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今更聞けない、プロダクトアウト・マーケットイン

こんにちは、Steveです。

2007年から、コロナによる渡航制限が敷かれた2020年から2022年の3年間を除き、毎年8月にはフィリピンにある児童養護施設を訪問しています。その団体では学生向けのコンテンツを提供しており、現在の代表3人のうち2人はそのコンテンツの出身で、個人的にも非常に気に入っています。

今年は久しぶりにそのコンテンツを提供する予定ですので、追って詳細を紹介したいと思います。今回取り上げるのは、その団体で行われたマーケティング講座で扱われた題材です。以前にBtoBやBtoCについて耳にしたことはあるかと思いますが、マーケットインとプロダクトアウトについて、具体的に何を指すのかを詳しくお話しします。

はじめに

まずはマーケティングとは、製品やサービスを市場に提供し、販売を促進するための活動のことを指します。

企業が市場に製品やサービスを提供し、成功を遂げるためには、2つの主要な戦略があります。これらは「プロダクトアウト」と「マーケットイン」として知られており、どちらも製品開発と販売のプロセスにおいて重要です。

プロダクトアウト戦略では、企業はまず製品を開発し、その後でその製品に適した市場を見つけ出すことを目指します。一方、マーケットイン戦略では、企業は市場の要望や顧客のニーズを先に理解し、それに基づいて製品を開発します。これらの戦略は、企業が競争の激しい市場の中で生き残り、成長するための基盤を築くのに役立ちます。

プロダクトアウト(Product-Out)


プロダクトアウトは、文字通り「製品から外へ」という意味です。このアプローチでは、企業が独自の技術やアイデアに基づいて製品を開発し、その後でその製品に市場を見つけようとします。つまり、まずは製品ありきで、その素晴らしさを顧客に伝えて受け入れてもらうことを目指します。この方法は、革新的な技術やアイデアが強みの企業に適していますが、市場のニーズと合っていない製品を開発してしまうリスクもあります。

マーケットイン(Market-In)


一方、マーケットインは「市場から中へ」という意味で、市場のニーズや顧客の要望を最初に調査し、その結果に基づいて製品を開発します。このアプローチでは、市場の声を聞き、顧客が実際に欲しているものを提供することを目指します。これにより、製品が市場に受け入れられる可能性が高くなりますが、競合との差別化が難しいというデメリットもあります。

重要性と役割


プロダクトアウトとマーケットインの両アプローチは、企業が製品を市場に導入する際の基本的な戦略となります。どちらのアプローチも一長一短があり、成功の鍵は、これらのアプローチをその企業の状況、市場の環境、競合との関係に応じて柔軟に組み合わせることにあります。市場が急速に変化する現代においては、顧客のニーズを理解し、それに応える製品を効率的に開発・提供することが、企業の持続的な成長と競争力の維持に不可欠です。

プロダクトアウトのアプローチについて

プロダクトアウトとは?
先ほども説明して様にプロダクトアウトとは先に商品を作り市場に出すことをいいます。
イメージとしては、あなたがとても好きなものを作り、「これが好きな人は他にもいるはず」と考えて、それを共有するような感じです。この方法は、独自のアイデアや技術を持っている時によく使われます。

どんな時に適してる?
- 革新的な技術やアイデアを持っている場合:まだ市場にない全く新しいものを作り出したとき。
- 特定の趣味や興味を持つ小さなグループに向けた製品:例えば、特定のアニメファン向けのグッズなど。

成功例
例えば、スマートフォンです。初めてスマートフォンが発表されたとき、多くの人はその便利さや必要性を完全には理解していませんでした。しかし、その革新的な機能と使い勝手の良さから、今では多くの人がスマートフォンを手放せない存在となっています。

メリット
- 独自の技術やアイデアに基づいて、市場に新しい価値を提供できる。
- 競合が少ない、または全くいない新しい市場を切り開くことができる。

デメリット
- 市場のニーズと合わない可能性がある。
- 顧客を見つけるまでに時間とコストがかかることがある。

プロダクトアウトのアプローチは、革新的なアイデアを市場に投入したいときや、特定のニッチな顧客層をターゲットにしたい場合に非常に有効です。しかし、市場のニーズを見極め、適切な顧客を見つけるためには、慎重な調査と計画が必要になります。

マーケットインのアプローチについて

マーケットインとは?
簡単い復習すると、「市場やお客さんのニーズを先に調査して、そのニーズに合った製品を作る」という方法です。イメージとしてはレストランでお客さんの注文を聞いてから料理を作るシェフのように、顧客の要望に合わせて製品やサービスを提供します。このアプローチは、市場の声に耳を傾け、それに応えることを重視します。

どんな時に適してる?
- 既に競争が激しい市場:顧客の細かいニーズを掘り下げ、差別化を図りたいとき。
- 新しいトレンドや顧客の変化に迅速に対応したい場合:健康志向の食品やエコフレンドリーな商品など、社会の動向に合わせた製品を開発したいとき。

成功例
健康志向の飲料市場が一例です。消費者が健康により意識を向けるようになり、砂糖が少ない、またはゼロの飲料や、特定の健康効果をうたった製品が人気を集めるようになりました。このニーズを見越して開発された製品は、多くの顧客に受け入れられています。

メリット
- 顧客のニーズに基づいた製品を提供するため、市場での成功率が高まる。
- 競合との差別化がしやすく、顧客の忠誠心を高めやすい。

デメリット
- 市場のニーズが変化すると、製品の改良や新規開発が頻繁に必要になる。
- ニーズを正確に捉えるための市場調査に多くの時間とコストがかかることがある。

マーケットインのアプローチは、顧客の声を重視し、それに応える製品やサービスを提供することで市場に受け入れられる可能性を高めます。市場のトレンドや消費者のニーズを敏感に察知し、それに応える柔軟性が成功のカギとなります。しかし、市場の変化に迅速に対応するためには、継続的な市場調査と製品開発の努力が求められます。

プロダクトアウトとマーケットインの統合について

なぜ統合するの?
プロダクトアウトとマーケットイン、この2つのアプローチを上手く組み合わせると、企業は自分たちの強みを活かしながらも、お客さんの本当に欲しいものを提供できるようになります。つまり、素晴らしいアイデアや技術を持ちながらも、それがしっかり市場のニーズに合っていることを確認できるんです。このバランスを取ることで、成功の確率をぐっと高めることができます。

統合する方法は?
市場調査を行う:まずは市場のニーズやトレンドを調査します。
製品開発:その調査結果を基に、独自のアイデアや技術を使って製品を開発します。
フィードバックの収集と改善:製品を市場に出したら、顧客からのフィードバックを収集し、それに基づいて製品を改善していきます。

統合の例
スマートウォッチの市場がいい例です。最初は単に時間を表示するデバイスから始まりましたが、消費者が健康管理に関心を持っていることに注目し、歩数計測や心拍数の監視、睡眠トラッキングなどの機能を追加していきました。これにより、技術的な革新と市場のニーズの両方を捉え、大きな成功を収めています。

統合の際の考慮すべき点
- 市場の変化に注意する:市場のニーズは時間と共に変化します。常に耳を傾け、柔軟に対応する必要があります。
- フィードバックを大切にする:顧客からのフィードバックは貴重な資源です。それを製品改善に活かしましょう。
- バランスが重要:独自の技術やアイデアを追求することも大切ですが、それが市場のニーズに合っているかどうかも同じくらい重要です。

プロダクトアウトとマーケットインの統合は、企業が市場で長期的に成功するための鍵です。この統合により、革新性と市場の要求のバランスを取りながら、顧客に真に価値のある製品を提供することができます。

現代マーケティングにおけるプロダクトアウトとマーケットイン

デジタルマーケティングとソーシャルメディアの影響

今の時代、インターネットやソーシャルメディアは人々の生活に欠かせないものになっています。このデジタルな世界は、企業が製品を市場に出す方法にも大きな影響を与えています。例えば、FacebookやInstagramなどのソーシャルメディアを使って、新しい製品の情報をすぐに大勢の人に届けることができます。これにより、プロダクトアウトのアプローチでも、製品の特徴や魅力を効果的に伝え、速やかに顧客の反応を得ることが可能になります。また、マーケットインのアプローチにおいては、オンラインのアンケートやソーシャルメディア上での意見交換を通じて、顧客のニーズや意見を直接収集しやすくなっています。

スタートアップや新規事業におけるアプローチの選択

スタートアップや新規事業の場合、資源が限られていることが多いです。そんな中で、どのアプローチを選ぶかは非常に重要です。プロダクトアウトは、独自の革新的なアイデアや技術を市場に投入したいときに適しています。一方、マーケットインは、市場のニーズを深く理解し、それに合わせた製品やサービスを提供したいときに有効です。スタートアップや新規事業では、これらのアプローチを柔軟に組み合わせることが、成功への鍵となります。

持続可能な成長のための戦略的考察

持続可能な成長を実現するためには、単に製品を売るだけではなく、顧客と長期的な関係を築くことが重要です。このためには、顧客の変化するニーズに注意深く耳を傾け、製品やサービスを常に改善し続ける必要があります。デジタルマーケティングやソーシャルメディアを活用して、顧客からのフィードバックを迅速に収集し、それを製品開発に生かすことが、このような長期的な関係構築には非常に有効です。また、新しい技術やトレンドにも敏感であることが求められます。これらを踏まえ、プロダクトアウトとマーケットインの両方のアプローチを適切に統合し、適用していくことが、持続可能な成長への道を切り開くことにつながります。

まとめ

プロダクトアウトとマーケットインのバランス
企業が市場で成功するためには、プロダクトアウト(自分たちの製品を中心に考える方法)とマーケットイン(市場やお客さんのニーズを中心に考える方法)の間で上手なバランスを取ることが大切です。これは、自分たちが持っている素晴らしアイデアや技術を市場に出しつつ、同時にお客さんが本当に求めているもの提供するということを意味します。このバランスを上手く取ることで、企業はより多くの人に受け入れられる製品を作ることができます。

柔軟なアプローチの適用
市場は常に変化しています。新しいトレンドが現れたり、お客さんのニーズが変わったりすることがあります。だから、企業は柔軟に対応できるように、常に市場注意深く観察し、必要に応じてプロダクトアウトとマーケットインのアプローチを調整する必要があります。これにより、常に時代の一歩先を行く製品を提供し続けることができるのです。

今後の展望と企業が取るべきステップ
今後も、市場で成功し続けるためには、企業は次のようなステップを踏むべきです。

市場のトレンドを継続的に調査する:これにより、お客さんの求めるものが何かを理解し続けることができます。
フィードバックを大切にする:お客さんからの意見を聞き、それを製品改善に活かすことが重要です。
柔軟に対応する:市場の変化に応じて、プロダクトアウトとマーケットインのバランスを調整します。

総合すると、企業が市場で長期にわたって成功するためには、自分たちの技術やアイデアと市場のニーズとの間で適切なバランスを取り、常に柔軟に対応することが求められます。

おまけ

プロダクトアウトの良い例がiPhoneだと思います。以前、通信業界にいた時、特にiPhoneが発売された際は、通常Appleは各国のシェアNo.1のキャリアに販売を打診していました。

しかし当時のドコモは、日本では片手で携帯を操作する文化が浸透しており、大きなスマートフォンは売れない、ビジネス条件が合わずと判断し、打診を断りました。
それを聞きつけたソフトバンクの孫社長がAppleと交渉し、最終的にソフトバンクでの独占販売が決定しました。結果、iPhoneは爆発的な人気を博すことになりますが、これは革命的なアイデアをプロダクトアウトで市場に投入したAppleの勝利であり、その革新的なアイデアを理解できなかったドコモと、理解していた孫氏の差だと思います。(諸説あります)

販売側の視点から見たプロダクトアウトとマーケットインについて話しましたが、上記の話のように、消費者としても企業が提示している価値を十分に捉えることが必要だと思います。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

https://note.com/steve_t/n/nf8ead72f8474

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