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『教養の書』を読んだ私の行動指針

戸田山和久さんの『教養の書』がめちゃくちゃ面白く、今後の自分の行動指針を作る上で、非常にためになりました。ちなみに、この本を読んで自分が掲げた行動指針は以下のものです。

・3つの世界があることを認識すること。そして、3つの世界に柔軟に対応できる人格形成を目指す。
・未来が分からないけど、「なんとかなる」と思い、コミットメントし続ける。
・自分の考える力はそれほどないことを自覚し、それを補うことができるものを身に付けていく。
・ボキャブラリーを増やしていく。

これら行動指針を掲げる上で、参考した部分のことをまとめました。
是非参考にしてみてください。

私たちは3つの世界を行き来する。

私たちは、公共圏と私有圏と親密圏の二つの世界を行き来する。

公共圏とは、いわゆる政治や公共的な意思決定に関わる部分
私有圏とは、労働に関わる部分
親密圏とは、家庭生活に関わる部分

近代社会にこの3つに分かれるが、困ったことにこの3つの世界は簡単には調和してくれない。対立しあうことがしょっちゅう。さらに、お互いに絡みついている。

では、この3つ世界をどのような生き方が選択できるか。一応3つの可能性があります。

①1つの領域ばかりを優先する。
②3つの領域にどこでも同じ姿勢で貫く。
③3つの領域のどれかを過度に優先することをせず、それぞれの領域でそのときそのときに出会う問題を、そのつど柔軟に解決していく。

①や②のような極端な選択をすると、軋轢や対立が生じることがある。そのため、③の生き方ができるようになると良い。しかし、柔軟になりすぎると、3つの世界で人格が分割気味になることがある。これは良くない。

つまり、3つの世界でも変らない自分らしさを作る一方で、それぞれの圏でふさわしい行動に切り替えて生きていくための仕掛け(教養)を作ることである。
これが「教養ある」人間

僕たちの将来

今私たちが生きている将来は、どのようなものなのか。ちょっと整理しよう。

まず、人口知能とロボットが高度化し、社会の隅々まで普及するのはおそらく間違いない。「仕事」のあり方が大きく変わってしまうだろう。

エリックとマカフィーの『機械との競争』では、人工知能の普及により、ホワイトカラーの雇用が大部分失われれるという予測をして物議をかもした。

2013年のカイルとマイケルが『雇用の未来:仕事がどの程度コンピュータ化の影響を受けやすいか』という論文を発表し、パラリーガル、会計士、ツアーガイド、セールスマンなどがなくなる確率が高いということを述べている。逆に、とって代わる可能性が低いものとして、セラピストやカウンセラー、意志、教師のような「社会的知性」を必要とする仕事、現場監督などごく少ないデータをもとに意思決定し、その修正を担う仕事などが挙げられている。

医師がするような診断や手術も機械に代わると言われている。また、クリエイティブな職も、写真の自動加工やBGMの自動生成により、中途半端なものはとって代わる可能性がある。

21世紀にもつべき教養

以上の話を聞くと、未来は不特定要素がたくさんあるが、全体として仕事の量が減ることは確かだ。一方で寿命は延びる。仕事が減るなかで、生きる意味とは人生の価値とかを再構築する必要があるだろう。

これから、もし大学を卒業して、その後80年生きると言われている。80年前の日本は、戦前だ。つまり、それぐらいの時代の流れを生きていく。

そのような中で身に付けるべきは、「社会人基礎力」とかではなくもっと普遍的なものだろう。

それには、従来的な近代市民たる教養に加えて、次のものが含まれるのではないだろうか。

・これまで通りではいくとは限らないということを常に忘れない「健全的な懐疑主義」
・先を見通すことの困難な状況に耐えることができる「わからなさ」への耐性
・それでもちょっとはよい方法に世の中を進めることができると信じ。、「良い方向」ってそもそもなんだと疑いながらもそれを実現しようとする「したたかな楽天性とコミットメント」

以上のことを踏まえて、私たちがつけるべき「教養」とは以下のように定義できる。

われわれにとっての教養とは、「社会の担い手であることを自覚し、公共圏における議論を通じて、未来へ向けて社会を改善し存在させようとする存在」であるために必要な素養・能力であり、また、己に「規矩」を課すことによって、そうした素養・能力をもつじなく形成するための過程を意味する。

ここでもつ素養・能力には、以下のものが含まれる。

・大きな座標系に位置付けられ、互いに関連づけられた豊かな知識。さりとて既存の知識を絶対視しない健全な懐疑。

・より大きな価値基準に照らして自己を相対化し、必要があれば自分の意見を変えることを厭わない闊達さ。公共圏と私生活圏のバランスをとる柔軟性。

・答えの見つからない状態に対する耐性。見通しのきかない中でも、少しでもよい方向に社会を変化させることができると信じ、その方向に向かって①②を用いて努力し続けるしたたかな楽観性とコミットメント。

全員が目指すべきものではないが、未来を生きる上で以上の能力を身に付けたい。

私たち個人の能力は、たいしたものではない

個人の能力は高くない。それは、行動経済学が証明している。認知バイアス、ヒューリスティックス、スキーマといった情報を聞いたことはないだろうか。
だから、私たちは様々なもので武装する必要がある。それを、エンゲルハートは、知性増強装置と呼んでいる。それには以下のものがある。

・人工物
人間の安らぎをもたらす、物体や物質を操作する、そして記号を操作するために設計された物理的対象。
・言語
個人が自分の世界像を、心がその世界をモデル化するために用いるいくつかの概念と、個人がそれらの概念に割り当てその概念を意識的に操作する際に用いている企業に小分けして包装する、そのやり方。
・方法論
個人が自分の目標を目指す活動を編成する際に用いる方法、手続き、戦略など。
・訓練
人間が手段1、2、3を使うスキルを、実際に使って効果的なものにまで高めるために必要な条件づけ

我々は単体ではアホだ。

だから、知性完全のための人工物をフル装備してはじめて、まともに考えられるようになる。

大人になっても語彙は増やそう

まず、英語の場合、語彙を増やさなければ英語は使えるようにならない。
➡wikiは英語版の方が日本語版の約4倍の情報がある。

米国では、英語の語彙を増やすことを「vocabulary building」といって、重要視されている。では、なぜ、母語の語彙を増やすべきと考えられているのか。それは二つの理由がある。

・語彙は社会階層と結びついている。
・語彙は思考と結びついている。

ボキャ貧だと、アメリカでは生きていくことば難しい。日本でも同じ状況であると言える。

また、ボキャブラリービルディングには、自分が使う言葉を自ら選択するという能動的で主体的な側面があるこということ、どの言葉を使い、どの言葉を使わないかを選ぶことで、きみは自分の人格を作りあげていくということを覚えておいてほしい。


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