Story 6 おはようダンゴムシ
ダンゴムシのマルデンネン婆さんはとにかく寝るのが大好き。朝日が昇ってみんなが働き始めてもお布団の中でぐうぐう寝ています。マルデンネン婆さんが「おはよう」というのを聞いたものはいないという、ダンゴムシ伝説がひそかにささやかれるほどいつもお布団の中で寝ていました。
マルデンネン婆さんの孫娘はそんなマルデンネン婆さんを心配して、
「おばあちゃん、そんなに丸まってばかりいるときっと大変なことになるよ!」と言いました。
するとマルデンネン婆さんは、
「うるさいね~。ダンゴムシが丸まって何が悪いんだい。私は丸まって眠るのが大好きなんだよ。静かに寝かせておくれ!」と怒り出してしまいました。
孫娘は「もう、そんなに丸まってばかりいて元に戻れなくなってもしらないからね!」と言って帰ってしまいました。
マルデンネン婆さんは、「やれやれ、うるさい娘だね~。元に戻れなくなるわけないだろう。何年ダンゴムシをやってると思ってんだい。」と言いながらもう一度寝ようと布団の中で丸くなりました。
でも寝ようと思っても何となく気になって眠れなくなってしまいました。「そういえば長いこと元に戻ってないね。前に背筋を張ったのはいつだったかね。どれどれ、邪魔も入ったことだし今日は寝るのをやめて布団の外に出てみようかね。」と言って布団からはい出そうとしました。
でも…。何度動こうとしても体がピクリとも動きません。
「あれれ、どうしたことだい。体が動かないじゃないか。一体全体どうなってんだい。」
なんと、長いこと丸まりすぎて固まってしまったのです!!
「どうしたらいいんだい。こりゃ困った。とにかく外に行かないと…。」
マルデンネン婆さんは布団から転がり落ちて外へコロコロコロコロ転がっていきました。
コロコロ転がってくるマルデンネン婆さんを見た村のみんなは驚きました。
マルデンネン婆さんは「助けておくれ~。」とみんなに頼みました。
「ずっと丸まっていたら元に戻れなくなっちゃったんだよ。」
孫娘は「おばあちゃん、だから言ったじゃない!」と泣き出しそう。
マルデンネン婆さんを何とか助けようと村ダンゴが集まってきました。
「よし、みんなで頭とおしりを持って引っ張ってみよう。せ~の!」
みんなでマルデンネン婆さんを引っ張り始めました。
「いた、いた、いたた!!やめとくれ。痛くて仕方ないよ。」
「熱いお風呂にいれたらふやけて体がのびるんじゃないか?」
「そうだ、そうだ。それはいい考えだ。」と村ダンゴはせっせとお風呂を沸かし始めました。お風呂の準備ができたので、村ダンゴはマルデンネン婆さんをどぼんとお風呂に入れました。
すると…。ブクブクブク…。
「ひゃ、ひゃ、た~す~。ブクブク。け~て~。ブクブク。」
「い、いかん!婆さんがおぼれかけているぞ。」そういって村ダンゴはマルデンネン婆さんを引っ張り上げました。
「もう少しで溺れちまうとこだったじゃないか。」マルデンネン婆さんは丸まったままブツブツ文句を言っています。
そこへ、村一番の博士ネラレンターノ博士がやってきました。
「あっ、博士。大変なんです。マルデンネン婆さんが丸まったまま元に戻れなくなったんです。」
「なんじゃと。それは大変じゃ。早速元に戻す方法を研究じゃ!」
ネラレンターノ博士はマルデンネン婆さんを戻す方法を探し始めました。
しばらくするとネラレンターノ博士が「わかったぞ~!!」と言って走ってきました。
「お湯じゃ、お湯を沸かすんじゃ!体をほぐすのは熱いお湯じゃ!」
それを聞いたマルデンネン婆さんは、
「や、やめとくれ~!死にたくな~い~!」と体をピーンとして大声で叫んだのです。マルデンネン婆さんは元の姿に戻ることができました。
「おはよう、ダンゴムシ…。」と、マルデンネン婆さんは恥ずかしそうに村ダンゴに言いました。
おしまい
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※毎晩息子に読み聞かせならぬ語り聞かせをしています。内容をどんどん忘れていくので書き留めていくことにしました。
「おはようダンゴムシ」はClubhouseというSNS内のお部屋「ゆりかごの歌クラブ」の中で「ダンゴムシ」シリーズが発展してできたお話です。