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kaworukumda11
敵と味方は顔が命
聖人は心が同じなら、外見にとらわれない。凡人は外見が同じなら、心を気にしない。人にも獣の心が無いわけではないのに、外見だけで仲間と思う。獣にも人の心が無いわけではないのに、外見だけで敵と思う。
半人半獣の神々は、人の外見ではなかったが、比類ない徳があった。歴史上の暴君たちは、人の外見をしていたが、獣の心を持っていた。しかし凡人は、外見にとらわれて心ある人を探し求めている。それでは、上手く行くはずがない。
獣だって、人と同じような心を自然と備えている。つがいを作り、親子の愛情がある。休む時は群れを作り、行くときは列をなす。小さな者を内側にして、大きな者が外側で守る。
これは、『列子』黄帝篇にある説話だ。『論語』子路篇に「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」とあるが、列子は人が集団を作るのに、外面だけで内面を考えないことを指摘する。さらに、そうした集団は文明的に見えて、実は粗野なものに過ぎないとも。