丸森時間差遺産 第3話「全力で走り抜けた公園」
僕は全力で走っていた。とはいえ、太宰治の小説『走れメロス』のように親友との友情を守るためではない。先ほどスーパーで受け取ったレシートが風で飛ばされたため、追いかけていただけである。30mほど先で追いついて無事に回収したが体力は消費した。昔は追いかける側ではなく追いかけられる側だったのになと、息を切らせながら30年以上前のことを思い出していた。
実家には昔、コロという犬がいた。名前の由来は当時僕が夕食時にコロッケを食べているときに思いついたからで、マグロを食べていたら「ト