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歪んだ現実



歪んだ現実に囚われ

分断された人びとは

時代の軋みに切り刻まれて

こころを乱されてゆく

壊れた鏡に映された幻影に

ひとは囚われ

言葉を亡くしてゆく

空虚な言葉だけが空を覆い

作られた言葉に

人びとは支配されてゆく

歪んだ鏡によって

壊された言葉が

人びとを傷つけてゆく

見えない何かに突き動かされて

人びとは言葉をふりまわしている

飛び交う言葉を避けながら

伏せた身体に鼓動はひびく

そのとき鼓動はひとつの言葉を放った

地に伏せた身体の上を

幻影が駆け抜けてゆく

大地に伏した眼のなかに

その言葉が躍っている

............

海の民の末裔たちよ

その大地に眼を開けよ

海の魂を持つ者たちよ

己が言葉で立ち上がれ

海を生きる者たちよ

偽りの幻影を打ち破れ

............

地に伏したひとびとは

大地に己の言葉を聴いた

顔を上げたひとびとは

幻影の背後に己が鼓動を視た

ひとびとは知った

偽りの現実であることを

狂った現実の檻に被せられた

天幕のなかに人びとはいた

............

海の民の末裔たちよ

内に眠る己が言葉を語れ

海の言葉を抱く者たちよ

その細胞に眠る言葉を目覚めさせよ

海の民の末裔たちよ

己が言葉でその天幕を打ち破れ

............

その石は言った...

幻影を破るのは海の言葉だけなのだ… と





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