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【経理の仕事】文章を読む力があると、力を発揮しやすい仕事。

こんにちは、きくちきよみと申します。
元・舞台照明家→事業会社経理(いろいろ)→会計事務所・税理士法人(いろいろ)→税理士法人代表です。


世界のニュースでも日本のニュースでも、最近特に「フェイクニュースかな?」と思うような信じがたい内容の話題にあふれていて、心がざわつくことが多いです。今に始まったことではないものの、日経新聞を読んでもネットを見ても毎日のように情報が錯綜していて、うまく距離をとらないと気持ちが散らかることもあります。

ただ、このような情報過多の時代にこそ、不測の事態にも対処できる「強い経理」が各企業に必要だろうとも思いますので、今日も淡々と書いていきたいと思います。


先日、就職活動前の学生に「どういうスキルを持った人が、経理の仕事に向いていると思いますか?」という質問を受けました。

向いている or 向いていないは、最終的には各人の意気や心持ちの問題であったりすると思うのですが、純粋に「スキル」という側面から思うことがあります。

今日は「読解力がある方は企業の経理部で力を発揮しやすいが、工夫次第で補える部分もある」ということについて書きます。


基礎は、文章を読んで理解するスキル。

このマガジンでは、「経理部ではコミュニケーション能力が非常に重要」ということについて何度か書いていますが、「読む」「書く」「聞く」「話す」・・・など、コミュニケーションの種類にもいろいろあります。

自分は、その中でも「読んで理解する」ことが経理業務での基礎になると考えています。それは、経理では「情報を『読む』という機会が、業務上も学習上も一番多い」からです。

業務上は、他のスタッフが作成したマニュアルを読みますし、会計基準改正や税制改正にあたっては、その改正内容の原文を読んだあと、専門家による詳細解説も読むことになります。また、簿記の学習上も、テキストを「読む」ことが基礎になります。

もちろん、わからないことは上長に「聞く」ことになりますし、よく理解できない内容は専門家のセミナーに参加したりすることにより、理解を深める努力をすることになるでしょう。ただ、ここでも「文章を読んで理解する」ことは最低限の基礎になります。

今の時代は少しずつ変わってきてはいますが、経理人材の採用にあたって学歴を簡単に無視できないのは、この「読む」能力を重視しているからだと思います。日本の過去の学校教育にあたっては「文章を(書いた人の意図を汲んで)正確に理解し、重要な部分は覚える」ということが重視されてきたため、一般論ではあるものの「学校教育で一定の基準を満たす学力を身に着けられている=経理業務に必要な認知特性を備えている」という証明になるからです。

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「人に聞く前に自分で調べろ」の意図は?

人によって違うと思いますが、読解力が弱い自覚があり、自分だけで調べて理解することが難しい方もいらっしゃると思います。そのような場合は、別の対応によって補足することになるでしょう。読むだけでは理解できなかったり理解に不安がある場合は、人に聞いたり説明してもらうことにより、その理解を補足できる場合もあります。

経理・税務業界では「人に聞く前に自分で調べてから聞いてね」と言われたという経験がある方は多いかもしれませんが、この「自分で調べる」部分は、「(資料を)読む」でも「(セミナーを)聞く」でも、他の方法でも何でも良いのです。ここに異論があることはないでしょう。

ところが、不明点を人に質問する場合、そもそも調べ方がわからないので質問するケースが多いです。ここで質問した相手に「この本を読んでね」「このセミナーを聞いてね」と調べる方法・理解の方法を指定されてしまうと、これ以外の選択肢がなくなってしまいます

質問される側は質問者の上長が多いと思いますが、その上長自身が経験上でうまくいった方法(=相手の認知特性は関係なく、自身の認知特性に合った選択肢)を回答してしまうことが多いでしょう。ただ、これはあまり望ましい回答方法ではないように思います。質問者が本人の認知特性に合わせて選べるように複数の選択肢を提示できた方が、結果的には時間短縮になり、最終的には経理部のためになるかもしれません。

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ポジションや企業によって、重視される認知特性のバランスは変わる。

まずは「読んで理解する」ことが基礎になるとは言え、ポジションや企業によって、重視される認知特性のバランスは大きく変わります。

例えば、自分が「読んで書く」ことが得意であっても、すべての関係者が得意なわけではありません。関係者が増えれば増えるほど、テキストベースだけのコミュニケーションだけでは齟齬やトラブルが生じやすく、時に口頭や画像・映像ベースでのフォローも必要になります。その意味では、マネージャー以上は「話す」「聴く」といったコミュニケーションも重要になりやすいでしょう。

自分も「できる限りすべてテキストで回答して欲しい」と言われても、「これをすべてテキストで回答しようとすると、超長文になるな」とわかれば、一旦口頭ベースでの打合せをお願いしています。同じ文言であっても、前提としている背景や状況は同じとは限らない(どちらかと言うと、全く違っていることが多い)からです。

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まず、自分の認知特性を理解することが大事。

どのような仕事をする上でも、まずは、自分の認知特性を理解することが大事だと思います。

自分自身は、認知特性は「見る(読む)」が強いと信じている期間が長かったのですが、経理時代に職場の先輩・同僚を見て「自分は読むだけでは理解が浅い」ということがよくわかりました。その先輩や同僚たちは、自分よりも多くの時間と労力をかけていただけかもしれませんが、「自分が割ける時間」は人によって違います。自分が割ける時間の範囲内で、最大限の理解をしようとする工夫が必要でしょう。

是非、自分の認知特性に向き合い、無駄な時間をかけることなく理解を進められるよう、工夫してみてはいかがでしょうか。


最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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