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2022年もいろいろUXリサーチの教材をつくったので無料配布するよ!

この記事は UXリサーチ/デザインリサーチ Advent Calendar 2022 の 12月24日 の記事です。クリスマスイブ!

羽山 祥樹です。日中は某大手企業で働きながら、2年前に日本ウェブデザイン株式会社を起業しました。UXデザインやUXリサーチのコンサルティングやコーチングをする会社です。

ここ数年ずっと、自分のもっているノウハウをひたすら外化して、SlideShareメディアでの連載記事で「このとおりやれば誰でもUXデザイン・UXリサーチができる」という、具体的でやさしい教材にしてガンガン無償公開する、ということを続けています。

30代の前半に「自分の手元にあるノウハウもお金も自分が死んだら灰になるだなあ。だけど、若い人たちを育てるために遣えたら、自分の命もいくらかは未来に何かを遺したことになるかもしれないなあ」と思いました。それ以来、ノウハウやら何やらできるだけ公開して、みんなが再現できるようにしています。

羽山の資料には、だいたいこれが描いてあるので、見かけたら「ああ、羽山の資料なんだな」と思っていただけると幸いです。

「ハーミィ」という名前がついています

今年はとくにいろんなUXデザイン・UXリサーチの教材を無償公開しました。このクリスマスイブの場をおかりしてまとめましたので、もしよかったらクリスマスプレゼントとしてお持ち帰りください。

あと、お役に立ちそうだったら、ぜひSNSなどでシェアいただけるとうれしいです。

UXデザイン・UXリサーチの基本的な流れをほとんど網羅した「教科書」スライド

今年の7月からクリーク・アンド・リバー社さま主催でUXデザインセミナー全4回をしました。たいへん好評をいただいたセミナーで、全4回の申し込み累計人数は1200人を超えたそうです。

このセミナースライドは、いずれも100ページ越えの大作です。全4回をとおして、UXデザイン・UXリサーチの基本的な流れをほとんど網羅するようにつくってあります。

とくに第3回は気合を入れてつくりました。この10年でUXデザイン・UXリサーチという言葉が広がり、またリーンスタートアップの概念も広まったことで多くの人がユーザー調査をするようになりました。ただ「調査したあとに、どうやって分析するの?」という点について、教科書のように「その手順どおりにやればできる」というレベルの資料がないな、ということが気になっていました。

とくにUXデザイン・UXリサーチでよく定性分析(質的分析とも呼びます)の手法として使われる「KA法(本質的価値抽出法)」については、羽山の師匠である安藤昌也先生が執筆された「UXデザインの教科書」以外にちゃんとした文献がありませんでした。また「UXデザインの教科書」はもともと大学の授業向けに書かれた書籍なので、やや記述が難解です。「この資料のとおりにやればKA法ができる!」というようなやさしい資料がないことが気にかかっていました。

そこで、第3回のスライド内では「KA法」の手順と実例として、「資格試験を受ける人のモチベーションの価値マップ」を、FigmaでじっさいにKA法をした実データとして無償配布しています。とくに初学者が悩みやすい「発話録のどこを、どのようにふせんに書き出すのか」など、実物の発話録から成果物までの作業履歴もすべて追えるように残しています。Figmaコミュニティ公開してあるので、あなたのFigmaにコピーして再利用いただくことができます。

ちなみに、この価値マップの材料になったユーザーインタビューの発話録は昨年(2021年)に無償公開したものです。Think IT で連載中「UXデザインはじめの一歩 ー インタビュー技術を磨こう!」の記事から全文サンプルを無料ダウンロード配布しています。記事上部のリンクより、無償・個人情報入力不要でダウンロードできます。

これらの資料の著作権は、すべてクリエイティブコモンズ4.0 のいちばんゆるいものにしています。「商用利用OK、加工OK、再配布OK」です。つまり、あなたは企業研修や授業教材として、自由に使っていただくことができます。

リーク・アンド・リバー社さま主催でのUXデザインセミナー全4回は、ひととおり受講すると、ユーザーインタビュー・ユーザビリティテスト・親和図法(KA法)と、とりあえずUXデザイン・UXリサーチのサイクルが回せる、というように設計しました。スライドの合計枚数は600枚くらいです。UXデザイン・UXリサーチの基本的な流れをほとんど網羅した「教科書」スライドとして使っていただけることを目指しました。

プロダクトマネージャーカンファレンス2022に登壇して定性分析の手法を紹介

今年はプロダクトマネージャーカンファレンス2022の公募セッションに採択いただき、登壇しました。

あなたの手元の本よりいい方法がある! UXデザインのプロはこうやってユーザーのインサイトを確実に見つける」というテーマでお話しました。内容はじつはクリーク・アンド・リバー社さま主催のセミナー第3回と大部分が重なる「KA法」の正しいやりかたの解説です。

プロダクトマネジメント界隈では、とくにみなさん積極的にユーザーインタビューをされているのですが、定性分析の方法を知らないために、せっかくのユーザーインタビューから本質的なユーザーニーズを拾い上げることができないケースをちょくちょく耳にしており、誰かがプロダクトマネジメント界隈で「ユーザーとむきあうノウハウは、UXデザインやUXリサーチの分野にあるぞ!」と叫ぶ必要性を感じていました。

プロダクトマネージャーカンファレンス2022での羽山のセッションは、ありがたいことに好評をいただき、満足度も高かったようです。

あとは Designship 2022 の公募セッションにも応募したのですが、残念ながらこちらは採択されずでした。グラフィックデザイン界隈にも「デザイナーがもっと存在感を増すために、UXデザインやUXリサーチを学ぼう!」と誰かが叫ばなければならない必要性を感じているので、来年またチャレンジしようと思います。

Web担当者Forumでは社内政治のノウハウも公開

Web担当者Forumには年間をとおして記事掲載・登壇とお世話になりました。

タグチマリコさんといっしょに取材いただいた記事「Webサイト構築で『デザインを先に見せて!』、要件定義を理解してくれないクライアントにはどう対応すべき?」は、年間記事ランキングが22位とたいへん好評をいただくことができました。誌上でUXデザインのかんたんなワークショップをし、クライアントと自分の立場を客観的に見るテクニックを紹介しています。

Web担当者Forumには、イベント登壇も複数回させていただきました。Web担当者Forumのセミナー満足度 年間ランキングTop20では、20位以内になんと羽山は2回ランクイン(16位・19位)させていただいております。

登壇したセッションを記事にした「ユーザーの言う「欲しい」はウソなのか? UXデザイナーが教える「本当のユーザー理解」」も年間記事ランキングが15位とのことで、ありがたい限りです。

Web担当者Forum ミーティング 2022 秋では、UXデザインだけでなく、羽山の長年のWeb担当者としての経験から「社内政治とデザイン」というノウハウについてお話させていただきました。このときのスライドは、羽山史上いちばんキレが鋭い仕上がりになっているので、ご笑覧いただけますと幸いです。

定性分析と定量分析

人間は数字に説得されやすい、ということもあるためか、日本の義務教育では「定量分析」の方法は教えても、「定性分析」の正しい方法は教えないのですね。大学で心理学・社会学・民俗学などを専攻すると学ぶのですが、それ以外のコースをたどって大人になると「定性分析」の正しいやりかたを知らないまま社会人になります。

そのため、会社に入ると、数字による根拠しか信じてもらえなかったり、重要な定性データを持って帰っても「それはあなたの意見ですよね」と言われてしまったりするのは悲しいなと思っています。他方で、ちゃんと正しい手順をふんで分析されていない定性データが「あなたの意見」でしかないのはそのとおりなので、正しい定性分析の方法が広まるといいなと思っています。

多くの人のイメージでは「定量分析」と「定性分析」は二項対立です。世界は「数えられるもの」と「数えられないもの」に二分できるように思いがちです。しかし、じつは世の中のほとんどの事象は数えることができません。そのなかのわずかなものが数えられるだけなのです。しっかりと定性分析できてこそ、定量分析が成り立ちます。(統計の専門家にインタビューすると、これを「データに対する肌感」という言葉で表現されたりします)

おわりに

以上、クリスマスプレゼント代わりに、今年に羽山が無償公開したもろもろのノウハウや資料をまとめました。よろしければ、ぜひダウンロードなどしていただいて、ご活用いただけるとうれしいです。またSNSなどでシェアいただけるとうれしいです。

羽山のTwitterは @storywriter ですので、こちらもフォローいただけるとうれしいです。

メリークリスマス!


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