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天下無敵になる方法

楊朱は言った。人々に心休まる時がないのは、長寿、名誉、地位、財産があるからだ。それらを求める者は、神、人、権威、刑罰を恐れる。そうした者を(運命から)逃げる者と言う。(そうなれば)生かすも殺すも、運命は他人次第だ。

運命に逆らわなければ、どうして長寿がうらやましいのか。高貴さを自慢しなければ、どうして名誉がうらやましいのか。(他人を)威圧する必要がなければ、どうして地位がうらやましいのか。(他人の)物を欲しがらなければ、どうして財産がうらやましいのか。そう考える者を、(運命に)従う者と言う。(そうすれば)天下に敵は無く、運命は自分次第なのだ。


楊朱はいい加減な利己主義者と批判されたが、『列子』楊朱篇にあるこの発言には、力強い意思を感じる。運命に従うとは、現状に甘んじるだけの運命論ではなく、運命を自らの手に取り戻すことなのだろう。自分と他人との間に線を引くことは、他人を排除するだけの利己主義ではなく、他人をも救う道なのだろう。

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