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老子注解 31章 武器は不吉なもの

全く、武器というものは不吉なものだ。(だから、平時の)君主は左を上席とし、戦時は右を上席とする。

武器は不吉だから、君主にはふさわしくないものだ。やむを得ず用いる時は、淡々としているのが良い。勝利したとしても、喜んではならない。もし喜ぶなら、それは殺人を楽しむことだ。全く、殺人を楽しむ者が、天下に志を遂げられるはずがない。

めでたい場では左を上席とし、葬礼では右を上席とするものだ。だから、副将軍は左に座り、大将軍は右に座る。このことを葬礼の席と言う。人を数多く殺すのだから、悲しみを抱いて(戦場に)立ち、勝っても葬礼の席に座るのだ。

この章は内容の重複が多く、注が本文に混入しているなどの誤りを疑われてきた。しかし、郭店楚簡も内容に大差は無い。そのため、13章と同じく最初に格言を引用し、それを解説する形式だと推測した。

「全く、武器というものは不吉なものだ」は郭店楚簡に無いが、13章と比較してあった方が良いと考えた。つまり、説明のために「武器は不吉だから」と意図的に繰り返したのだろう。

「悲しみを抱いて(戦場に)立ち」は、原文が「以哀悲泣之」だが、郭店楚簡は「泣」を「位」とし、馬王堆帛書は「立」とする。次の句との対応を考えれば、「立」の方が良い。

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