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2024年3月現在のマイブーム的ドラマ観

映画『夜明けのすべて』、原作小説は未読で観てきた。


PMSに苦しみ、「いてもいなくてもいい存在、どころかむしろ必要のない存在」と、スーツに身を包んだ企業勤めを入社二ヶ月で諦め、栗田科学で働き始めて3年になる藤沢さん。

お付き合いしている彼女もいて、生き生きした同僚たちに囲まれながらエリートとして働いていたところ、突如発症してしまったパニック障害によって、元の企業に戻ることを上司に図ってもらいながらも下町の小さな会社で働くことになってしまった山添くん。(想像込みで。)

そんな2人が徐々に、「恋人」や「友達」、「相棒」など既存の言葉では形容し難い、何だか特別な関係性を築き上げていく。


映画序盤。二人が栗田科学に至るまでの過程が見えてくると、正直、ここで表立っては書けないくらい最低なことを考えてしまっている自分がいた。他者との比較に一喜一憂してしまう上に無駄に高いプライドを一向に捨てられない自分に嫌気が差した。

特に山添くん。あの美しい定点カットに合わせたエンドロールを見てもなお、山添くんが結果として一旦下した決断を、たったの2時間でむやみに肯定することはまだできなそうにない。

それでも、異なる病を抱えた2人(でもそれらの病は周囲の人々が2人のことを理解しようとするきっかけでしかなくて)を取り巻く優しさ、そして2人がお互い影響し合って受け取り、差し出す優しさがどうしようもないくらい心地よかった。そこに並べられた言葉の深い考察・言語化は自分にはできないけれど、タイトルにも繋がるプラネタリウムでの藤沢さんの語りには、思わず涙してしまいました。原因を探るべく、他の方の感想文を読み漁ろうと思います。


『わたしの一番最悪なともだち』

『いちばんすきな花』

『PERFECT DAYS』

『作りたい女と食べたい女』

『夜明けのすべて』

『葬送のフリーレン』
(現在まだアニメ6話までしか追えてませんが…)

扱うテーマや登場人物の様相は全く違えど、ここ最近惹かれるドラマや映画には何となく同じような雰囲気を感じる。

何かしらの問題を抱えていたり、どこかマイノリティだったり、あまりスポットライトが当たることがなかったり、はたまた特別何かが大きく欠けているわけでもなくてどこにでもいそうだったりする登場人物たち。彼らは決してドラマチックな展開に救われるわけでも、それを通して大胆な変化を遂げるわけでもない。

この世界のどこかで私たちと同じ時間速度で暮らしているのではないか、というくらいに穏やかな日常の中で、不器用ながら会話してみたり、周囲の人々の優しさに触れたり、そんな周りのことを知ろうとしてみたり。同じ時間と場所を共有する直接的なコミュニケーションを通してちょっとでも心が豊かになることが描かれている…気がする。(平山さんの場合はそれが必ずしもその先の幸せにつながらないかもしれないけれど。)


内向的( i 型)だとか自分に貼り付けたレッテルを破り捨てるとまではいかなくても、少しの間だけでもプライドを捨てて、傷つくことへの恐怖を見て見ぬふりしてみて、人との繋がりを前向きに受け入れよう、また、神経をすり減らさずにコミュニケーションができる程度を探ってみよう、という姿勢を持とうと、おかげで思えてきている。

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