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New Vision for Furniture 新しい視点で世界を見つめる人に聞いた、日々の暮らしと家具
ひとつだけの機能で終わらない、新しい価値観を求めて
カートンピッカー 島津冬樹
世界中で拾い集めた段ボールで財布を作るカートンピッカーの島津冬樹さん。アップサイクルされた財布やコインケースはお洒落で使いやすいと評判です。「段ボールを拾う」、「段ボールから作る」、「段ボールを伝える」、「段ボールを考える」というアプローチを通じて、段ボールの概念を変える活動をしている島津さん。そんな彼の東京にある拠点「Carton Studio」にはstiiilll(スティール)の什器が設置されています。世界を旅し、段ボールと対話する島津さんは、stiiilllの什器をどう見ているのでしょうか。
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段ボールの可能性を知ってもらおうと、島津さんは段ボール財布を作るワークショップを国内外で開催しています。「段ボール財布は作品というよりはプロダクト。一度作れば僕がいなくても作れます。おばあちゃんがチラシでゴミ箱を作りますよね。世の中に対し、それくらいの溶け込み方を目指しているんです。作品ではなく“知恵”を売っているのかもしれません」と島津さんは笑います。
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ワークショップで使用する段ボールは主に国内で集めたものですが、島津さんが制作するプロダクトは海外で拾い集めた果物、缶詰、お菓子、ピザなどの段ボールから作ったもの。訪れた国と地域は43カ所に及びます。さらに、審美眼にかなった段ボールは国名ごとに整理され、コレクションされています。どれにも出会った時のストーリーがあると島津さんは愛おしそうに段ボールを見つめます。「地域によってインクも発色も紙も違う。版ずれだって受け入れている。すごく味わい深いですよね。だけど、ふと思うんです。この段ボールと僕はまた出会えるのだろうか。この国に行けるのだろうか。そんなことを考えると使うことができず、手元に置くようになったんです」
島津さんは世界の街で段ボールと出会い、それらを束ねて旅を重ね、日本に持ち帰ってきます。本来は捨てられたり、再利用されたりする段ボール。段ボールの運命に島津さんが関わり、日本のスタジオへとやって来るのです。
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Carton Studioにはstiiilllの什器が設置されています。文具や道具入れなどが置かれ、世界中からやって来た段ボールも吊されていました。「オフィスの什器には白色でツルッとした質感のものが多いけど、このスチール製のstiiilllの什器の塗装はオフホワイトで、ざらっとした質感がいいですよね」。島津さんはstiiilllの什器を初めて見たとき、その可能性に対してとてもワクワクしたそうです。「なにができるだろうなと考えましたね。stiiilllの什器は機能美が美しく、実用的な上に自由があります。木の家具も良いけれど、やや拡張性に欠ける。用途は時として変化しますから、自分のスタイルで拡張できるという点は重要です。stiiilllの拡張性は、持ち物の増減や興味という変化を受け入れてくれる。引っ越ししても、その場所にうまく適応するでしょう。僕はひとつだけの機能で終わらない物が好きなんですよね」。島津さんは、その時の状況に応じ、stiiillをカスタマイズし、自分好みの什器にしていくそうです。stiiillと共に、段ボールに新しい価値観や可能性を見出す島津さん。スタジオに柔軟なstiiilllの什器が溶け込み、島津さんの新しいアイデアへと繋がっていきます。
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shelf & options
・shelf pole × 8
・shelf plate 250 × 6
・shelf plate 400 × 9
・shelf peg board × 1
・shelf hanger bar × 3
島津冬樹
1987年生まれ。多摩美術大学卒業後、広告代理店を経て現在に至る。2009年の大学在学中、家にあった段ボールで財布を作ったのがきっかけで段ボール財布を作りはじめる。
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stiiilll(スティール)
「仮設」をコンセプトにした状況の変化にフレキシブルに対応するファニチャーブランド。stiiilllのプロダクトは、「環境が変化しても捨てなくていい家具」という持続可能な価値を提供します。
Webサイト
https://stiiilll.com/
Credit
Photo : Hidetoshi Fukuoka
Text : Hideki Inoue