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【経理】実務上の具体例は、宝の宝庫。

こんにちは、きくちきよみと申します。
舞台照明家→事業会社経理→税理士です。

20代後半に舞台照明の仕事を辞めてから、経理・会計・税務に関わる仕事をしてきた中で考えてきたことですが、特に経理の仕事を始めて間もないうちは「どうしたら早く成長できるのか?」と焦ることは多いと思います。

今日は「具体例は宝の宝庫なので、具体例を積み重ねてくことは重要」ということについて書きます。


唯一無二の正解は、実務には存在しない。

私見ですが、実務には「唯一無二の正解」というような、絶対的なものは存在しないと思っています。

実務上の問題は、法律論以外の複数の要素が含まれてしまうからです。
1) 会計処理、税務、決算書開示
2) 経営者の判断
3) 社内の内部統制
4) その他(例:職場の人間関係、経営者への説明の方法、など)

1番だけの問題であれば、知識や情報収集能力があれば誰でも同じような回答にたどり着きます。ただし、そのような単純な問題は実際には存在しないため、正しいと思う答えに達することが難しい、ということになります。

だからこそ「実務で具体例に正面から向かい合い、回答を出していくこと」はとても大きな経験になり、自らの血と肉になります


実務上の個別例・具体例との向き合い方。

自分が考える「実務上の個別例・具体例との向き合い方」は、下記のようなものです。

①まず、自分の頭だけで答えを出す。

実際に実務上の具体的な問題に向かい合うときは、「まず自分の頭だけで答えを出す」ということが大切だと思います。

経験が浅いうちや新しいタイプの問題に取り組むときは、自分の頭の中だけで考えると考えが浅い部分が多くなりやすいです。

とは言え、この作業を省いてしまうのはあまり良くないと思います。書籍・ネットで調べるだけでは個別例に応じた重要な視点が抜け落ちやすく、「自分の頭で考えること」の深さには及ばないからです。上長として評価する側の視点からも、自分で考えていない人の作業品質はブレやすい(=できないことの区別がしにくく、仕事を任せにくい)ことが多いです。

実際には、実務上の問題対処をまるごと任せてもらえることは少ないかもしれません。また、「自分の頭の中だけで答えを出す」という時間すら惜しまなくてはいけない職場環境もあるかもしれません。

それでも、うまく時間をつくって、考えることは避けないようにした方が良いと思っています。

②「法律の話なのか、判断の話なのか」を見極める。

自分の経験上の話をしますが、「ある程度できるようになったはずなのに、その先になかなか進めない」と感じることがあると思います。

法律・ルールの話であれば、その内容を調べたり覚えたりすれば、それで解決します。(もちろん「その法律・ルールをどのように実際の状況に適用するか」という問題はあるので、この話は別の機会にしたいと思います。)

ただ、実務上は「判断の話」が非常に多く、これが最も難しいと思います。

判断をするには「現在の状況を正確に把握し、それに対し、自社がどのように対応するかを考える」という過程が必要になるからです。

前項の「まず、自分の頭だけで答えを出す」ことを実践していると、それが「法律の話なのか、判断の話なのか」ということは区別しやすいと思います。その上で、自社の状況を把握し、どのように対応するかを考えることになるでしょう。

実際には、経理さんの中には、この「判断については、自分は絶対に考えない」と決めていらっしゃる方も多いように感じています。「あるべき判断」について経理さんが考えれば考えるほど、経営者と揉めやすくなるからです。

とは言え、より成長したいと考えるのであれば、「判断の話」を避けることはできないと思います。


③答え合わせは、誰とするか?

実務上の問題に向き合った時、その正解を知りたいと思うのは当然でしょう。ただし、この「誰と答え合わせをするか」というのは、意外に難しい問題であるように思います。

そのため、自分が顧問税理士として「自分の答え」を経営者や経理さんにお伝えする時は、必ず「法律上の適用」と「会社の状況に合わせた判断」を区別してお伝えするようにしています。

特に「会社の状況に合わせた判断」は考え方が違う方もいらっしゃると思いますし、従前の顧問税理士さんとも考え方が異なることも、よくあることです。だからこそ、会社の方が最終的に「自社の判断」をするための材料は、不足なく提供したいと思っています。

自分が経理だったときに常に考えていたのは、「(上司・同僚・顧問税理士など関係なく、)ひとりの人の答えだけを、正解として捉えてはいけない」ということです。「自分が信頼・尊敬する人=常に(自分にとっての)正解を持っている」ということではないと思うからです。

周りの人の中には、「基準に捉われず、考え方が新しい人」「保守的すぎる人」など、いろいろなタイプの方がいらっしゃると思います。「自分はどのような形で会社に貢献するか?」という方針にもよるとは思いますが、周りの人の考え方をうまく採り入れながら、「自分が適切と思う答え」に向かうのが良いのではないでしょうか。


具体例に、真摯に向き合う。

具体例を積み重ねることなく、単に本質論を捉えているだけで、常に適切だと思える答えを出せる方もいらっしゃると思います。ただ、自分の場合はそのようなタイプではないことは知っていたので、考えてきたことを書いてみました。

一朝一夕では進まない方法ではありますが、具体例を積み重ねながら、より自分が成長し、会社も成長させることを考えてみてはいかがでしょうか。


最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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