「愛がなんだ」
「面白いらしいよ。」
そんな感覚で友人に話したのに人間関係の重たさみたいな印象があったので見るつもりもなかった。話をした友人から「明日見に行く。」と連絡がきたので、勧めたからには見ないとなと思い、その日の夜、劇場に行くことにした。
結論から言うと、見に行って正解。見に行った後も暫く映画のことを考えていた。
ここからはネタバレ含む。
特に映画の登場人物や話の流れを詳細に書くつもりはなく、見て感じたことだけを書こうと思う。
テルコの親友?葉子と仲原。 古くて割と立派な葉子の実家で当たり前のように同じベッドで寝ているところをテルコの電話で起きてふと窓から外を見る葉子の後ろ姿がとにかくキレイ。「仲原、ビール買ってきて!」も年上のいい女感。
マモちゃんが別の女(江口のりこ演じるすみれ)のことを好きだとわかっても、引くことなく、なんならすみれも含めた3人でならマモちゃんに会える、くらいの思考回路に思えた。
ベクトル
マモちゃんを好きなテルコ カスミを好きなマモちゃん 葉子を好きな仲原くん それぞれ思いのベクトルがあるんだけど、それが自分の存在意義を他人に見ている気がしていた。映画を見た友人にLINEでそれを話すとテルコは「誰もが少しずつ持っている気持ち悪さ、矮小さを凝縮したような女」だそうだ。そんな中の一人の葉子にゾッコンだった仲原くんがテルコを見ているうちに自分を客観視し、このままではダメだと一念発起して葉子から離れることを決意した。「幸せになってほしい。」と素直に思える人物だった。
仲原くんとは対照的にテルコは「愛がなんだ、なんだってんだよ。」と意地でもマモちゃんを思っていた。本人からも会うのはよそうと言われた後も好きなことを隠しながら。
ロマンチストだと笑われ
終盤の印象的なシーンとして、カメラマンである仲原くんの個展に葉子が訪ねてきたところがある。葉子が自分の写真を見て仲原くんにそっと微笑む。仲原くんはまんまと喜ぶ。個人的には葉子が仲原くんの大切さに気付いたから来たのだと思いたかった。友人にはロマンチストだと笑われた。
なんだかんだ見るのを敬遠していた作品ではあったけど、見てよかったとつくづく思った。結局テルコはマモちゃんを思い続けたままだった。恐い。