全てのクリエイター・プログラマー・ミュージシャン・デザイナーへのエール――サタンよ退けと彼は言った

今日はちょっと堅苦しい話をしようと思う。
といっても政治の話とかそういう物はしないので安心して読んで欲しい。
アニメとかゲームとか音楽とか動画とかを作ったりしている人達に伝えたいお話なので、肩の力を抜いて読んで欲しい。

そう言えば昨日、ダリフラが無事完結したね。
キャプテンアースみたいに「ソードマスターヤマト」みたいな終わり方をしてしまうんじゃないかとヒヤヒヤしていたけどそれは杞憂だった。
鳥羽Pやスタッフ、クリエイターの皆様には感謝しかない。

……この話をすると大好きなSFの話が延々続いてしまうので本題に移ろう。

皆は知っているだろうか「サタンよ退け」という言葉を。
これは私が通っていたミッション系の幼稚園で先生が教えてくれた言葉だ。
詳細は省くけど、イエス・キリストは荒野で修行をしている時、どこからともなく声がして、良くない事をキリストにささやくんだ。
「本当に神の子なら、そこから飛び降りろ。神が助けてくれるだろう?」
とかそんな感じで良くない言葉を耳元で延々囁く訳だ。

キリストもその粘着っぷりに余程辟易したのだろう。
そして「サタンよ退け!」と叫んだ所で、ようやくこの粘着が消えた訳だ。
何にしても、本人にとって好ましくない事を言ってくるんだから、そういうのをサタンと呼んでも良いんじゃないだろうかと私は思う。
ちなみにキリストは他にも色々な場所で結構怒ったりしているので、一度新約聖書を読んでみると面白いかもしれない。

まぁ、ともかく「良くない事」を囁いてくるサタンから身を守らなければならないのは、クリエイター、ミュージシャン、プログラマー、モデラー、動画投稿者、絵描き……といった物作りをしている人も同様ではないかと最近思う出来事があった。

私の本職はプログラマーで、随分と色々なシステムを触ってきた。
その一方、触りたくても触れないシステムや案件もあったりした。
そんな中これはプログラマーの人なら良く知っていると思うけど、いわゆる新技術の勉強会(講義スタイル)やハンズオン(実践式)で参加したい物が見つかり、私は他のプログラマーと電話で「この勉強会に行く事にしたんだ。前から取得したい技術だったけどこれでやっと私の物になる。これで欲しかったスキルを手に入れてレベルアップ出来るんだ」とかそんな感じの話をしたのだけれども、彼は出来の悪い生徒を諌める教師の様な口調で
「こんな所に参加して君は本当に理解出来るのかい?
君にはレベルが高すぎる話だよ」
と言ってきたのだった。

私は2つの点で酷く失望した。

1つはプログラマーも、クリエイターもそうだと思うけど、新しい事や難しい事を覚える時は、まずはそれに触れなければ物にはならないので、今の自分にとって難しい事でもチャレンジする事が重要であるという事を彼が理解していなかった事。

もう1つは、この空気の読めない発言で酷くモチベーションが落ちた事だ。

この事に関わらず、上を目指す人、新しい物を手に入れようとする人に他人がよくこんな事を言ったりする。

「そんな簡単に上手くいく分けない」
「そんなに甘くない」
「今の君には難しいだろう」
「お前に判る訳が無い」
「今こんな事も出来ないようならその先にはいけない」

だけどこれは間違いだ。
私は自信を持って言える。
本当にやりたい事なら、本当に作りたい物なら、本当に覚えたい技術や知識なら、人間はその欲望を原動力に覚えるからだ。

10年前、どうしても作りたい同人誌があった。
しかし、私にはCGの技術は殆ど無く、せいぜいがwebページの素材をペイントソフトで作るくらいの物しかなかった。
それでも私は自分に一番合うCGソフトを探し出し、試行錯誤を繰り返し、春から夏にかけての間に十数点のメカモデルを(雑な仕上がりながらも)作りあげ、シナリオを書き上げ、キャラクターイラストは当時の知人に手伝って貰い、作り上げたのだ。

ある知人がこういった。
「本当に君が完成させるとは思わなかった」と。
「今の君にCGは難しいだろう」等と言われていたらどうなっていただろう?
やめていただろうか?
それでも作りたい欲求を抑えられず、作っただろう。
そんな気がする。

だからそういうことなのだ。
未経験でハードルの高い物であっても「本人がやりたい事」「学びたい事」であれば、それに挑戦する事で得られる物は必ずあると。

これが「本人がそこまでやりたいとは思っていない事」を会社の研修とかでやらされると全くムダになるけどね……

だからこれから新しい事に挑戦しようとしたり、新しい事を覚えようとしているクリエイター、プログラマー、ミュージシャン、動画投稿者、絵描き、歌い手、Vtuber、何か物を作ろうとしている人に言いたい。

「そんな簡単に上手くいく分けない」
「そんなに甘くない」
「今の君には難しいだろう」
「お前に判る訳が無い」
「今こんな事も出来ないようならその先にはいけない」

こういった良くない言葉には耳を貸さないで欲しい。

それはサタンが言った良くない言葉と同じだ。
聞いた人の心を乱し、未来や希望を奪う言葉だ。

だから、やりたい事や欲しいスキルがあるならA4のプリント用紙か何か(私はそうしている)にリストを書き出して、黙々と打ち込み、成功したらそのリストに花丸をボールペンで書いて自分を褒めよう。

やりたい事、覚えたい事、作りたい物。
欲望、という言い方をすると汚く聞こえるかも知れないが、この原動力はとても強いし、誰にも侵害する権利は無い。

あれから10年、私はプログラマーとしては成長したが、CGの成長速度は少々微妙だったりする。
けれども、その中で「この技術を覚えたい」と心の底から思うような事が起きたら、きっとまた変わるんじゃないかなと思う。
成長曲線は人それぞれだけど、それで良いんだ。

そして物作りの世界とはパブリックスペース=砂場のような物だと思う。
その砂場に大人達が「俺達プロ志向なんで」と言って、大型ショベルカーやダンプカーで乗り付けて子供を追い出してはいけない。

だから技術の有り無しに関わらず「君には難しいよ」というサタンの言葉には耳を貸さず、堂々と物作りをすれば良い。

その上で、作る人も、見る人も、みんなハッピーになれたら最高だよね。

「サタンよ退け!私は欲しい技術を学び、作りたい物を作る!」

以上、個人の見解でした。

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