カウンセラーさんとの別れ
この春、大学院を卒業して社会人になった。
大学院の卒業式は、友達と離れるのが寂しい、悲しいみたいなものもそこまでなく、ただ、
あぁ、これで私の人生の中で「学生時代」と呼ばれる期間が終わるのだな
と思ったくらいだった。
でも、たった一つ、涙した別れがあった。
大学(院)には学生相談室という、いわゆる学生が無料で利用できるカウンセリングルームがある。
私はそこのカウンセラーさんに一年ほどお世話になっていた。
大学院を卒業するということはつまり、学生相談室を利用出来なくなる、ということ。
それはカウンセラーさんとの別れを意味する。
私にとってこの一年、カウンセリングがずっと心の支えだった。
生きていく意味や将来への希望みたいなものを完全に見失って、死を考える日々でも、
来週にはカウンセラーさんに会える
と考えるだけで生きていこうと思えた。
最後のカウンセリングの日が来るのが怖かった。
その日、カウンセラーさんが掛けてくれた言葉を一つ欠かさず心に記し、帰ってからノートに書き留めた。
カウンセラーさんへの感謝も伝えることができた。
最終回は絶対泣かないと決めていて、泣かずに感謝を伝えられたけど、
これからの人生も応援してるよ
という言葉とともに、深々とお辞儀をして私を見送ってくれて。
ドアが閉まった瞬間、私は涙が止まらなかった。
自分にとって最強の味方を失った、という悲しみでいっぱいだった。
これから先も私は絶望することがあるかもしれない。
でも。そのときは、あのノートを見直そうと決めている。
物理的に会うことはもうできないかもしれないけど、ノートを通して、そこに書かれている言葉を通して、私はまたカウンセラーさんに会って助けられるのだろうなと思う。