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〈香 港〉2022.8.01
8月は
太陽の王国だ
木々の影は濃く
浜辺の白い砂が
焼けている
風は
突然
香る港から
吹いてくる
冗談みたいに
円が下がって
名うての
金融都市の空に
無数の火の車が
廻る
名無しの海から
上がるのは
大きな魚の
死骸だけではない
新月の夜も
49階の中空テラスで
金銀の光をまとい
男勝りの女たちが
ま闇の天涯の淵を
闊歩する
私らはさ
落ちないわけ
心と反対の位置に
ダサい男たちの
口があるから
悪縁は切るだけよ
それから
ふいに
港から
悪い臭いが
漂ってくる
この
香る港から
上がるか
20世紀の
男たちは
もはや
黒い影
だけになって
口々に
そう
囁いている