ、こないだ「RRR」を見に行ったら、9→10どころか9→12のものをお出しされて、こんなすごいエンタメがあるのか、と同時に今までの僕の話作りは何だったんだ、って激しく打ちのめされた! ラージャマウリ天才だよ!」
という熱い語りがチャットにガンガン入ってくるわけですよ! ちなみに彼曰く「12のもの」と言うのは、創作者側が観客に見せたいものと、観客が作品に対して求めているものが一致している状態、という事らしいのです。そのレベルに達するには、よほどの天才か血反吐を吐くような努力の果てに得るものらしいです。そのために彼もいろいろと悪戦苦闘してるようです。
彼のこの熱い語りを聞いて、僕も「RRR」を映画館に見に行ったわけですが、これは本当に見てよかった、そして彼の言ってることは間違ってないな、と強く感じました。
さいごに
これから僕も「物語を考える人」の端くれとして、より面白い作品をお届けできるように精進していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。