ICTを使って、弱い立場にある家族と関わる〜オーストラリア保育の現場で〜
※ニュージーランドで書かれたブログ記事より、日本語訳・編集してご紹介しています
約 3 年前、ある保育施設にて、子どもを適切に養育できないと判断された母親の子どもを週 5 日通わせるように保護命令を受けました。こういったケースは、オーストラリア全土では珍しいことではありません。
どの母親にとっても、これは最も困難な状況でしょう。
(そうしたい気持ちがあっても)立ちはだかる状況を乗り越えて、小さな子どもの世話を終日行うのは大変なことです。
保育施設側にとっても、子どもをサポートすることに集中しながら、お迎えや面談に来る母親と関係構築することは、とても難しいことでした。
母親は、頭を下げて、明らかに緊張してためらいがちで、先生と目を合わせることもしてくれず、職員に対して一言以上の答えで話すこともできなかったからです。
この子どもを受け入れて数年経った後、この施設はStorypark(デジタル・ラーニングストーリー)を使用し始めました。
トライアル開始から数週間後、工作活動の様子を写真に撮り、ラーニングストーリーとしてStoryparkに投稿しました。
その夜、母親がこの投稿に対して反応してくれたのです!それは、彼女と息子が手芸活動をしている写真で、「今日、息子と私がしたことを見てください」とだけ書かれていました。
2年間ほとんどコミュニケーションをとらなかったにも関わらず、彼女がこのような投稿を保育施設に共有したことは、保護命令を受けて園に通う我が子となかなか関われなかった母親という印象からは想像できないことでした。
この投稿には、子どもの学びと発達に取り組む母親、工作活動が好きな母親、話して関わりたいが、それを行うにはなんらかの媒体が必要な母親が示されています。
この投稿には、我が子を愛する母親が示されていました。
この投稿によって、職員は次にその母親が子どもを迎えに来たときに「昨日の投稿はとても素敵でした!」と言えるコミュニケーションのきっかけを得ることができました。
この日、母親は初めて目を上げてスタッフと話し始めることができました。そこから、母親が毎日Storyparkに子どものことについて投稿し、やりとりするという状況が生まれました。
彼女は現在、保育施設を訪れ、我が子や他の子どもたちと一緒に手芸活動をしながら時間を過ごしています。
彼女は今、子どもとより多くの時間を過ごすようになり、子どもと自分自身のニーズの両方をよりよく理解できるようになりました。
彼女のケースワーカーと保護命令を管理する人々は、この女性が子どもの母親としてどのように行動しているのかについて新たな理解を得ることができました。
彼女は、テクノロジーがエンゲージメントの鍵となる世代であり、どんなことがあっても、自分は最高の母親であると伝えられる手段を見つけました。
Storyparkを利用するさまざまな幼児教育の専門家にインタビューしたところ、上記のような話は珍しいことではありませんでした。
専門家たちは、子どもと親、親と教育者、海外の祖父母と孫、フライイン・フライアウト(鉱山開発の際に、2週間~数週間ごと勤務と休暇を繰り返す労働形態)の父親などと、子どもとのつながりを改善することについて語りました。
スマホを使って、子どもについての親やその他の理解を深めることができるということです。
Bribie Island Community 幼稚園の園長であるNarelle Dawson氏は、こう言っています。
以前、この園は、ハードコピーした子どものポートフォリオを自宅に送り、親にメモを書いてもらったり、何らかの方法で取り組むよう奨励していました。
しかし、メモを書いたり、ポートフォリオに何かを共有したりする親はせいぜい20%でした。
大変な作業だったわりに、それほど価値はありませんでした。
テクノロジーによって、このプロセスが容易になり、エンゲージメント率が大幅に向上しました。ほとんどの家族は、ただコメントするだけでなく、自分のストーリーを追加したり、先生の考察に答えたりしています。
そうすることで、子どもたちについてさらに多くのことを学び、場合によっては、計画や新たなカリキュラムに貢献する提案をすることさえあります。
ICT活用は、時間を節約し、プログラム実施を容易にするだけではなく、保育の質向上に繋がります。保護者の関わりの質だけでなく、園のサービスの質も重要です。
モスマンで Good Start Early Learning を運営する Brooke Townsend 氏は、こう言いました。
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