俺とバイクと奥の細道その3
Duke KTM と一緒に荒川を渡り、春日部を過ぎると道も開けて快適に飛ばすことができる。青い空の向こうに山も見えて来る。しかし宇都宮あたりから、大型トラックも増えてその間をすり抜けながら行くのも、モタード系のバイクにとっては醍醐味だが、ストレスもかかる。大きな流れの鬼怒川を下に覗く、谷間にかかった美しい陸橋を渡り、途中ですき家の牛丼の並みで腹を満たすと那須高原に向かった。
源流に向かい細くなって行く野生的な鬼怒川を抜けて那須高原に入ると、美しい森林セラピーロードに入る。マイナスイオンに癒されながら、色づき始めた黄金色の田んぼ道を堪能しつつ、白河の関を超えると郡山が近づいてくる。そして郡山の手前で左に折れて逢瀬に向かった。色づいた黄金色の田んぼ道を柔らかな温かい稲の香りを嗅ぎながらさらに進んだ。
その日は、向こう側に猪苗代湖を望める御霊櫃峠の麓の大将旗と言う所にテントを貼った。大将旗という名前の由来は、源義家という源氏の大将がそこに陣を張り旗を立てたことから来る。源頼朝が鎌倉幕府を開く約150年前の話で、東北地方の蝦夷やアイヌを制圧に乗り出し始めた時期だ。元々の征夷大将軍の意味は蝦夷を制圧するというところから来ているとのこと。そう言う意味では先駆け的な所で、逆に言えばここから日本の先住民に対する弾圧が始まったとも言える。その夜は美しい満天の星を眺めながら、日本酒の十四代と飛路喜の純米大吟醸の飲み比べをしながら眠りについた。