見出し画像

【大人】自分を育てる⑥そしてすべてを調和させる

大人クラスでは「自分を育てる」をテーマに、自分の思考・感情・意志をバランス良く育てていく「6つの行」に取り組んできました。
1回目 思考
2回目 意志
3回目 感情
4回目 世の中を肯定的に見る
5回目 先入観から自由になる

今回で6回目、最終回です。最終回のテーマは「思考・意志・感情を統合して調和した自分を育てていこう」です。つまり、「3つのバランスを取る」ということです。

一体、何の練習をしたらそれが達成できるんでしょう。具体的には書いてないし、自分たちでも何に取り組んでいいのかわからなくなってしまいました。思考・感情・意志を調和させる…はて?

調和させる方法がわからないので、思考・感情・意志のそれぞれを鍛える練習ってどんなだっけ?と振り返ってみました。「思考」を鍛えるには、素朴な道具に寄り添ってそれを見たり使い方を考えたりしました。「意志」を鍛えるには、決まった時間に意味のないことを行い、「感情」を整えるために、共感と反感に意識的になりました。4回目「世の中を肯定的に見る」、5回目「先入観から自由になる」は、文字通りです。

あれ、「思考」って何だっけ?

6回目になって振り返って、改めて謎だったのが、1回目に取り組んだ「思考」です。思考を鍛えるのに、どうしてお箸やスプーンなどの素朴な道具を持ってきて、見た目や作り方、新しい使い方をリストアップしたりしたのでしょうか。見た目の特徴なんて、思考というよりは観察だし、作り方を逆にたどる意図もわかりません。

ここで言う「思考」は、どうも普通の思考とは違うのではないか。シュタイナーは「思考」をどんなものだと考えていたんだろう? その疑問を解きたくて、もう一度、第1回目の「思考」の行を丁寧に振り返ってみました。

「思考」のための3つのワーク。まず最初は、素朴なお箸やスプーンを目の前に置いて、サイズだの形だの傷だのをひたすら客観的に描写し続けるワーク。そのワークでは「好き嫌いなどの感情や、良い悪いなどの価値判断が混ざらないように」という注意がありました。その注意によって、混ざりがちな「見たことと感じたこと」「観察と感情」をあえて分ける練習にはなりました。でも、観察って思考…じゃないですよね?

2つめのワークは、マグネットやフォークなど「素朴な道具の別の使い方を考えてみる」でした。これは「先入観から自由になる」練習と重なっている気がします。両方やってみてわかったことは、どちらも、発想が硬かったらすぐに終わってしまうことです。「もっと違う使い方…」と考えていると、どんどん頭を柔らかくすることになりました。これは思考っぽい。

3つめのワークは、その道具の作り方を、逆に遡る(木の枝→お箸という時間順ではなく、お箸→木の枝という逆の時間順で描写する)練習でした。シュタイナーの推奨する行で、似たようなものに、寝る前に一日を逆にたどる練習もあります。が、あれは何なんでしょう。

時間軸を逆転させる? 生まれてから死ぬんじゃなくて、死んでから生まれる? 死ぬ前に人生を走馬灯のように思い出す一日バージョン? 出来事の結果から遡って原因を探して一日を反省するため? シュタイナーが言及していないなら、正解はわかりません。誰か「コレかも?」というのがあればお聞かせください。考えるヒントにしてみたいな~。

ともあれ、ここで鍛えようとしている「思考」とは、「心の乱れに影響されず、見る目を鍛え、モノゴトを真っすぐそのまま認識する力のこと」のようです。それは、自分の頭の中で組み合わせて作っていくものではなくて、人やものや出来事に沿うことによって、相手から教えてもらえるもの、なのでしょう。

全6回、全体を振り返って

全体を振り返ってみて、みんなが共通して一番苦戦したのが、意志のエクササイズでした。毎日、同じ時間に無意味なことをする、というアレです。意味のあることもなかなか出来ないのに、意味のないことはさらに…。でも何度か実際にやってみて、何度かくじけたので「昨日忘れても、今日思い出してやればいい」と柔軟に考えられるようになりました。ケガの功名です。

今日で「自分を育てる」の6つのテーマも終わりです。最終回なので、実際に毎月1テーマずつ取り組んでみての自分なりの変化を言葉にしてみました。

ある人は、「これまで子どものこと中心で、自分のやりたいことは考えてなかったと気づいた」と言いました。子どもを預かる親として、ある意味、素晴らしいことです。でも、「子どもが巣立って行こうとするヨコで、親が自分の色で輝いていることも親の大切な役目だし、自分を育てることはいつまでも自分の責任」とおっしゃいます。

また、「自分のこの世での役目が何なのかがわからない」と感じた人もいました。「日常ではアレコレやりたいことはあるけれど、本質的に自分が欲していることが何なのかをわかるようになりたい」と。

さらに、「漠然とやりたい事はあるけど、適性がなさそうで自信がない」という人もいました。「それこそ、第4回みたいに肯定的に見て、第5回のように先入観に囚われずに考えたら、違うやり方が見つかるはず。第一、何かやってみたら、それだけで一歩進めるし」。心の癖は一生かけて整えていく大仕事ですが、行動は、思い切るだけでその瞬間は変わります。行動ってすごい!

そして、心を整えて精神の高みへ…

これまで取り組んできた練習に、繰り返し挑戦し続けることによって、少しずつ思考・感情・意志を整えていくこと。それは内的に穏やかな状態につながります。自分を育て、自分で立てるようになったら、瞑想に挑戦しながら、いつか精神の高みも認識できたらいいな、と思います。

これで6回のシリーズを終わりますが、何にしろ、自分を育てるということは、1人ひとりの壮大で本質的な一生の仕事、いや、前世も来世もつないでの大仕事です。サボっていたり、ふだん忘れていても、思い出した時には6つの行に繰り返し挑戦して、ゆっくりと果てしない道を歩いていこうと思います。おばあちゃんになるにつれ、少しずつ人間としてマシになっていけますように!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
▼オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当
小さな勉強会や仕事、普段の暮らしの中で、ちょっと立ち止まって考え、言葉にし、行動してみる。少しずつ、みんなで幸せになっていけたらいいな。
ブログ毎日更新中。「自由の哲学を読む」~日々の暮らしから~
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

いいなと思ったら応援しよう!

神戸シュタイナーハウス
お読みくださりありがとうございました! スキやコメントをいただけると励みになります。 サポートは子どもたちの活動費用に使わせていただきます。