第50話「予想外のCA採用通知」
その日、カツヒロは何度も何度も同じ英文を大きな声で発生していた。
「When aircraft has stopped, unfasten harness assess condition」
(飛行機が止まったら、ハーネスを外して状況確認)
「If door is unusable, remain at door, redirect passengers」
(非常ドアが使えない場合は、ドア付近に残り、乗客を別方向へ誘導)
「If door is usable, open door, check outside」
(非常ドアが使える状況の場合、ドアを開け、外の状況を確認)
「Shout unfasten seatbelts」
(大声でシートベルトをはずして)
1999年9月、28歳の武藤勝弘は念願だった、キウイエアラインの客室乗務員として採用された。
ここに至るまで、カツヒロは30社以上の航空会社に応募書類を送り、殆ど書類選考すら通過しなかった。だから、正直、人事マネージャーのアンから内定の知らせが電話で来た際、自分の夢が実現すると言う実感が全くなかった。
「えっ俺、本当に合格したの?」
これまで、高田馬場にあるエアライン志望者向けのナイトスクールに3か月通って、子供の頃から将来はキャビンアテンダントになると決め込んでいる大学生や社会人の女性たちに交じって受験ノウハウを学んで来た。
だけど、その間のカツヒロはさっぱりダメで、もっとも健闘したのが、KLMオランダ航空とヴァージンアトランテイック航空の一次面接進出。ハーレクイン航空もスカイマークエアラインも書類選考は通らなかった。
このまま、日本でエアライン受験を続けても、男性の客室乗務員の採用自体が少ない。更に優秀な女性ライバルが多数いるからきっと勝てないだろう。
そのようにカツヒロは悟ったから、ニュージーランドの永住権を取得してキウイエアランの現地募集に応募した。
「嬉しいけど、本当に俺でいいのかな?」
そんな、カツヒロの気持ちなど全く察することなく、アンは至って事務的に今後の予定を伝えて来た。
「カツヒロ、今回のコントラクトは残念ながらフルタイムでなくて、テンポラリーです。ですから、あなたと会社との雇用契約は6か月間、来年3月末日までで終了します。」
「はい。」
「そのあとの保証は何もありませんが、それでもあなたは引き受けますか?」
「はい。お引き受けいたします。」
勝弘のその一言を聞くと、アンは少しホットしたようすで、「ありがとう。カツヒロ。後であなた宛てにトレーニングのスケジュールを記した書類を添付して送るので、後はそれを見てちょうだい。」
「はい。承知しました。」
「もし、何か疑問点があったら、いつでも私当てに電話してきてね。」
「はい。本当にありがとうございました。」
カツヒロはアンが電話を切るのを確認してから、そっと受話器を置いた。
つづく。
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