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第21話「新しい環境と大切な仲間」

4月に入りカツヒロはトラジャルの2年生に進級した。

新しい住まいとなるTokyo English Centerの最初のルームメイトは、アメリカ人のジャックと日本人のカズヤさん。ジャックはデンバーの出身で27歳、身長は185cmぐらいあり、筋肉質な体つきだ。顔がトム・クルーズに似ているから日本人女性からモテモテのようだった。

一方、カズヤさんは25歳で和歌山県の出身。子供の頃からパイロットを目指していて、航空自衛隊に入りたいと言っていた。身長は170cmぐらいで、坊主頭にしている。


Tokyo English Centerは2階建てのマンションでそれぞれの部屋は8畳程の広さになっている。各部屋にはシングルベットと2段ベットが1台あって合計3名が利用出来る。部屋数は全部で12室あった。基本はどの部屋も最低一人は外国人が入居し、同姓同士で使用する事になっていた。

トイレは1階に2つ、2階が6つだが、2階の3つは男性用の小便器。1階に湯舟付きのシャワー室とシャワーのみの小部屋がそれぞれあった。キッチンは結構広くてガス台が4つ、大型の冷蔵庫が2台、それとは別に冷凍庫が用意されている。

調理器具や食器は前の住民が残していったモノが大量にあるから新しく用意する必要はない。炊飯器は10合まで炊ける大型サイズと3合までのミニサイズがあり、トースターも2台あった。

リビングルームはキッチンの隣にあり大体20畳ぐらいの広さだ。4人掛けのテーブルが3つと3人掛けのソファー、40インチのブラン管TVとビデオデッキ、それらと別にパイプ椅子の予備が5つあった。

リビングルーム

電話は1階の廊下にピンク色の公衆電話が1つだけ。テレフォンカードが使えないコイン式だか、外からも電話が繋がる。時々、外国人から電話がかかってくるから良い英語の練習にもなる。2階のトイレの脇にコインランドリーがあって、洗濯機と乾燥機が2台ずつ設置されていた。

何だか、ユースホテルやバックパッカー見たいだとカツヒロは思った。

オーナーの泉さんは、下の名前がケンジだから、入居者はケン、又は、ケンさんと呼んでいた。入口の隣にケンさんのオフィス兼住居があり、内縁の妻、ユリさんと同居していた。二人には子供はおらずメアリーと言う名のメスの柴犬をかわいがっていた。

・・・。

「よし、今日からアルバイトだ。」

新しい学年、新しい住まいに慣れて来たカツヒロは、4月末から富士見ヶ丘駅前のミニストップで週3、4日勤務する事になった。ミニストップといえば、当時は「しゃべれる♪~たべれる♪~コンビニエンス」と言うコンセプトが売りだったから、ソフトクリームやハンバーガー、フライドポテトをその場で作って提供したりした。

コンビのバイトは夜勤を頼まれる事も多かったけど、その分時給が上がったからバイト代は結構稼げた。それに、時間が過ぎると廃棄になるお弁当やサンドイッチ、洋菓子などをもらえたから食費も浮いた。


5月に入ると学校のクラスメイトとも大分仲良く成れた。カツヒロは留学して1年休学したから、皆より一つ年上でリーダーと呼ばれるようになっていた。1年生の時は時間の余裕がなかったからやれなかったバレーボール部にも入り、周りからは親しみを込められて3年生と呼ばれた。

一方、Tokyo English Centerの入居者とも徐々に仲良く成れて来た。日本人男子は、銀行勤めの土屋さん、現役東大生の丸川さん、早稲田大学のユージ君、カズヤさんとカツヒロの5名。

日本人女子は短大生のカヨコちゃん、専門学校生のハスミちゃん、OLのリョウコさん、TV局のADナオミさん、フリーターのヨシコさんの5名。


外国人男子はアメリカ人のジャック、カナダ人のクリス、ニュージーランド人が2人でサムとアダムの計4人。外国人女子はカナダ人のフィオナとアリス、オーストラリア人のリサ、イギリス人のサラの4名が入居中だった。

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朝のキッチンで一緒に料理を作りながら会話したり、夕食後のリビングでお喋りをしたり、男同士だとトイレで用を足しながら雑談したりと日々、入居者同士のコミュニケーションは増えていった。

目的は違えど、他の日本人も、英語力を身に付ける為にここに住んでいる。自分の夢やミッションを達成するために外国人と同居する方法を選んだ仲間だ。それから、外国人も日本という異国に飛び込んで来た素敵な友達。本当にここに住ませてもらえて良かった。

帰国後、しばらく英語をしゃべる機会から遠ざかっていたカツヒロだったが、翼を得た鳥のように毎日が充実していた。


つづく。

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