オリジナル『人生計画シミュレーション・カードゲーム(仮題)』のリプレイ・前編
◆制作の経緯(読み飛ばし可)
九城司は、山梨県大月市の飲食店『いなだや』のご主人さんを訪ねた。
片田舎でゲームを作っていく為には、同じ地域で生きている人たちの協力や共感が必要であると感じ、人伝の紹介で挨拶に伺ったのです。
いきなりやってきた私に対して、ご主人さんは邪険に扱うこともなく、快く興味深い話をたくさんしてくださいました。
そうした話の中で出てきた話題で、特に興味を引いたのが「里山資本主義」と「デュアルベースタウン構想」についての話でした。
「里山資本主義」については、そういうタイトルの本がありますので、興味のある方は各自探して読んでください。
「デュアルベースタウン構想」は、山梨県が推進している政策の1つで、都心と地方にそれぞれ拠点(住居)を持ち、仕事日とオフ日の切り替えなど、用途に応じて2つの拠点を使い分ける、という考え方がデュアルベースで、大月市をデュアルベースの地方サイドの拠点のモデルタウンにしようという構想があるそうです。実際にその構想に沿って生活をしていえる方についての話も伺いました。(アルピニストの野口さんもそのお一人だそうです)
九城は、ゲームクリエーター病という疾患を患っているので、そのお話を聞いて、家で反芻している内に「あ、これゲームになる!」と安直に思ってしました。そして、実際に半日で試作1号が完成し、現在は試作2号が完成し、これで良いんじゃないの?と思える完成度になりました。
そうしたら、当然プレイ風景をお届けしたい、と思うわけですよ。
という訳で、リプレイスタート!
◆ゲームの概要(読み飛ばし可)
・リソース管理型の人生計画シミュレーションゲームです。すごろく要素はありません。(所謂「人生ゲーム」とは別物です)
・住む場所や生き方 などを通して、「どうすれば豊かな人生になるか」を考えるきっかけになるゲームがコンセプトです。
・「里山資本主義」と「デュアルベースタウン構想」の概念をゲーム中、活かすことが可能であり、教材となり得るゲームを目指しています。(本気で教材として用いる場合は【怪獣襲撃】のカードは抜いてください)
▼スペック
年齢:8才〜
時間:10分程度
人数:1〜8人
◆タイトルについて(読み飛ばし可)
・『いなだや』のご主人さんに敬意を表して、ゲームタイトルを『いなだ』としようと思いましたが、許可が降りませんでした。
・なので、正式なタイトルを考えなければなりません。いくつか案はあります。『10分生涯』『10分人生設計』『ザ・人生設計』『シム・ライフプラン』『ライフベース』などでしょうか?
・この中だと『10分人生設計』推しです。
◆リプレイ(ここから本編)
・以下は、プレイ風景の再現と解説です。
・なお、今回は一人プレイです。Qジョーくんの孤独な人生を覗き見よう!
1、セットアップ。
・ご覧の通り、セットアップはシンプルです。秒で準備が可能です。
・黒い山札が『拠点カード』で、全てのカードを使って山札にします。ゲーム中は、主にこのカードを用いて展開します。
・青い山札が『世相カード』で、各ラウンドの終了直前に1枚オープンしてイベントが発生します。
世相カードは全19枚(【怪獣襲撃】は抜きました)存在し、その中からランダムで8枚を山札にします。世相山札が尽きるとゲーム終了です。つまり、プレイ時間は8ラウンドで、終了までに8手しか機会がないという事です。手番を無駄する余裕はありません。
・印刷物がスコアボード兼ルールサマリーです。理想を言うと、ポイント管理にはカラーウッドキューブを用意したいのですが、ないものは仕方ないです。試作はとりあえず、これで。
なお、ルールサマリーの記述内容は古いままです。このページでの説明とは相違が一部存在しますが、現時点ではこのページが正しいです。
・白いサイコロは例によって仕掛けサイコロです。今ゲームではグラサイは用いませんよ。
仕掛けは、表面の加工のみです。白いテープを貼って、サイペンで目を書いただけですけどね。
[1]が3面、[2]が2面、[3]が1面のサイコロになっています。半々で[1]が出ますが、[3]は出にくい(と言っても普通に1/6)です。
2、『生まれ』の決定。
・ゲーム開始前に、『生まれ』と『勝利条件』を決めます。
・山札から拠点カードをランダムで1枚引きます。それが『生まれ』です。
今回は《食》の豊かな【里山】の生まれになりました。
『生まれ』は自動的に開拓されます。【里山】のカードをホホォンして、《食》トークンを2歩前進。
・人生設計カードから1枚を選びます。自由に選んで構いません。他のプレイヤーより先に選んだ方が有利ですって?そんなことは言わないください。本ゲームは蹴落とし合う競争ではありません。蹴落とすこともできますが、難易度がちょっと高めなのでお互いに助け合って生きていきましょう。
・今回は生まれで《食》に恵まれているので、【彩食主義】を選択。このカードの記載内容が勝利条件となります。
「よし。Qジョーは グルマンくん として生きていこう!」
勝利条件の説明1:人生設計
・人生設計カード【彩食主義】には、「Most《食》Player」と記載されていますね? このカードを持つ者は、誰よりも《食》の資本を集めなければなりません。この場合は資本を集めることが勝利条件ですが、拠点カードの枚数が勝利条件となるものも存在します。
・また、右下に「Border 6」と書いてありますね? 対象の資本を6個以上あつめなければなりません。もし勝利条件の対象が拠点カードならば、記された枚数以上獲得しなければなりません。
・ゲーム終了時に、MostとBorderの2つの条件を両方とも満たしていれば勝利です。他のプレイヤーの勝利は、あなたの勝利とは関係ありません。1人だけ勝つこともあれば、みんなで勝利することもあるでしょう。足を引っ張り合った結果、誰も勝利できないこともあり得ます。もう一度言います。本ゲームは蹴落とし合う競争ではありません。蹴落とすこともできますが、難易度がちょっと高めなのでお互いに助け合って生きていきましょう。
※ もう一つの勝利条件(勝利条件の説明2:生存へ つづく
3、第1ラウンド開始
・拠点山札からカードを引き、市場に4枚置きます。(もしくは[PL人数]枚。多い方)
・手番でやれることは『拠点拡大(カードを獲得)』か『開拓(獲得したカードのポイント化)』の2択です。どちらかのアクションを選んで実行します。
アクション『拠点拡大』
・市場からカードを1枚選んで自分の手元に配置します。
・獲得したばかりの拠点は、まだ「未開拓」の状態です。未開拓地の枠は4枚までです。これより拠点拡大する為には、先に『開拓』をして未開拓地を減らす必要があります。
アクション『開拓』
・手元の未開拓の拠点カードを何枚でも開拓済みにできます。あえて何枚かだけ開拓しないこともルール上は可能ですが、あまり意味のある事ではないでしょうし、景気良くすべて開拓しましょう!
・拠点カードは、開拓され際に1度だけ資本を発生します。
・ただし、【商業】の拠点カードだけは扱いが特殊です。(後述)
・手元に未開拓な拠点はありませんし、今回は『拠点拡大』をしましょう。
彩食主義者らしく、《食》を含む【里山】を獲得しました。
これで手番終了です。本ゲームは手番でやることが少ないので、スピーディーにゲームは進みます。
4、第1ラウンドの世相
・世相カードは、個人の力が及ばない世の中のうねりを表現しています。ゲーム的にいうと所謂「イベントカード」のことだと思ってください。
・参加プレイヤー全員の手番が終わったら、ラウンドの最後に、世相山札から1枚カードをオープンします!(一人プレイなので、さっさと進めます)
・このラウンドの世相は【サイバー犯罪】!
【テレワーク】を拠点にしている人は、その拠点を1枚失ってしまいます。
しかし、田舎暮らしの美食家Qジョーくんには関係のない話でした。
5、第2ラウンド開始
・ラウンドが切り替わったら、市場に残った古いカードは全て撤去して、新しい市場を用意します。
取り残したカードがあっても諦めてください。1つのラウンドに獲得できるカードは1枚だけです。常に決断を迫られるのが人生です。
・今回も『拠点拡大』をします。【テレワーク】を獲得。
世相カードの【サイバー犯罪】は、1枚しか存在しないのを製作者特権で知っています。これからはもう【テレワーク】を取っても安全なのです。
ズルい!とか言わないで。情報が大切なのも人生です。
6、第2ラウンドの世相
・手番を終えたので世相カードを1枚オープンします。
なんと【好景気】!!
・【好景気】がくると、未開拓の拠点はすべて自動的に開拓され、資本を発生します!!
【里山】と先ほど獲得したばかりの【テレワーク】から、資本が発生。【テレワーク】には「ー」の側面もありますが、《水》は元々0でしたの痛くありません♪
・【好景気】は20枚中に2枚存在します。どちらか1枚が8枚の山札に含まれている確率は低くはなく、手番を使って『開拓』を宣言する手間を省く為に、可能ならば【好景気】が来るのを待つのも戦略です。
資本発生の手順
・複数のカードから資本が発生する場合、同じ資本に「+」と「ー」が同時に起こることもあり得ます。
・その場合は、まず「+」を先にすべて処理します。その後で「ー」の処理をしてください。
・資本の低限は0です。0より下にはなりません。
・例えば、《水》が2個の状態で、+1とー3が発生した場合は、答えは0です。1でもー1でもありません。
7、第3ラウンド
・第3ラウンドです。市場が一新されました。
また【テレワーク】がありますね。誘っているのでしょうか?
・そのお誘いには素直に乗ります!
・そして世相カードは【流行病】。
サイコロの目だけ、対象の資本を失います。
・《楽》は元々1個だったので、サイコロを振るまでもなく、0個になりました。チーン。
蔓延する病のせいで、楽しみを奪われました。ゲームの中の人生までも…。
フレーバーへの葛藤
・ゲームといえども風刺が過ぎる危惧を感じていまして、このカードについては、時勢的にも【流行病】という名称はいくらフレーバーと言えども、とても悩みました。でも、「人生を考える切っ掛けとなるゲーム」というコンセプトを踏まえると、この名称でなければならない、と逆に思い直し、心に鋼を通しました。
8、第4ラウンド
・第4ラウンドの市場です。またまた【テレワーク】が誘っていますね。
・でも、たまには心を鬼にして誘惑を跳ね除ける必要もあります。資本複合型の【里山】を選びます!《水》と《楽》は0個なので、そろそろ獲得しておかないと安心できません。
もう一つの勝利条件(勝利条件の説明2:生存)
・人生設計を全うすることは、豊かな勝利に必要です。勝利には、もう一段階存在します。それは、生存です。
・ゲーム終了時に、4種類の資本がそれぞれ1個以上保持していないと、本当の意味での敗北となります。
《水》が0個:
水とは生活の生命線であると同時に、美しい自然の象徴でもあります。自然と融和した生活は生活を豊かにします。たまには夜空を見ていますか?
《食》が0個:
ちゃんと食べれていますか? 生きていますか? …返事がない。
《燃》が0個:
燃料、エネルギーです。つまり文化的な人間らしい生活の指針です。住む家はありますか?自然を破壊することは良くはありませんが、自然と一体化するとはそういうことではありませんよ?
《楽》が0個:
孤独が好きな人もいます。それを否定するつもりはありませんが、さみしく孤独な人生を目指したのでしょうか?
・世相カードをオープン。【啓発】です。やっかいなイベントを引いてしまいました。
【啓発】が出たら、全プレイヤーはサイコロを振ります。そして、[1]を振ってしまったプレイヤーは、人生設計カードを変更しなければいけません。拒否権はありません。逆に変えたくても[1]が出なければ変えられません。
・[2]を振りました!ここまで順調だったので、人生設計の変更は是が非でも避けたかったのです。あぶなかった!!
これからも【彩食主義】を貫き通します。
ここで第4ラウンドが終了。ちょうど半分ですね。
キリが良いので、ここまでを前半として区切ります。
また近い内に会いましょう!
行く末万端御熟懇にお願い申し上げます。
▼後編
▼大月版