SPAC新作『白狐伝』@5/5駿府城公園 紅葉山庭園前広場
毎年、ゴールデンウィークに静岡県で行われる "ふじのくに野外芸術フェスタ"。去年は仕事と体調の都合で行けなかったのですが、今年は何とかぎりぎり仕事を終わらせて、観に行くことができました。
夕方の駿府城公園。雨の予報はありませんでしたので雨合羽はなしですが、冷え込み対策のために上着を着こんでホッカイロを手に、万全の準備で臨みます。(ホッカイロは自分でも持参しましたが、今年もパンフレットとともに支給されました。ありがたい!)
2024年のSPAC公演は、2年振りの新作、『白狐伝』。
原作は、岡倉天心が自らの死の前に英語で書き残したオペラ台本『THE WHITE FOX』だそうです。
SPAC作品は、一つの役を "スピーカー(語り手)" と "ムーバー(動き手)" の二人が演じる特殊な演出方法による作品が多く、今回もその「二人一役」作品です。独特のセリフ回しとその動きは日本の伝統芸能のようであり、時にアジア音楽のようであり、時に現代的でコミカルな表現でもあったりします。劇中音楽は、すべて俳優の生演奏によって進められていきます。
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お話は、"葛の葉伝説" を元にした、超自然的な力を持つ白狐コルハと人間の男ヤスナの物語。
二人は幸せに暮らして子をもうけるも、コルハはヤスナのために、また白狐に戻り、ヤスナの元を去ります。
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本作品の製作期間中にSPAC俳優・葉山陽代さんが急病で亡くなられ、その葉山さんの代役として演出家・宮城聰さんが白狐コルハのスピーカーとして出演されています。ただ、全体の配役を見る限り、葉山さんの役は白狐コルハのスピーカーだったのではなく、いくつかの役の入れ替えがあったのかと想像されます。(個人的想像です。)
白狐コルハのムーバーは、SPAC俳優の美加里さん。物語のラストでコルハがヤスナの元を去る前に手紙を書く中、人間から少しずつ白狐に戻っていきます。
その獣の姿は粗野で、苦しく、痛ましい。
そして、悲しい。
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舞台写真はもちろん撮影できなかったのですが、緑の木々の緑に囲まれた夜の野外ステージの中、青白い照明が付いたトロッコに乗った白狐たちが縦横無尽に走り回り、優雅に歌って踊りながら、クズノハをさらった悪者をあっという間に追い詰めてしまうシーンなどは、実にSPACらしい演出でした。
カーテンコールは、葉山さんを追悼して「顕れ」の演奏でした。
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また来年も観られるよう、健康に過ごしたいと思います。