【映画】「怪物」 是枝監督×坂元裕二×坂本龍一
レビューを書くのに1週間も経ってしまった。それぐらい心の片隅に刻まれた映画だった。
多角的に物事を捉えると、正義と悪はいとも簡単に入れ替わる。一方向からだけ観ていると、お互い相手が怪物に見える。
お母さんはおかあさんなりに、先生は先生なりに、子どもたちは子どもたちなりにそれぞれ最善を尽くそうとしているのかもしれないけれど、それを相手に伝える方法を時に間違えたり、1人を思う故に他を蔑ろにする事で誤解が生まれたりしていた。
坂元裕二さんの脚本は本当にいつも素晴らしい。いくつものレイヤーになっていて、伏線回収や二転三転する展開が考えさせられるし、見ていて飽きない。それから一つ一つのセリフや細かい設定にハッとさせられることがよくある。そして、クリーニング屋がよく出てくる気がする
是枝監督もだけど、問題提起や色んなテーマが盛り込まれていて、メッセージ性の強いものが多い。それに坂本龍一さんの音楽が相まって相乗効果がトリプル!aquaよかったー
子役2人の熱演が素晴らしい。2人とも違うタイプの子どもだけど、リアルにいそうだった。
是枝作品に出る子役の子は、いつも演技が素朴で上手。監督が発掘上手なのか、演技指導が優れているのか…(以前、万引き家族で見た男の子、演技がすごい!って思ったけど、約束のネバーランドで見たらそうでもなかったんだよね。。)
ネタバレ✂︎----------------------------
野呂佳代が出てきたり、生まれ変わりの話などからはじめのうち、
ブラッシュアップライフの続きでもしてるのかと思ったー
怪物、だーれだ!のゲーム。本質をついてた。
星川依里くん、聡明だし、可愛すぎるし、色気があるな〜
感性が強すぎて、男子クラスメイトとうまくやっていけないんだな〜日本の伝統芸、出る杭は打たれる。
お母さんやクラスメイトがテレビの女装する芸人をネタにするシーン
人のちょっとしたブラックジョークに傷つく人がいる
ちょっとした嘘で拡がっていく誤解
保利先生がガールズバーに行ってたとかもきっと誤解なんだよね。
いじめ問題について学校が暖簾に腕押し状態だから、何度も学校に押しかけるお母さんはモンスターペアレントを想起させるも、学校の対応もまた酷いもの。保護者側もこういう対応、どうしたらいいのか、こっちもわからなくなるもんね。
田中裕子扮する校長先生、角田さん扮する教頭の対応…😓うますぎる。
真実を言えない湊のついた嘘が大人を振り回す。先生もはっきりと断らないし、流されてるから、どんどん自体が悪い方向へ。
お母さんも保利先生も男らしくとか、男の子を知らず知らずに押し付けてくる。
多感な時期に友達への感情や体の反応がよくわからなくなる少年たち。
保利先生の趣味である誤字脱字を指摘する小さな正義感。自分の生活に満足できてないのがよくわかる。不倫している芸能人を責める人とやってることは同じ。
ホルンとトロンボーンのシーンはさながら怪物の鳴き声の様でよかった。湊との秘密の共有、そして…
火事はやっぱり依里くんが、、、?
橋の上で校長先生と出会ったのは、2人が犯罪を犯した事を示唆していた様に思えた。
保利先生が飴を舐めた理由だけ理解しかねる。確かに、前日に彼女に飴舐めると落ち着くよっていわれて、ねじ込まれてたけど、今じゃないのは一目瞭然。お母さん目線からの誤解を生むためだとしたらやり過ぎ感。
"銀河鉄道の夜のオマージュ"
がラストシーンに盛り込まれていて、よかった。
でもカムパネルラはジョバンニを連れてってくれたケース
それは哀しい結末なのか、、ハッピーエンドなのか、人によって違う。
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NYでフリーランスのライターと日本語の先生をしています。どこまでも自由になるため、どこにいても稼げるようなシステムを構築しようと奮闘中。