水について考えよう 〜富栄養化〜
前回は、排水に有機物が大量に流れてしまうと「有機汚濁」を引き起こしてしまうとお伝えしました。
その他にも「海を汚してしまう」可能性があるものがあります。
それは一体何なのか、どのように海を汚してしまうのか、お伝えできればと思います。
今回の内容も少し難しい内容になっていますが、ご一読いただけたら幸いです。
窒素・リンとは
海を汚してしまう可能性があるものは、窒素(N)やリン(P)です。
これらが、大量に海へ流れてしまった場合に海を汚してしまいます。
ところで、窒素(N)やリン(P)は、何か知っていますか?
実は、窒素やリンは、「栄養塩類」と言われていて、生物とくに植物が成長するために必要な栄養です。
当然、生物の一つである人間にとっても、必要な栄養素です。
「栄養塩類」は、他にはマグネシウム・カリウム・ケイ素なども当てはまります。
マグネシウム・カリウム・ケイ素などは、海水中に豊富に含まれています。
しかしながら、窒素やリンは、海の中ではなかなか手に入らず欠乏しがちな栄養素です。
植物に肥料が必要な理由は、窒素やリンのような欠乏しがちな栄養を補給させるためです。
ちなみに「窒素」「リン」「カリウム」の三つを肥料の三要素といいます。
窒素やリンは、何に含まれているのでしょうか。
窒素・リンが含まれているもの
結論、大体のものに含まれています。
というのも、窒素は「タンパク質」の中に大量に存在し
リンは「DNA(遺伝子をもつ物質)」「脂質」に多く含まれます。
人間は、肉や魚、野菜を食べた時に「タンパク質」「DNA」「脂質」を摂取しています。
むしろ、これらを取り除いて食事をすることの方が難しいでしょう。
窒素やリンについて分かって頂いた上で、どうしてこれらが海を汚してしまうのかについてお伝えします。
富栄養化
窒素・リンなどの栄養塩類が大量に増加することを「富栄養化」といいます。
「富栄養化」が海で起こってしまうと、栄養塩類を大好物としている植物プランクトンが集まってきます。
ちなみに、海の中の食物連鎖は、植物プランクトン < 動物プランクトン < 小魚 < 中型・大型魚類 です。
植物プランクトンに馴染みがない人は、海の中の植物と捉えてください。植物プランクトンも植物なので、光合成を行うことができます。
話を戻しますが、植物プランクトンが大量に一箇所に集まってしまうと
海面近くで太陽からの光が当たる植物プランクトンと、海中深くで太陽からの光が当たらない植物プランクトンに二分化されてしまいます。
海中深くで太陽からの光が当たらない植物プランクトンは、栄養があっても光合成ができないので、いずれ死滅してしまいます。
この死滅した植物プランクトンが、沈殿してしまうことで海を汚してしまうのです。
この状態が淡水で起こることを「アオコ」、海水で起こることを「赤潮」といいます。
色が異なるのは、淡水と海水で植物プランクトンの種類が異なるからです。
アオコや赤潮になると、ご覧のとおり水質が急激に悪化します。
また、植物プランクトンの死骸を分解者が分解しようとすると、
有機物が大量にある時と同じように、酸欠になり「生態系の崩壊」「悪臭や汚濁」を引き起こします。
さらに、植物プランクトンの死骸が魚のエラに詰まり、呼吸困難で死んでしまうこともあるそうです。
まとめ
海が汚れてしまう仕組みを理解して頂けたでしょうか。
前回までの記事の復習になりますが、排水する上で注意しなくてはいけないことは
「微生物が分解できるか」・「詰まりの原因にならないか」・「海を汚さないか」
です。どれらか一つでも満たしていない時は、絶対に下水道に流さないでください。
次回は、洗剤や歯磨き粉など、身近な物を例に挙げながら、どういったことに注意して生活しなければいけないのかお伝えできればと思います。
来週もよろしくお願いします。