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中医学の治療原則「補瀉」 心と体を整える順番とバランスについて

こんにちは、夏の暑邪が強すぎてみなさんバテていませんでしょうか?
わたしは、若干バテ気味です・・・
しかし素体が虚な割には、まぁまぁ頑張っていると思っています。自分で自分を褒めていくスタイルです(笑)みんなもっと自分を褒めていいんだよ◎

夏の間に書こうと思っていたことがたくさんあるにも関わらず、季節は秋に突入してしまいました。まぁ、仕方ないので、これから少しずつ書いていきます。

以前に中医学の治療方法「本治」と「標治」について書いたのですが、今日はもっともっと基本的な中医学の治療原則「補瀉(ほしゃ)」について書いていきたいと思います。



中医学の治療原則「補瀉」

中医学の治療原則、治療方法は【補】【瀉】という2つしか存在しません。
至ってシンプルなんです。そしてシンプルだからこそ、良いのです。

【補(ほ)】=不足しているもの(虚)を補う
【瀉(しゃ)】=余分なもの(実)を取り除く

これだけです。どう?シンプルでしょ?

虚実というのは、中医学と漢方医学(日本漢方)では考え方が異なります。
中医学での「虚実」は正気と邪気のバランスで決まるので、一定ではなくその時々で変わります。ほとんどの人の場合は「不足もあり、余分もある」という状況で、それを「虚実挟雑(きょじつきょうざつ)」と言ったりします。が、難しいのでそれは一旦忘れましょう!

漢方医学(日本漢方)では身体の充実度で決まるので「虚実」は常に一定なのだそうです。(漢方医学に詳しくないため、違っていたら教えてください🙇‍♀️)


漢方薬の分類「補剤と瀉剤」

治療原則が「補」「瀉」の2つしかないため、漢方薬(中成薬)も大きく分けて2つに分類されます。それが「補剤(ほざい)」「瀉剤(しゃざい)」です。

「補剤」というのは、不足を補うためのお薬です。
「瀉剤」というのは、余分なものを取り除くためのお薬です。

不足があることで不調になっているのか?それとも、余分なものが増えていることで不調が起きているのか?ここをきちんと見極められないと、全く逆の方向性の薬を使ってしまう、ということが起こります。基本的には、各々の体質に合わせた薬を選ぶため、漢方薬では副作用は起こらないのですが、治療の方向性が真逆となれば、漢方薬でも副作用が起こります。

「気(エネルギー)の不足で怠い」と「余分なものが多くて怠い」では全く状況が違いますよね!この細かい見極めには、病気の原因や病理機序を含め総合的な分析、体質診断をする「弁証」というものが必要になります。

わたしを含め、中医学をベースに体質を診断している方や、きちんと漢方薬を処方している先生方はこの「弁証」というものを行なっています。「弁証」をしっかりと行わないと判断が出来ないからです。しっかりとカウンセリングを行うのはこの為です。

ちなみに、漢方薬は「補剤(補うもの)」より「瀉剤(余分なものを取り除くもの)」の方がとても多いです。


人はつい足したくなりがち

本当に人はつい、何かを足したくなりがちな生き物です。
「これが健康にいいよ!」と言われれば試し、「あれがいいよ!」と言われれば試し・・・でも、実は引くことがとても大切だったりします。

体調が優れない時、何かを足すこともいいけれど、それよりも何もせずゆっくりと休むことがとても重要です。

毎日夜更かしをしている人が、「元気になりたい!」とサプリメントなどを摂取するよりも、「夜更かしをやめる」こっちの方がかなり効果的だったりします。

「補う」ばかりが全てじゃないのです。


色んな方向から見てみよう!

本当に最近よく話していることなのですが、物事は全て「バランス」が大切です。

「ミネラルやビタミンが大切」それはそうなんですが、取り入れることばかりを考えて、失っている方向のことを忘れていませんか?

ストレスケアにも健康のためにも、ビタミンやミネラルはとても大切です。
ですが、それよりも

・ビタミンやミネラルを消耗しすぎない
・ビタミンやミネラルをしっかり吸収出来る胃腸を整える
・もっと言えばストレスを溜めない!

ということがとても大切です。

ストレスによって、ビタミンやミネラルが消耗されるということもありますし、糖質やアルコール、脂質の過剰摂取によって必要以上に消耗しているということもあります。

・油っぽいものを食べる
・甘いものを食べる
・味の濃いものを食べる
・冷たい飲食をする
・運動不足
・夜更かしをする

など、心にとってはストレス解消になりそうなものも、体にとってはストレスになっていることがあります。運動不足や夜更かしは、ビタミンやミネラルを消耗しストレスへと繋がります。胃腸の弱りもそうですね!

せっかく食事やサプリで「補う」をしていても、生活習慣で「瀉」してばかりいてはもったいないです。入り口だけでなく、出口がどうなっているかも考えてみましょう。


「先補後瀉」よりも「先瀉後補」?

「先補後瀉」という言葉があります。
これは治療方法のことを表している言葉で「先に補い、後で瀉す」ということなのですが、中医師の先生たちは「瀉=余分なものを取り除く」ことを先に考えることが多いそうです。もちろん、その人の状態によって補瀉を同時に進めることもありますし、手段は一つではありません。

余分なものが多い部屋の中に、新しい家具は入れられません。まずは部屋の中の余分なものを捨てて、ある程度の整理整頓した上で新しいものを取り入れていく必要があります。

これはメンタルのカウンセリングをしていてもそうなのですが、これまでの生きてきた経験の中での思考の癖や偏り、そういったものをある程度整理していくことによって、新しい考え方や視点が持てるようになるな、と感じています。

家が燃えている時に「よし、燃えない家を作ろう!」とはなりません。
まずは、火を消すことが優先で、そこから土地を整備して少しずつ新しい土台を組み立てていくように、メンタルも体も整えていく順番がとても大切だと思います。

まとめ

いかがでしたか?
今日は中医学の治療原則「補瀉」と合わせて、少しだけ心と体を整える順番や考え方の話をしてみました。「補う」か「瀉す」か、とても重要なポイントです。
自分の今の心と体の状態は、余分なのか?足りないのか?考えてみましょう!

もし分からない方は、よければいつでも中医カウンセリングにきてくださいね。
心と体のバランスを一緒に整えていけるのが、中医学の良いところ◎
みなさんのお話を伺って、現在の状態を見極めるサポートをするのがわたしの仕事です😊

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