見出し画像

「憂鬱な朝」feat.倒置法

目覚めはとても良かった。休日の朝。
窓の外を見ると、一面にまるで絨毯が敷き詰められたかのような光景。雪が広がっていた。
雪が降り積もったその姿は、まるで冬の妖精たちが舞い降りたよう。
しかし、そんな幻想的な景色も、あまりにも冷たすぎた。現実逃避したかった。

「今日は何をしようかな?」と心躍らせたのも束の間、外の気温はまるで冷凍庫の中。
寒さが身に染みる。仕方なく、重い腰を上げて外へ出ると、まるで雪の精霊たちが私を待ち受けているかのよう。シャベルを持ち、除雪の戦士として立ち向かうことに。

一口雪を食べながら(、、おいしくない)、ひと仕事終えた頃には、手は冷たく、体は疲れ果てていた。
まるで雪山登山を終えたかのような達成感。
しかし、達成感の裏には、心の奥底から湧き上がる「もうやりたくない」という感情。

家の中へ戻ると、温かい布団の誘惑が待っていた。
思わずその中に潜り込み、意識が遠のく。
気が付くと、時計は昼を指していた。「あれ?除雪は終わったのか?」と、夢の中で雪の精霊たちが笑っているような気がして、結局、休日の午後は「除雪の夢」を見ながら過ごす羽目。

雪よ、もう降らないでおくれ!と、心の中で叫ぶも、外ではさらなる雪が静かに降り続いていた。

憂鬱なのよ、こんな朝は。


ひのひと

いいなと思ったら応援しよう!