アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース【毎月分配・利回り20%】
毎月分配型の投資信託「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース」について解説します。
パフォーマンスはその年の相場状況などによって変動しますが、利回り10〜20%、平均取得価額と相場によっては30%も目指せる夢のあるアクティブファンド。
ポートフォリオに加えるか検討している方向けに、仕組みや注意点などを解説したいと思います。
YouTubeでも解説動画を配信しています。
基本情報
【ファンド名】
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース 毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型
【運用会社】
アライアンス・バーンスタイン
【設定日】
2014年9月16日
【対象指数】
なし(アクティブファンド)
【為替ヘッジ】
なし
【信託報酬】
1.727%(税込)
【買付手数料】
なし ※必要な証券会社もある
【決算日】
毎月15日(毎月分配)
【NISA】
つみたて枠 ✕
成長投資枠 ✕
アライアンスバーンスタインって?
日本ではあまり聞き慣れない名前ですが、アメリカのテネシー州に本社を置く世界有数の資産運用会社です。1967年に設立され、2024年6月末時点で運用総額123.8兆円(7.695億米ドル)を誇ります。
予想分配金提示型
このファンドの最大の特徴は「予想分配金提示型」という制度。
決算日の前営業日の基準価額の水準に応じて、支払われる分配金額があらかじめ提示される仕組みとなっています。
一定の基準価額を下回った場合は分配を見送ることで、元本を取り崩して分配金を出し続ける状態を回避できます。逆にパフォーマンスが良い時は分配額を増やすことで大きなリターンを得ることができます。
分配金の決定水準
アライアンス・バーンスタインDコースの分配水準は上記のようになっています。
原則、毎決算時(毎月15日・休業日の場合は翌営業日)に、計算期末の前営業日の基準価額に応じて分配金額が決まります。
保有口数1万口あたり基準価額が
14,000円以上なら500円
13,000円以上なら400円
12,000円以上なら300円
11,000円以上なら200円
となっています。
11,000円未満の場合は、基準価額の水準等を勘定して決定となっていますが、過去の分配実績で見ると10,100円以上なら100円、10,100未満だと無配になる可能性が高いです。
直近の分配金
2023年の分配金
2023年の1万口あたりの年間分配金は3,000円でした。
平均取得価額が
10,000円なら表面利回りは30.0%
11,000円なら表面利回りは27.2%
12,000円なら表面利回りは25.0%
になります。
2022年の分配金
2022年の1万口あたりの年間分配金は1,100円でした。
平均取得価額が
10,000円なら表面利回りは11.0%
11,000円なら表面利回りは10.0%
12,000円なら表面利回りは9.16%
になります。
2021年の分配金
2021年の1万口あたりの年間分配金は3,300円でした。
平均取得価額が
10,000円なら表面利回りは33.0%
11,000円なら表面利回りは30.0%
12,000円なら表面利回りは27.5%
になります。
普通分配と特別分配
投資信託の分配金は、ファンドの純資産から支払われます。
分配金には普通分配と特別分配の2種類があります。
違いを見ていきましょう。
普通分配
普通分配は運用益から捻出される「純粋な利益」であり「課税対象」となります。
たとえば、決算時の基準価額が11,000円以上で200円の分配金が出た場合、分配落日に基準価額から200円が引かれます(株価や為替の影響でも変動するのでピッタリ下がるわけではない)分配落日の基準価額が平均取得価額より高ければ「普通分配」となります。
純粋な利益なので分配金には20.315%の税金が掛かります。
特別分配
特別分配はご自身の投資元本を取り崩して支払われる分配金であり「利益ではない」ので「非課税」となります。
上記の図のように、決算時の基準価額が11,292円で、ご自身の平均取得価額が12,000円の含み損であったとしても、予想分配金提示型のルールに基づいて200円の分配金が支払われます。分配落日の基準価額が平均取得価額より低い含み損の状態で支払われた分配金は「特別分配」となります。
特別分配は投資元本を取り崩しているだけなので純粋な利益ではありません、なので、分配金に税金は掛からず、200円がそのまま口座に戻ってきます。
特別分配の仕組み
平均取得価額は下がる
特別分配の場合、その金額分だけ平均取得価額が下がります。
平均取得価額が12,000円の時に200円の特別分配が支払われた場合、平均取得価額は11,800円(-200円)になります。
保有口数は減らない
しかし、平均取得価額は下がっても保有口数は減りません。
あくまで分配金は保有口数に対して支払われるので、平均取得価額が下がることで普通分配になる確率が上がります。
なので、非課税で受け取ることになった特別分配は再投資がおすすめ。
再投資をすることで保有口数を増やすことができ、基準価額が平均取得価額より下がっている時であれば、さらに平均取得価額を下げられます。これにより普通分配の確率が上がり、さらに保有口数に増加により分配金総額が増えるので、将来のリターンを高めることができます。
過去の無配実績
毎月分配を目当てにしてる投資家が恐れ入ることが無配になることです。
アライアンスバーンスタインDコースが過去に無配になった月数を年ごとに見ていきます。
AB-Dが無配になった月↓
【2023年】
1・2・3月(年3回)
【2022年】
3・5・6・12月(年4回)
【2021年】
なし(年0回)
【2020年】
3・4月(年2回)
【2019年】
1月(年1回)
【2018年】
なし(年0回)
【2017年】
4月(年1回)
【2016年】
1・2・3・4・5・6・7・8・9・10・11・12月(年12回)
【2015年】
9・10月(年2回)
無配の回数が多かった年をクローズアップして原因を分析します。
2022年の要因
2022年は年間4回、無配になった月がありました。
主要因としては米国がインフレ抑制の為に政策金利の引き上げ(利上げ)を行ったことで株価が下落したのが大きいと思われます。
無リスク資産である米国債の金利が上がると、リスク資産である株には売り圧力がかかり、年間を通じて株のパフォーマンスが悪い年でした。
金利が上がる局面は、株への投資は慎重になる必要があります。
しかし、そのような局面でも年間8回は分配金が出る水準を維持しているので、無配になることがあっても焦らずに保有を続けることが大事です。
2016年の要因
2016年は1年間無配の年でした。
主要因としてはリーマンショック以降、0.25%の低金利で据え置いていた米国が利上げを始めた時期でした。利上げ局面では株に売り圧力が高まります。
やはり、金利が上がる局面は、株への投資は慎重になる必要があります。
投資先と運用プロセス
この投資信託はファミリーファンド方式を採用しています。
投資家はベビーファンドのDコース(為替ヘッジなし)に投資をしますが、実際の株式売買等はマザーファンドである「アライアンス・バーンスタイン・米国大型グロース株マザーファンド」が行います。
為替ヘッジなしのCコース(為替ヘッジあり)等を選んでも、大元のポートフォリオや運用プロセスなどは同じです。
投資対象
ファンドも投資先は「主として米国成長性の高いと判断される米国株式」となっており、グロース株を中心としたポートフォリオになります。
高い成長率や持続的な利益成長の可能性が高いと判断された企業から、株価の値上がりが期待できる企業を選別し、最終的に50-70程度の銘柄でポートフォリオを構成します。
上位10銘柄は公式サイトの月次レポートで確認できます。
為替ヘッジなし
投資対象は米国株が中心なので、ファンドの基準価額はドル円の為替の影響を受けます。
なので、円安になると基準価額にとってプラス、円高になると基準価額にとってマイナスになります。
ドル円の為替動向を予測するのはほぼ不可能ですが、円高局面においては基準価額に下げ圧力が掛かることについては留意しておく必要があります。
手数料
信託報酬
信託報酬率は年率1.727%(税込)
昨今の低コストなインデックス系ファンドに比べるとかなり高いです。
ただし、相場や市況を見ながら安定的に分配金の原資となる利益を出せるように運用するアクティブファンドは、誰がやっても同じ結果になるインデックスとは性質が違います。
大事なのは手数料ではなくパフォーマンスであり、手数料以上のリターンがあれば良いわけです。
運用益で10〜20%を超えるリターンがあれば十分といえるでしょう。
ちなみに、ファンドの信託報酬は日々計上されて基準価額に反映されるので、運用面において手数料を意識することはあまりないと思います。
購入時手数料
楽天証券やSBI証券などのネット証券であれば無料。
しかし、対面型の銀行や証券会社の場合は購入額に対して3.3%の手数料がかかる場合があります。
利用されている金融機関で詳細を確認しましょう。
購入額の3.3%はかなり大きいので、可能であれば手数料無料のネット証券での購入をおすすめします。
解約時に掛かる「信託財産留保額」や「解約手数料」は掛かりません。
まとめ
アライアンス・バーンスタインDコースは、毎月安定したインカム収入が欲しい方にオススメの攻めの分配型投資信託です。
予想分配金提示型という仕組みを採用することで、今月はいくら分配金が出るのか予測しやすいのがメリットです。運用成績が悪い時は分配金を低く抑え、成績が良い時は高い分配金を出すので、市況環境に応じた分配金を得ることができます。
過去実績に基づくと、分配利回りは年間10〜20%程はあるので、下手に個別株で運用するより安定したインカムを得られる可能性は高いでしょう。
2020年のコロナショックや、2022年の利上げ局面など、株価によって逆風の環境下で無配になっても2〜3ヶ月で基準価額を引き上げて分配を復活させているので、安定した分配金を得たい方によって非常に心強いアクティブファンドと言えます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?