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【子ども・大人】たった1つが閉ざされたとしても、あと99通りの道がある

中学生のハローワーク1月のゲストは音楽家の竹上久美子さん。配信の場所はスタジオだし、リアクションされる度にアクセサリーが揺れたり、さらっとピアノを弾いてくださったり、なんだかおしゃれ。「えりか先生と同級生です〜」の言葉に「私は順調に見た目年齢を重ねております〜」ってふざけそうになったけど、ツッコんでくれる人がいないところで自虐してもウケないので脳内で却下。変な空気にするところだった・・・危ない、危ない。そんな、相変わらずのゆる〜い感じで新年初回が始まった。


ただ楽しいから続けてきた

幼い頃は絵が好きだった竹上さん。でも、どうやら自分より上手い人がたくさんいるぞって気づいて初めて挫折したのが小学生の頃。人より下手だなって気づいたらやめちゃうの、あるある。大人も中学生も、きっと心当たりがあっただろう。人と自分を比べないで生きていくのって、結構難しいもの。

それでも音楽は好きで続けていた竹上さん。中学3年生のとき、友だちのお寺でコピーバンドのライブをしたり、高校3年生文化祭でオリジナル曲のライブをしたり。文化祭は弾けないギターでトライしてみたら、アンケートでギターが下手って書かれた・・・って笑顔。そんなこと言ってるけど、特別上手じゃないにしてもある程度は弾けたんだろう。本当は上手で自信があったからこそ、今こうして謙遜されているんだろう。多分、みんなそう感じていた。

うーん。このままだと、「なんか住む世界の違うスゴい人」になってしまう。竹上さんらしさが出てこないなあ。

そこで、話の腰を折る覚悟で、「そういえば文化祭はこんな感じだった」と同級生ならではの話を振ってみた。思わず吹き出す大人。目を丸くする中学生。
「そうそう、今こうして話にするとキレイな感じになってるけど、本当に酷くて・・・」
と笑って続ける竹上さん。「謙遜じゃなくて本当に上手じゃなかったんだ!」と思いながら聞くと(失礼・・・)、「批判は受けてもトライし続けた」の言葉が重みを増す。上手いか下手かに左右されることなく、純粋に音楽を楽しんでいたことがよくわかっる。心から楽しんでいたからこそ、批判されていた話も、こうして笑顔でできてしまうんだ。


才能がないと言われて

学生時代から仕事ももらって楽しく音楽活動を続け、順風満帆に見えた竹上さん。でも、そんなに甘くなかった。音楽業界のバブル期が終わり、CDは売れない時代に。簡単にスターになれるような道は、めちゃくちゃ狭き門になってしまった。「才能がない」とはっきり言われ、大手レーベルの育成契約も切られ、この上なく大きな挫折。

それでも、音楽をやめることはなかった。独立して、自主レーベルを立ち上げて、人と繋がり、地域と繋がり、子ども向けのワークショップや教室を開いて。トライすることをやめない竹上さん。

「才能がない」と言われても諦めなかったのはなぜ?
大人から質問が出てくる。そうだよね。諦めて新しい道を探すという手もあったはず。

「音楽を生業にしていく道が100通りあるとしたら、私が才能がないと言われたのは、100通りのうちのたった1つの道、しかも1番難しい道。言葉が足りなかっただけで、他にもたくさんの道がある、ということを表していた」と竹上さん。

ああ、これまでの話とも共通点が見える。「数学が好き=数学者」は難しいかもしれないけど、数学に携わることのできる職業はたくさんある。「先生=公立小学校教員」は難しかったけど、今こうして「先生」をさせてもらっている私もいる。1番目につきやすいメジャーな方法だけが夢を叶える方法なんじゃない。夢を叶えるための道は無数にある。(↓数学芸人高田先生の回、私えりか先生の回はこちら)

きっと、中学生の目には、まだ100通りの道は見えていない。「理科が好きだけど、研究者になれるほど賢くないし」とか「バスケやサッカーが好きだけど、選手になれるほど才能ないし」とか、そして「他にやりたいことないし〜」ってなるんだよね。今はただ、目の前の道にトライしてみたら良い。将来のためじゃなくて、今やりたいことを夢中になってやったらいい。挫折したときに初めて、別の99通りの道が見えてくる。

思春期の彼らに親や先生の言葉は届きにくいけれど、中学生のハローワークを通して出会ったいろいろな人の言葉は、将来岐路に立ったときに助けてくれると思う。


自分を知る

さて、音楽の世界で生きていくには、自分自身を客観的に見る力が必要だと竹上さん。その力に秀でている人が、メジャーになっていく。自分がどう見られているか?自分の武器は何か?何を求められているか?そういうことを分析して自分を商品として売り込んでいく力。YouTubeやTikTokなんてまさにそういう世界。どうすればバズるか?をおさえておかないと、誰も見てくれない。好きなことを配信してたら好きな人が見てくれて嬉しいな・・・なんて浅いものではないらしい。

神戸シュタイナーハウスもSNSで発信するようになって数年経つけど、広がらないのは自己分析不足かな。何を求められているか?武器は何か?もう少し考えてみたら、この企画の参加者も増えるだろうか。企画屋さんの回を受けて頑張っていたけど、最近ちょっと告知も下火になってきているし、ここらで気持ちを入れ替えても良いかも。(↓企画屋さんの回はこちら)

音楽を切り口に、いろんな気づきがあった竹上さんのお話。大人クラス・子どもクラスの様子は次回!お楽しみに!


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えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。 小学校・放課後等デイサービスを経て、現在は児童発達支援事業所で障害児支援にあたりつつ、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。
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神戸シュタイナーハウス
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