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第17話「怖いもの知らずの20歳」
とうとう、ICEでの36週間の授業が全て終わった。1日5時間×週5日×36週を計算すると900時間になる。この9か月間を通して英語だけでなく海外生活で生き抜くための基礎を身に着けた。
まだ、英語が母国語の人と話す英語はスピーデイで複雑だから、上手く会話について行けない事もあるけど、そうでないノンネイティブ同士でなら、結構、言いたいことは伝えられるように成長した。
季節はこれから夏本番となる12月だ。
カツヒロにとって初めてのMerry Christmas in summer。
オーストラリアではサンタクロースはトナカイなんかに乗らないで、サーフボードで海からやって来るんだ。
ICEでは12月12日から4週間のサマーホリデイが組まれていた。3か月毎のターム終了時、学校全体で合同お別れ会が授業として行われる。ElementaryクラスからAdvanceクラスまで、各クラス対抗で歌やダンスを踊ったり、出し物を見せる。カツヒロ達は5分程度の寸劇を行った。
ずっと一緒だった、タカエとミカとも今日が最後の授業だ。永遠の別れになるわけではないけど、やっぱり寂しい。今までは自分が卒業していく仲間を明るく見送ったが、立場が逆になり気持ちは複雑だった。
お別れ会の最後は生徒のスピーチで閉められる。もしかしたら、と予想はしていたがキャロライン校長からカツヒロが指名された。
「えー、皆、今日はどうもありがとうございました。先生方も本当にお世話になりました。たくさん、思い出があります。4月に入学した時は、英語が全然分からなくて、授業がチンプンカンプでした。だけど、ちょっとずつ相手の言っている事が理解でき、しばらくしたら韓国人のフラットメイトと一緒に生活出来るようになりました。他にもシドニーやエアーズロックに一人で出かける事が出来ました。あっ、一番の思い出は9月にやった私の誕生日会です・・・。本当にICEで学んだおかげで、今の私がいます。Thank you for all of ICE (International College of English) family.」
スピーチが終わると、大きな拍手に包まれた。
・・・。
2日後、カツヒロはシドニーのセントラ駅の近くの格安ホテルに泊まった。目的は日本に帰国する前に2週間の国内周遊旅行に行くためだ。今日はシドニー在住の友達とボンダイビーチを観光した。
明日は郊外でスカイダイビングをする。
母親のマキには悪いが、今回の旅行代金は全てJCB家族カードを使わせてもらったよ。
カツヒロはシドニーでスカイダイビング、ケアンズでバンジージャンプとスキューバーダイビング、ダーウインでは気球に乗る予定を組んでいた。他にも砂漠をラクダに乗って歩くツアーや急流を筏で下るラフティングもしたいと思っていた。
オーストラリアはとても広いから、時間を節約するため、バスではなくアンセット・オーストラリア航空の周遊券をつかった。メルボルン~シドニー~ケアンズ~ダーウィーン~パース~メルボルンを2週間で周るには飛行機でないと実質不可能だから仕方ない。
帰国後にマキから
「あんたが、あんまりカードでお金を使ったから銀行から残高が足りないと言われたのよ。向こうは、必要ならいくらでも融資はしますって。冗談じゃない。息子の道楽の為になんで、私が汗水たらして働かなければいけないの。」と酷く怒られた。
・・・。
「スカイダイビングとバンジージャンプ、どちらがもう一度やりたい?」と聞かれたら答えはどちらもNoだ。あんなに怖い思いは、もう2度とやりたくない。と思ったけど、やっぱり経験出来て良かった。
スキューバダイビングはオープンウォーターライセンスを取得出来た。座学で2日間、プールで半日練習をしてから2泊3日のダイビングツアーで実際に潜った。ケアンズはオーストラリアの自然遺産の一つ、世界最大のサンゴ礁のグレートバリアリーフの観光地として知られる。
1991年12月25日のクリスマスは、グレートバリアリーフの船上で15人の仲間と夜を過ごした。このダイビングツアーには遠くアメリカやカナダ、ヨーロッパからの参加者もいた。カツヒロもそうだが、グレートバリアリーフの美しさにひかれ、バックパックを背負ってやって来た仲間だ。
ライセンスを取るための条件にナイトダイビングを2度行う必要がある。夜の海の中は昼間と異なり暗い。だから懐中電灯を持ってダイビングをするのだけど、ちゃんと船に戻って来れるかちょっぴり心配だった。
それから、ダーウィーン。クロコダイルダンディーと言うオージーが主役の映画があるけど、このクロコダイルとは、ワニの事。ダーウィーンのカカドゥ国立公園(Kakadu National Park)はノーザンテリトリーにあるオーストラリアの国立公園の一つだが、野生のクロコダイルが見られる。
ワニ肉のステーキ料理もあったけど、本物のワニをみたら可哀そうで食べる気にならなかった。公園内をバスとフェリーで周るツアーに参加したら、野生のエリマキトカゲにも遭遇した。
最後に訪れたパースではキングスパークから、「世界一美し街」と呼ばれたパースの街並みを一望した。
カツヒロは何時か、このキレイな街に戻って来たいと心に誓った。
つづく。
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