【大人】バイオグラフィーワーク③0~21歳は「与えられる時期」
シュタイナーは人生を大きく3つのステージに分け、それぞれ21歳までを「与えられる時期」、21歳~42歳までを「交流する時期」、42歳以降を「与える時期」と区切りました。もちろん個体差があるので、年齢の区切りはおおまかな目安です。
前回まではこちら
①自分に学ぼう
②人生を3段階に分けると
その21年をさらに3つに区切り、7年ごとに区切ってみたのが、「第〇・七年期」と言われるもの。特に最初の21年間は、シュタイナー教育で耳にすることも多いのではないでしょうか。私たちが取り組んだバイオグラフィー・ワークについては後で述べるとして、まずはざっくりと第1~3・七年期の特徴をまとめておきましょう。
第1~第3七年期の特徴と課題
【第1七年期(0歳~7歳)】「世界は善である」
この時期はすごい勢いで身体が育ち、感覚器官も出来上がっていきます。赤ちゃんが寝がえりを打ち、ハイハイをして、立ち上がり、言葉を話し、走り回るようになり、人間関係を作り始めるという驚きの変化をします。疑うことを知らず、あらゆるものを模倣して身に付けていくので、まわりの大人が信頼に足る在り方をし、穏やかで温かい環境で包んであげる必要があります。また、生活のリズムを大切にすることも、この時期の助けになります。歯が抜けることを合図に次の段階に移ります。
【第2七年期(7歳~14歳)】「世界は美しい」
身体づくりに専念していたエーテル体が独立していくに連れ、記憶や思考の力に変わります。ちょうど勉強を始められる時期です。大好きな先生やパパ・ママという権威に従うことに喜びを感じる様子は、太陽に向かって植物が伸びて行くイメージとも似ています。そして9歳ごろ「自分」という意識が芽生えることで世界から自分が切り離され、パパやママや先生と自分は違う人間なんだと気づきます。小人さんやサンタさんも信じられなくなる「9歳の危機」です。そうして、少しずつ地上で生きて行く準備が整い、友達と笑ったりケンカしたり、いろんな挑戦をして成功したり失敗したり…、いろんな感情を味わいます。第二次性徴を合図に、次の段階に移ります。
【第3七年期(14歳~21歳)】「世界は真である」
筋肉もしっかりして、性的に成熟していきます。今まで太陽のように輝いた存在だった先生や親が、自分と同じ迷いや葛藤を持つ人間だと気づき、その反動で反抗期を迎えます。論理的に思考することができ、社会の仕組みや様々な矛盾に向き合い、理想を語り始めます。外にあった太陽が自分の内側で輝きだし、内面に葛藤を持ちながら、子どもから大人へと変わっていきます。「私とは何者か」「この人生をどう生きるか」というような問いに向き合うことで自我が生まれ、次の7年期に移ります。
クラスでの活動の流れ
実際のバイオグラフィー・ワークでは、毎月1回、ひとつの七年期を取り上げて、順番に取り組んでいきました。毎月、その七年期の概要の説明、アートワーク、シェア、という順番で進めていきました。では、実際はどんな風にしたのか、順番に見ていきましょう。
【アートワークの時間】
七年期の概要を説明してもらった後、自分がその時期、何をしていたか、一人ひとり、ゆっくり思い出して、アート作品(月よってクレヨンやにじみ絵、粘土など)を作りました。特に最初の七年期の幼い頃の記憶はなかなか思い出せませんでしたが、それでも一番始めに思い出したシーンを描きました。
個人的には、それを描いている中で、今の自分の原点みたいなものが見え、「まだ1回目なのに、そんな簡単に原点っぽいものに至ってしまったか??」と自分でビックリしました。数年後思いだしても、やっぱりあれは原点だったと思います。バイオグラフィー・ワーク恐るべし。
【シェアの時間】
みんなが描けた後、4人ずつグループに分かれて輪になり、自分がその時期を過ごした町のことや、何をしている絵なのかを、3分ずつ交代で話していきました。時間を意識しながら話すと、集中力がアップして、案外たくさんの内容が話せることに驚きました。全体の進行も少しは配慮できるし、「聞く」と「話す」のバランスもいいし、1人だけ長く話し続けて他の人は時間切れ、なんてこともありません。時間を区切られるのも、案外悪くないなというのが実感です。区切りのベルの音が、余韻の長い美しい響きだったのもあり、「途中で切られた」という気持ちにならずに済みました。小グループでの話、全体で振り返って終了です。
シェアする時、聞く側はむやみに反応しないで静か聞きます。人の話を聞いて「そうそう、私も!」なんて盛り上がると、その反応に話者が引きずられてしまいます。話す時には人の反応を気にせず、安心して自分の内面に入っていけるよう、聞く時にあまり反応しない、というのも大切な配慮です。そうやってじっくり聞くと、人の過去の経験も、その時の風景も、妙に懐かしく感じられるのが不思議でした。
黙って話を聞いてくれる人がいる事のありがたさ、他の人の話を聞いて、自分にも思い出すことや気づくことがあるのは、グループワークの醍醐味ですね。
(写真は、絵を見て全体シェアしているところ)
具体的な思い出の中身は書けませんが、あなたも昔の自分を思い出しながら、実際に絵を描いたり粘土を作ったりして、その時どんな感情で何をしていたのか、それは人格形成にどんな影響があったのか、いろいろ思い出してみてくださいね。
次回は、21歳~42歳の「交流の時期」について、お伝えします。人生で最も地上的な時期です。お楽しみに!
参考:
サイト:
(社)バイオグラフィーワーク・ジャパン
ジュピター(バイオグラフィワーカーのサイト)
書籍:
バイオグラフィー・ワーク入門(グードルン・ブルクハルト著、樋原裕子訳)
シュタイナーの人生学~生きることの意味~(丹羽敏雄著)
昨日に聞けば明日が見える(大村祐子著)
おうちでできるシュタイナーの子育て(クレヨンハウス)
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▼オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当
書く人、聴く人、考える人、作る人、遊ぶ人。小さな勉強会や仕事、普段の暮らしの中で、ちょっと立ち止まって考え、言葉にし、行動してみる。少しずつ、みんなで幸せになっていけたらいいな。
ブログ毎日更新中。「自由の哲学を読む」~日々の暮らしから~
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