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第53話「トレーニング前日の不安」

トレーニング前日

「武藤さん、いよいよ明日がトレーニング初日だね。何だか、私が新人だった頃を思い出したよ。緊張するだろうけど、大丈夫。5週間頑張ってね。

その日の夕食は木村が用意してくれた日本食を食べながら、これから始まるトレーングの事を色々と質問した。

カツヒロはイギリスの大学院を卒業し、プロの通訳を目指す学校に通学したが、それでも英語力に不安があった。英語が母国語のニュージーランド人と一緒に、全く同じ条件のトレーニングについて行けるか?そこが凄く不安。

「はい、ありがとうございます。今は嬉しさより、緊張と不安の方が大きいですが、一生懸命がんばります。」

「そう、多分、最初は誰でも緊張するけどね。車の運転とかと同じで何でも慣れてしまえば大丈夫だから、困ったら何でも聞いていいよ。」

「ありがとうございます。本当にそうさせてもらいます。」と本心でカツヒロは答えた。

・・・。

9月26日の夜、カツヒロは中々寝付けなかった。

気分転換に静かなクラッシックをかけ、日本から持参したイカロス出版社のスチュワーデスマガジンを取り出した。特にお気に入りだった“スチュワード特集記事”を読み返しながら、これから始まる、自分自身の「スチュワード物語」を頭の中で描いていた。

スチュワーデスマガジン

本当にずっとずっとスチュワードに成りたくて、実際に会ったことはなかったが、その雑誌に出ていた日本人男性客室乗務員達の姿に強い憧れを感じていた。そして、何ども何どもエアラインCA受験で悔しい思いをしても、いつか自分もそっちの人間になるんだ。絶対に国際線の客室乗務員に成るぞと強く想い続けて来た。

そんなカツヒロでも、いざトレーングが始まるとなると、自分はネイティブのペースについて行けるのか?そこは不安なままだった。

たとえ、それが自分がやりたいと思っていた仕事であっても、「未知の分野を一から英語で勉強する事が果たして可能なのか?恐らく覚える知識は相当あるから日本語であってもきっと大変だ。」そう考えると中々、眠りにつけなかった。

「本当に俺、できるかな?」と自問自答をしばらく繰り返した後、前に他人のブログに書いて合ったFEARと言う英語について思い出した。そのブログには英語で不安を表す単語にFEARと言うのがあるんだけど、この本当の意味知っている?と言った事が書かれていました。

FEARの本当の意味は,それぞれの頭文字を取ってFake Evidence Appearing Realとなり、直訳すると“本当に起こりそうな嘘の証拠”となる。つまり、「嘘の証拠=思い込み」という事を理解しなさいと書いてありました。

その文章を初めて読んだ時、勝弘は「ふーん、なるほどね。結局、不安って勝手に自分が思い込んでいる嘘の証拠なんだ。」と妙に納得して、その事を手帳の一番後ろのページに書き写した。

その後、何か自分が不安に押しつぶされそうになると、このページを開いて、その思い込みをボジティブなモノにと変えて来た。そして、今夜も最後は、根拠はない自信、魔法の暗示で「大丈夫、なんとかなるよ。」と胸の中でつぶやき、ようやく眠りについた。


つづく。

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