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UXリサーチ教材をプレゼント! プロによるユーザーインタビュー発話録の全文ダウンロード(無料)

この記事は UX Research Advent Calendar 2021 の 12月24日 の記事です。クリスマスイブ!

羽山はいま Think IT というエンジニア向けメディアで「UXデザインはじめの一歩 ー インタビュー技術を磨こう!」という連載をしています。UXデザインやUXリサーチについて他にない貴重な情報をどんどん出している連載なのですが、なぜかびっくりするくらい話題になっておらず・・・。

先日に UX王子 こと安藤 昌也 先生とひさしぶりにお話しをする機会があったのですが、内容を紹介したところ「これはすごい! なんで話題になってないの!?」と驚かれました。

クリスマスイブのこの場をおかりして、今年にがんばったチャレンジを供養したいな・・・と思います。

ちょっとクリスマスプレゼント的な要素もあるので、ぜひお読みいただけるとうれしいです。あと、お役に立ちそうだったら、ぜひSNSなどでシェアいただけるとうれしいです。

前代未聞! プロによるユーザーインタビュー発話録の全文ダウンロード(無料)

この連載では、大きなチャレンジとして「ユーザーインタビュー発話録の全文ダウンロード配布(無料)」をしています。

ユーザーインタビューを学ぶうえで、世にいろんな文献はあるのですが、概論や心がまえはいろいろ書いてあるものの、初心者からすると「けっきょくインタビューの場でどういう会話がされるの!?」というのは、どの本にも載っていないのです。いざバッターボックスに立つと足は震えるし、「ユーザーになんて声をかけていいかわからない(焦)」となります。

他方で、文献を書く側としては、プロジェクトの機密保持やユーザーへの守秘義務がありますので、生の会話録を掲載するわけにはいかないわけです。そのため書けるのは概論や心がまえになってしまう。

これだと初心者が学びづらいな、と思いました。

それであれば「はじめから全文公開をする契約をしてユーザーにインタビューをしよう。そして発話録(書き起こし)の全文を無料でダウンロード配布しよう」と思いました。誰もやっていないなら、僕がやればいいじゃん。

連載のなかで、2名のユーザーに羽山がインタビューをした発話録の全文を、まるごとダウンロードすることができます。1人のユーザーあたり1時間のインタビューなので、2時間ぶんの書き起こし。

本当にオープニングの挨拶からクロージングの会話まで、すべての会話を収録しています。ユーザーを前にして、そこそこベテランのUXデザイナー羽山がどのような会話をするのか、うまく話せているところも、失敗も、すべて公開しています。

前述のとおり、ユーザーインタビューの発話録は、ふつう機密保持のため公開されることはありません。今回のダウンロード配布は、UX業界でもひじょうに貴重なデータです。

教材としてどんどん使ってほしいので「無料」で配布しています。ダウンロードにあたり、あなたの個人情報を取得するようなこともしていません。

著作権もクリエイティブコモンズ4.0 のいちばんゆるいものにしています。「商用利用OK、加工OK、再配布OK」です。つまり、あなたは企業研修や授業教材として、自由に使っていただくことができます。

加工自由ということは、ユーザーインタビュー技術の学習だけでなく、インタビュー発話録をもとに親和図法やKA法で抽象化するワークショップ材料なんかにもお使いいただけることを意図しています。

データは連載 第14回 から 第18回 までの記事中からダウンロードいただけます。さあ、とりあえずダウンロードしよう!

ダウンロードできる発話録

ユーザーインタビューにする質問を実例とセットで掲載し、質問の類型を13つに分類

もうひとつ、発話録を全文公開することでしたことがあります。初心者がユーザーインタビューの場に臨むとき、いちばん恐れること。それは「どんな質問をしたらいいかわからず、アタマが真っ白になってしまう」ことです。

ユーザーインタビューの場でする質問の「実例」もまた、これまで世の文献では書かれてこなかったところです。初心者にとっては「そのまま発言すればいい」レベルの具体的な文例がほしいのです。

連載 第14回 から 第18回 のなかで、インタビューのなかで羽山がじっさいにした質問と、その質問に対してユーザーがどのような回答をしたか、すべて実例をあげて、質問の類型を13つに分類しています。これもUX業界では他にない資料になっています。

たとえば「パターン1:直接的に理由を掘り下げる」は次のように解説しています。

質問パターン1:直接的に理由を掘り下げる
インタビュー対象者の発話について、その理由や背景を訊きます。対象者が抱えている深い心理は、この質問を通じて現れてきます。最もよく使う会話術です。アンケートの設問5への掘り下げる質問19回のうち、5回はこのパターンです。
【質問の例】
・「〜とは、なぜですか」
・「〜とは、なんのためにするのですか」
・「〜とは、どうしてそう思ったのですか」
・「〜のきっかけは、なんですか」

https://thinkit.co.jp/article/18751

質問の実例1
Aさん:もともと海外の企業で働きたいなっていう思いがあり、そこからいつか英語は習得しなければならないと思ってたんですけど、いつかいつかと過ごしていて。一時期、洋画にハマって、それをきっかけに、このテンションで英語勉強すれば続くんじゃないかと思って、TOEICを受験するというきっかけにつながったという形です。

羽山:なるほど。海外の企業で働きたいと思われていたっていうのは、なにか背景があるんですか。

Aさん:そうですね。大学は早稲田に通っていて、周りもけっこう外資系に就職したりする中で、自分は日本のベンチャーに就職したんですけど、いつか(外資系を)目指せるようなポジションにいるのってけっこう大事かなって考えているうちに、そういう選択肢もあるので、取ろうかなと思いました。

https://thinkit.co.jp/article/18751

質問の実例2
Aさん:外資系企業で働くっていうイメージです。

羽山:なるほど。外資系企業ですね。外資系企業だと英語が必要と思われたのはなぜなんですか。

Aさん:やっぱり楽天とかマッキンゼーとか見てると、中途だと英語が話せて、かつ、ほかの企業での実務経験がある。5年以上みたいな条件なので、実務経験よりも英語を最初に取得しといた方が後々楽になるんじゃないかなと思って、早めに習得したっていう形です。

https://thinkit.co.jp/article/18751

1回の「なぜ」で満足せず、背景をどんどん掘り下げることで、深い心理にたどりつけます。「外資系企業で働くため」という抽象的な回答が「外資系企業の中途採用条件で求められる英語スキルを満たしたい」という心理であると明らかになるまでにやりとりされた会話、それをそのまま例示して解説しています。

ユーザーインタビューでする13種類の質問

  • パターン1:直接的に理由を掘り下げる

  • パターン2:あいまいな言葉を明確にする

  • パターン3:時系列を確認する

  • パターン4:ほかの選択肢をとらなかった理由を訊く

  • パターン5:ほかに考えたことを訊く

  • パターン6:話を具体的にする/話の続きを促す

  • パターン7:あえてあり得ない選択肢について質問する

  • パターン8:それがないとどうなるのか訊く

  • パターン9:言語化を強制する

  • パターン10:矛盾している箇所について訊く

  • パターン11:具体的な量を訊く

  • パターン12:何と比較しているのか訊く/何を期待していたのか訊く

  • パターン13:自身はどう思ったのかを訊く

それぞれの具体的な質問テクニックは連載「UXデザインはじめの一歩 ー インタビュー技術を磨こう!」をぜひお読みください。

おわりに

気合の入ったこの連載「UXデザインはじめの一歩 ー インタビュー技術を磨こう!」ですが、これだけ貴重な情報を公開しているにもかかわらず、なぜかあまり話題になっていません。

せっかくなので、クリスマスプレゼント代わりに発話録をダウンロードしていただいて、ぜひご活用いただけるとうれしいです。お役に立ちそうだったら、ぜひSNSなどでシェアいただけるとうれしいです。

ちなみに羽山のTwitterは @storywriter ですので、こちらもフォローいただけるとうれしいです。

メリークリスマス!


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