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知れば知るほど面白い元ネタの世界

元ネタ。それはオタクが愛してやまない、作品と作品との架け橋である。色んな作品を幅広く知っているほど、オマージュネタと出会った時のお得感は増してゆく。

円城塔の『Self-Reference ENGINE』の中に、このような一節がある。

(中略)そういう意味で何かがどうにかしたやり方で、僕は数百年の未来だか過去へ来ている。彼女もまたその種の疾走をしなかったとは言い切れない。しかし女の子というのは、あえてそんな筋肉の酷使をしなくとも、時間をふと抜けてしまうことができるのはよく知られた現象だ。

円城塔 『Self-Reference ENGINE』より

後半の太字部分に注目していただきたい。前後に何のフリもなく、突然このフレーズが差し込まれる。おそらく『時をかける少女』などを指していると思われるが、それを知らない読者からすれば「よく知られた現象…?女の子が時間を抜けてしまうことが…?」と疑問符が浮かぶことでしょう。とはいえ読み流すことができる範疇ではある。しかし、僕はこのように唐突に登場するオマージュ/パロディネタが好きだ。さりげなさが粋で良い。

作品は変わってスプラトゥーン3を取り上げます。このゲームは3人称視点のシューティング(TPS)で、ブキの他にギアと呼ばれる強化装備があります。帽子、トップス、ボトムス、靴など見た目はクール&ポップなファッションアイテムで、キャラの移動速度やブキの性能を上げる効果がある。そして、プレイヤーの間で話題になったとあるギアがコレだ。

頭部に注目してほしい。見ての通り『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のオマージュとしか思えないファッションアイテムだ。って、なんでBTTFくんが!?まさか任天堂の最新作とBTTFが交わるとは思いもしない。スプラトゥーンをプレイする令和キッズの大半はBTTFを知らないだろうが、ゲームを楽しむ上では何ら問題ない。その子と一緒にプレイする、あるいは後ろで見守っている親が「ほほぅ…?」と口角を上げればそれでよいのだ。

単なる開発側の遊び心かと思ったが、次回作に大きな影響を及ぼす最大級フェスのお題が「過去vs現在vs未来」だったことを考えると、BTTFネタは途端に整合性を帯びる。

元ネタに気づいてニヤリ…となるのは気持ちいい。しかし、色々な作品に触れる中で自分がスルーしてしまっているネタも山ほどあるだろう。それを思うだけでとても悔しい。これから出会う作品をより楽しむためにも、幅広くアンテナを張っておきたいものだ。今回は時間にまつわるネタを軸にピックアップしてみました。

ちなみに。文中の「って、なんでBTTFくんが!?」は、かの有名な「くぅ〜疲れましたw」のスレを元にしています。まあ、こうして元ネタについて解説するのは蛇足もいいところなんですが…。とはいえ、僕の日記に登場するパロディネタも楽しんでいただけると幸いです。

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