
友よ
ふと誰かに呼び止められた気がした… ここは海岸、誰もいない… 気配を感じていると、その主は私の立っている石だった。 じっと眺めていると、「友よ...」と呼びかけられたような気が・・・ その呼び声は、こころに沁みわたり 、一本の弦を震わせた。まるで天と地を貫く弦の如く、その響きは今も鳴り止むことはない。どこか慈愛に満ちたそのまなざしは、正邪を超え、善悪を超え、美醜を超え、心のど真ん中を射抜き、私の中にある何かを目覚めさせた。
Art MAISON INTERNATIONAL Vol. 25 掲載作品