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Story 9 栗星人
てっちゃんが大好きな甘栗を食べていると、どこからか「その栗をワシに寄こせ!」という声が聞こえてきました。
「誰?どこにいるの?」とてっちゃんが聞くと、”ボンッ!”と、突然見たことのないおじさんが現れました。
「ワシは栗星人。ワシの星ではみんな栗が大好きでな。自分の星の栗だけではなく、いろんな星に行ってはそこで取れる栗を食べるのを楽しみにしているのだ。それ、お前の栗をワシに寄こせ。地球の栗を食べるのを楽しみにしていたのだ。」といきなりてっちゃんの栗を取ろうとしました。
てっちゃんは栗星人が勝手に栗を取ろうとしたので、ちょっと怒ってしまいました。
怒ったてっちゃんは、「それは普通の栗だから、もっとすごいクリを用意してあげるよ!」と言いました。
それを聞いた栗星人は喜んで、「よし、それじゃあ、お前の栗を取るのはやめておいてやろう。その代わり、さっさとすごいクリとやらを持ってくるんだ!」と言いました。
「そんなに偉そうに言うなら、このクリをあげることにするよ。まず、このお魚をおろしてね。骨は残さず全部取ってよ。いいね。」とてっちゃんは言いました。
栗星人は魚をおろしながら、「栗はどこだ?地球の栗は魚のお腹の中で育つのか!?」と頭がハテナでいっぱいになりました。
「よし、できたぞ。でもどこにも栗がなかったが、どこにあるんだ!?」とてっちゃんに詰め寄りました。
てっちゃんはすました顔でお刺身を食べながら「地球のすごいクリ・おつクリでございま~す!」と言いました。
栗星人はズコ~ッ!「おつクリなんかいらん!栗を持ってこ~い!」と目をとがらせて怒りだしました。
「また偉そうに言うんだから。それじゃあ、つぎのすごいクリをお届けするよ。目を大きく開けてみて。開けられた?それじゃあ、次は目を閉じて。開けたり、閉じたりを繰り返してね。」とてっちゃんは言いました。
栗星人は目を開けたり、閉じたりを繰り返しましたが、一向に栗が出てこないので心配になってきました。
てっちゃんは素知らぬ顔で「地球のすごいクリ・ぱちクリでございま~す!」と言いました。
栗星人はズコ~ッ!「ぱちクリなんかいらん!栗を持ってこ~い!」とさらに目をとがらせて怒りだしました。
「もう!また偉そうに言うんだから。今度こそすごく美味しい僕の栗をあげようかなと思ったけど、僕、また怒っちゃったよ。」とてっちゃんは小声で言いました。
「僕がいいって言うまで、ヒックヒックって言い続けて。」とてっちゃんは栗星人に言いました。
栗星人は「ヒックヒック、ヒックヒック。」と言い続けました。しばらくすると、「あれれ、これはどうしたことだ。ヒック、ヒックが止まらなくなってきたぞ。」と栗星人が言いました。
てっちゃんは、「地球のすごいクリ・しゃっクリでございま~す!」と言いました。
「おいおい、ますます止まらないぞ。頼むからとめてくれ。」と栗星人が言うので、てっちゃんは「わかったよ。それじゃあ、目をつぶって。」と言いました。
栗星人は慌てて目を閉じました。てっちゃんは、とんでもない大声で栗星人に向かって、「わぁ!!!!!!!!!!!」と言いました。栗星人はあまりの声の大きさにひっくり返ってしまいましたが、おかげでしゃっくりは止まりました。
「今のはなんだ!?」と栗星人が言うと、てっちゃんは「地球のすごいクリ・びっクリでございま~す!」と言いました。
栗星人は「栗をくださいな。」と初めて優しく頼みました。てっちゃんは、「うん、いいよ、帰り道で食べてね」と言って、美味しい栗を袋いっぱいあげました。
栗星人はようやく美味しい栗が食べられるとニコニコです。「てっちゃん、ありがとう!」と言って帰って行きました。
てっちゃんは栗星人に「バイバイ!」と手を振りました。
「地球のすごいクリ・お見おクリでございま~す!」
おしまい
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※毎晩息子に読み聞かせならぬ語り聞かせをしています。内容をどんどん忘れていくので書き留めていくことにしました。
お話のお題として「栗星人」をいただき、作ったお話です。「ミートソース星人」の続編を創りたいなと思っていたのでちょうどよいお題をいただきました。「ミートソース星人」もあわせてお読みいただけましたら幸いです。